民法ゼロから民法#94

取得時効と登記

印刷用PDFを開く

第2章 物権 #94/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

登記で負けた者の敗者復活、その先

冒頭の場面。BはAの土地を20年間占有し続け、取得時効を援用できる状態になった。Aに対しては登記なしで勝てる。では、Aがその土地をBの知らないうちにCへ売り、Cが登記まで備えていたら。 図:冒頭の場面

  • BはAの土地を20年間占有し続け、取得時効を援用できる状態になった
  • Aに対しては登記なしで勝てる
  • では、Aがその土地をBの知らないうちにCへ売り、Cが登記まで備えていたら

前回までで、こういう話をしました。Bが土地を20年間占有し続けて、取得時効を援用できる状態になったとき、元の所有者Aに対しては、登記が無くても勝てる。では、今日はその先を考えます。もし、Aがその土地を、Bの知らないうちにCへ売ってしまっていたら。Cが登記まで備えていたら、Bはまだ勝てるでしょうか。先に答えを言います。今日は、いつCが現れたかで結論が変わります。Bの時効が完成する前にCが現れたなら、Bはなお勝てます。ですが、完成した後にCが現れたなら、今度は登記の勝負になります。今日は、この境目がどこにあるのかを確かめます。

元の所有者との関係、もう一度

元の所有者との関係の板。Bにとって元の所有者Aは、物権変動の当事者そのものであり、177条の「第三者」にはあたらない。だからBは登記なくしてAに対抗できる。 図:元の所有者との関係の板

  • Bにとって元の所有者Aは、物権変動の当事者そのものであり、177条の「第三者」にはあたらない
  • だからBは登記なくしてAに対抗できる

まず、出発点をもう一度確認します。時効取得を主張する相手が、元の所有者Aだった場合、登記は必要でしたか?必要ありませんでした。理由は、Aが第三者じゃなくて、当事者そのものだから、でした。177条を、もう一度見ておきます。

条文民法177条(再掲)

民法 第177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件) 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

以前の回で、この「第三者」とは、当事者・包括承継人以外であって、登記が無いことを主張する正当な利益を持つ者、と確認しました。Bにとって、Aは物権変動の当事者そのものです。だから、そもそも177条の出番がありません。今日は、そのAではなく、Aから買ったCが相手になる、ということです。Cが現れたとき、Cは、Bにとって当事者と同じ側にいる人なのか、それとも、登記の欠缺を主張できる第三者なのか。この一点で、結論が分かれます。

時効完成前の譲受人——当事者類似

時効完成前の譲受人の関係図。Bが甲土地の占有を始め、時効完成の前にAがCへ売却し登記を備える。それでもBは登記なくしてCに対抗できる。Cは元の所有者Aの地位をそのまま引き継いだ、当事者に類似する立場として扱われる。 図:時効完成前の譲受人の関係図

  • Bが甲土地の占有を始め、時効完成の前にAがCへ売却し登記を備える
  • それでもBは登記なくしてCに対抗できる
  • Cは元の所有者Aの地位をそのまま引き継いだ、当事者に類似する立場として扱われる

まず、Cが現れたタイミングが、Bの時効が完成する前だった場合です。Bが占有を始めてから、時効に必要な期間が満了する前に、AがCへ土地を売り、Cが登記まで備えたとします。先に登記したCが勝ちそうに見えますが、判例の結論は逆です。この場合も、Bは登記なくしてCに対抗できます。

論文で書く規範:【論文で書く定義・規範】時効完成前の譲受人は当事者類似 取得時効の完成前に不動産を譲り受けて登記を備えた者は、時効取得者にとって、譲渡人の地位をそのまま引き継いだ者にすぎず、物権変動の当事者に類似する立場にある。時効取得者は、登記なくしてその者に対抗することができる。 (規範(大判大7・3・2、最判昭41・11・22))

理由はこうです。時効が完成する前の時点では、Bはまだ確定的な権利者になっていません。だから、Aはまだ自分の物として、Cに処分する権限を持ったままだったことになります。Cは、そのAの地位を、そのまま引き継いだだけの人です。Bから見れば、Cは、Aの延長線上にいる人にすぎません。だから、当事者に類似する立場として扱われ、登記の有無は問題になりません。

なぜ、起算点は動かせないのか

起算点固定の板。逆算説は、今の時点から遡って20年前を起算点とみなす考え方だが、判例は採らない。判例は、占有を始めた最初の時点に起算点を固定する。 図:起算点固定の板

  • 逆算説は、今の時点から遡って20年前を起算点とみなす考え方だが、判例は採らない
  • 判例は、占有を始めた最初の時点に起算点を固定する

答える前に、一つ確認させてください。そもそも、時効が「完成した」というのは、いつのことを指すか分かりますか。

条文民法162条1項(再掲)

民法第百六十二条(所有権の取得時効)第一項 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

条文も、「二十年間」占有した者、と言っています。ただ、いつから数えるかまでは書いていません。では、その「20年経った時点」は、誰が、どう決めるのでしょうか。ここに、今日いちばん大事な話があります。占有を始めた日から数えればよさそうに見えますが、実は、それが自明ではありません。考え方は、二つありえます。一つは、占有を始めた最初の日を固定して、そこから数える考え方。もう一つは、今この瞬間から遡って、ちょうど20年前を起算点とみなす考え方です。後者を、逆算説と呼びます。逆算説を採ると、Bは、いつまで経っても「今日から遡れば、ちょうど20年前から占有していたことになる」と言い張れてしまいます。そうなると、時効取得は、事実上ずっと完成し続けることになり、Cがどれだけ登記を備えても、絶対に勝てなくなってしまいます。

例えば、Bが2000年の春に占有を始めたとします。起算点を固定すれば、時効が完成するのは2020年の春です。そこへ2022年に、CがAから買って登記した。Cは、完成の後に現れた人です。ところが逆算説なら、Bは2023年になって、「今日から遡って、2003年から数えます。完成は今日で、Cの登記より後です」と言えてしまいます。そうすると、Cは完成前の譲受人になり、さっき見たとおり、Bは登記なくして勝ててしまう。Cがいつ現れても、Bは同じことを言えます。登記を信じて取引した人を守る、という177条の目的そのものが、丸ごと壊れてしまいます。たとえて言えば、ジムの入会特典のようなものです。「入会から3か月は会費半額」という特典があったとします。1年経ってから、「今日から遡って3か月前に入会したことにして、今月も半額にしてください」とは言えません。入会日は、最初の1回で決まり、あとから都合よく選び直せないからです。

論文で書く規範:【論文で書く定義・規範】起算点固定の規範 取得時効の起算点は、占有者が任意に選択できるものではなく、占有を開始した時点に固定される。援用者は、第三者との関係において、起算点を後にずらして時効の完成時期を遅らせることはできない。 (規範(最判昭35・7・27))

判例は、この点をはっきり固定しています。時効制度そのものだけを見れば、起算点は自由に選んでもよいように見えるかもしれません。ですが、第三者との関係を考えると、そうはいきません。占有を始めた事実が生じた、その時点を必ず起算点として、完成の時期を決めなければならない、というのが判例の立場です。

時効完成後の譲受人——二重譲渡類似

時効完成後の譲受人の関係図。時効完成の後にAがCへ売却し登記を備えた場合、Bは登記なくして対抗できない。Aは本来もう処分できないはずの土地を、なおCに処分したことになり、二重譲渡と同じ構造になる。 図:時効完成後の譲受人の関係図

  • 時効完成の後にAがCへ売却し登記を備えた場合、Bは登記なくして対抗できない
  • Aは本来もう処分できないはずの土地を、なおCに処分したことになり、二重譲渡と同じ構造になる

起算点が固定されると、「時効が完成した時点」という、動かせない一点が決まります。この一点を境に、Aが同じ土地をCに売るという行為の意味が変わります。今度は、完成の後にCが現れた場合です。この時点で、Bは、遡及効によって、占有を始めた日からずっと所有者だったことになっています。本来、Aはもう、この土地を処分する権利を持たないはずです。これは、Aが同じ土地を二重に処分したのと、構造的に同じです。さっきのバトンのたとえで言えば、Aは、本来もう渡す権利を持たないバトンを、無理やりもう一本用意して、Cに渡したことになります。

論文で書く規範:【論文で書く定義・規範】時効完成後の譲受人は二重譲渡類似 取得時効の完成後にその不動産を旧所有者から取得して登記を備えた第三者に対しては、時効取得者は、善意悪意を問わず、登記なくして所有権の取得を対抗することができない。 (規範(最判昭33・8・28))

だから、Cは177条の「第三者」にあたり、Bは登記なくして対抗できません。Cが登記を備えていれば、Cが勝ちます。しかも、Cが事情を知っていたかどうかは問われません。さっきの例で、完成が2020年の春なら、その1日前にCが現れれば当事者類似で登記不要、1日後にCが現れれば二重譲渡類似で登記が要る。冷たいようですが、これが起算点を固定することの帰結です。

買った時点で知っていたら——背信的悪意者の場合

背信的悪意者の応用図。時効完成後に現れたCが、Bが多年にわたり占有している事実を知りながら土地を買い、登記の欠缺を主張することが信義則に反すると認められる場合、Cは背信的悪意者にあたる。 図:背信的悪意者の応用図

以前、177条の「第三者」から排除される、背信的悪意者という立場を確認しました。あの物差しは、ここでも使えます。以前の物差しには、要素が二つありました。物権変動があった事実を知っていること。そのうえで、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情があることです。ここでCが知るべき物権変動は、Bの時効取得です。そして時効取得の土台は、Bが多年にわたって占有してきた、という事実です。ですから、Cが、Bの多年の占有を知りながら土地を買い、その登記の欠缺を主張することが信義則に反すると認められる事情があるなら、Cは背信的悪意者にあたります。

判例最判平18・1・17

背信的悪意者にあたる場合は例外 時効完成後の第三者が、取得時効の成立要件をすべて具体的に認識している必要はなく、占有者が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識していれば、その登記の欠缺を主張することが信義則に反すると認められる限り、背信的悪意者にあたる。この場合、時効取得者は登記なくして対抗することができる。

時効の要件が満たされているかどうかは、簡単には判断できません。ですから、Cが「これはもう時効取得の要件を満たしている」と法律的に正確に分かっている必要まではありません。長年、その人がそこを占有している、という事実さえ知っていれば足ります。ただし、知っているだけでは、まだ一つめの要素です。たとえば、Bが長年そこに住んでいると分かっていながら、Bに高値で売りつける目的で、Aから安く買い取った。そこまでの事情があって、初めて二つめの要素も満たされます。Bの権利が実質的に固まっているのを知りながら、登記が無いという形だけを使って、それをひっくり返そうとする。だから信義に反すると評価されるのです。

単なる悪意なら、完成後の第三者としてCが勝ちます。ですが、多年の占有を知りながら、その登記の欠缺を主張すること自体が信義に反すると言えるほどなら、Cは第三者の資格を失います。

Bが占有を続ければ——再度の時効取得

再度の時効取得の関係図。時効完成後、Cが登記を備えた後もBが占有を続ける。Cの登記の時を起算点として、新たに時効に必要な期間が経過すれば、Bは登記なくしてCに対抗できる。 図:再度の時効取得の関係図

  • 時効完成後、Cが登記を備えた後もBが占有を続ける
  • Cの登記の時を起算点として、新たに時効に必要な期間が経過すれば、Bは登記なくしてCに対抗できる

そこで終わりとは限りません。Bが、Cの登記の後も、その土地の占有を続けていたらどうなるか、考えてください。そして、Cの登記の時から数えて、また新たに時効に必要な期間が経過したとします。Bにとって、Cの登記の時点は、新しい時効の起算点になります。この新しい時効が完成すれば、Bは、登記なくしてCに対抗できます。

論文で書く規範:【論文で書く定義・規範】再度の時効取得 時効完成後の第三者が登記を備えた後も占有者が占有を継続し、その登記の時を起算点とする新たな取得時効期間が経過したときは、占有者は登記なくして新たな取得時効による所有権の取得をその第三者に対抗することができる。 (規範(最判昭36・7・20))

この新しい時効にとって、Cは、Bにとっての新しい当事者になるからです。Cが登記を備えたその瞬間から数え直せば、以後のBの占有は、まさにCという所有者に対する、新たな時効取得の進行そのものです。Cは、一度は第三者として勝ちましたが、その後は、新しい時効にとっての当事者の立場に立たされます。Bが占有をやめない限り、この巻き返しの可能性は、ずっと残り続けます。

抵当権が絡む場合——3つのパターン

抵当権3パターンの比較表。いずれも時効完成後の抵当権設定。パターン1、Bが援用する前にCが抵当権登記、Bは抵当権付きの所有権を取得。パターン2、Cの抵当権登記の後、Bが占有開始時を起算点として援用し所有権移転登記、起算点をずらした再度の援用は認められない。パターン3、Bが一度も援用しないまま再度の期間が経過して初めて援用、援用は認められ抵当権は消滅する。 図:抵当権3パターンの比較表

  • いずれも時効完成後の抵当権設定
  • パターン1、Bが援用する前にCが抵当権登記、Bは抵当権付きの所有権を取得
  • パターン2、Cの抵当権登記の後、Bが占有開始時を起算点として援用し所有権移転登記、起算点をずらした再度の援用は認められない
  • パターン3、Bが一度も援用しないまま再度の期間が経過して初めて援用、援用は認められ抵当権は消滅する

ここまでの考え方を、抵当権が絡む場面に当てはめます。いずれも、時効完成の後に、Cが抵当権の設定を受けて登記を備えた場合です。パターンは三つあります。1つめのパターン。Bが一度も援用しないうちに、Cが抵当権の設定を受けて登記を備えたとします。この場合、Cは177条の「第三者」にあたります。Bが後から援用しても、抵当権の負担が付いたままの所有権を取得するにとどまります。原始取得だから負担が消える、というのは、Bがその相手に時効取得を主張できる場合の話です。完成の後に抵当権の登記を備えたCは、177条の「第三者」です。登記の無いBは、時効取得をCに対抗できません。その結果、Cとの関係では、抵当権の付いた所有権になるのです。原始取得の考え方と、食い違うわけではありません。

2つめのパターンが、少し複雑です。Cが先に、抵当権の設定を受けて登記を備えたとします。その後、Bが、占有を始めた時を起算点として時効取得を援用し、所有権移転登記まで済ませました。ところが、Cの抵当権登記の時から数えても、時効に必要な期間はすでに経過していました。Bは、起算点を後ろにずらして、抵当権を消すためにもう一度援用できるでしょうか。

判例最判平15・10・31

一度確定した権利は、起算点をずらして再度援用できない 時効取得者が、占有開始時を起算点として取得時効の完成を援用し、確定的に所有権を取得した以上、起算点を後の時点にずらして、再度、取得時効の完成を主張し援用することはできない。

決め手は、Bがすでに一度、援用を済ませているかどうかです。Bは、最初の援用によって、占有を始めた時にさかのぼって、確定的に所有権を取得しています。すでに確定した権利を、抵当権という負担を消すためだけに、もう一度時効取得したことにするのは、認められません。では3つめのパターンです。今度は逆に、Bが、Cの抵当権登記の後も、一度も援用しないまま占有を続け、Cの抵当権登記の時を起算点とする期間が、新たに経過しました。そして、ここで初めて援用したとします。

論文で書く規範:【論文で書く定義・規範】初めての援用なら抵当権は消滅する 時効取得者が一度も取得時効の援用をしないまま、第三者の抵当権設定登記の時を起算点とする新たな取得時効期間が経過し、初めてこれを援用した場合、占有者が抵当権の存在を容認していたなどの特段の事情がない限り、援用は認められ、抵当権はその時効取得の結果として消滅する。 (規範(最判平24・3・16))

一度も援用していない、という点です。Bは、まだ一度も所有権を確定させていません。だから、これは、さっき見た再度の時効取得と、まったく同じ構造です。Cの登記の時を起算点とする、新しい時効が、初めて完成したにすぎません。この新しい時効取得の効果として、抵当権も消滅します。2つめと3つめのパターンの分かれ目は、ただ一つ、一度でも援用したことがあるかどうか、それだけです。

時効取得者は誰に登記を求めるか

登記請求の相手方の板。時効取得者は、時効完成時点の登記名義人に対して、時効取得を原因とする所有権移転登記を請求する。相手が元の所有者Aなら請求先はA、完成前にCへ移転登記済みならCが請求先になる。応じなければ、訴えを起こして確定判決によって単独で登記できる。 図:登記請求の相手方の板

  • 時効取得者は、時効完成時点の登記名義人に対して、時効取得を原因とする所有権移転登記を請求する
  • 相手が元の所有者Aなら請求先はA、完成前にCへ移転登記済みならCが請求先になる
  • 応じなければ、訴えを起こして確定判決によって単独で登記できる

最後に、実務上の話を一つだけ加えます。時効取得は原始取得ですが、実際の登記は「時効取得」を原因とする所有権移転登記という形を取ります。時効が完成した時点の、登記名義人に対してです。今日の場面でいえば、元の所有者Aのままだったなら、請求先はAです。時効完成前にCへ移転登記が済んでいたなら、請求先はCになります。なぜ、完成した時点の名義人なんですか。Bの時効取得によって権利を失うのが、その時点の所有者だからです。完成前にCが買っていれば、権利を失うのはAではなくCです。だから、Cが登記を移す相手になります。

相手が応じてくれない場合は、訴えを起こして確定判決を得れば、単独で登記の手続きができます。

今日の地図(保存版)

まとめの板。元の所有者には登記不要。時効完成前の第三者は当事者類似で登記不要。時効完成後の第三者は二重譲渡類似で登記が要る。ただし背信的悪意者には登記不要。Bが占有を続ければ再度の時効取得が起きる。抵当権は、時効完成後・援用前に登記されれば残る。援用済みなら再度の援用はできず、一度も援用しないまま新たな期間が経過すれば消滅する。 図:まとめの板

  • 元の所有者には登記不要
  • 時効完成前の第三者は当事者類似で登記不要
  • 時効完成後の第三者は二重譲渡類似で登記が要る
  • ただし背信的悪意者には登記不要
  • Bが占有を続ければ再度の時効取得が起きる
  • 抵当権は、時効完成後・援用前に登記されれば残る
  • 援用済みなら再度の援用はできず、一度も援用しないまま新たな期間が経過すれば消滅する

今日見てきたことを、1枚にまとめます。元の所有者には、登記なくして対抗できる。ここまでは、前回までの復習でした。時効完成前に現れた第三者は、当事者類似の立場にあり、Bは登記なくして対抗できます。時効完成後に現れた第三者は、二重譲渡類似の関係になり、Bは登記が無ければ対抗できません。そして、Bが占有を続けている限り、あきらめる必要もありません。第三者の登記の時を起算点として、新たな時効が完成すれば、その第三者に対しても、登記なくして対抗できるようになります。一度でも援用して権利を確定させたなら、抵当権を消すためだけの再度の援用はできません。一度も援用していないなら、新しい時効の完成として、抵当権ごと消えます。すべての分かれ目は、今日の中心で確認した、起算点固定という一点から出ています。

参照条文

  • 民法177条(再掲)
  • 民法162条1項(再掲)

民法 全体ロードマップへ →