民法ゼロから民法#205

転得者に対する詐害行為取消請求(424条の5)

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第4章 債権総論 #205/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

売った家が転売されたら、取消しは追いかけるのか

冒頭の設例の関係図。A 取消債権者、B 債務者、C 受益者(親族)、D 転得者。AからBへ債権1,500万円。BからCへ売却(時価2,400万円の家を700万円で。Bの財産はこの家だけ)。CからDへ転売。問い=転売先のDまで、取消しは追いかけるのか。 図:冒頭の設例の関係図

  • A 取消債権者、B 債務者、C 受益者(親族)、D 転得者
  • AからBへ債権1,500万円
  • BからCへ売却(時価2,400万円の家を700万円で。Bの財産はこの家だけ)
  • CからDへ転売
  • 問い=転売先のDまで、取消しは追いかけるのか

設例です。Bは、Aに1,500万円を返す立場にあります。Bの財産は、時価2,400万円の家だけです。ところがBは、その家を、事情を知っている親族のCに、700万円で売りました。Aが取消しに動こうとすると、Cは、その家を、もうDに転売していました。取消しは、転売先のDにまで、追いかけるのでしょうか?先に答えを言います。Cに対して取り消せる場合で、Dも、家を買った時に、Bの売却が債権者を害すると知っていたなら、Dを相手に、家を取り戻せます。Dが知らなかったなら、Dには行けません。その場合は、Cに対して、家の代わりに、お金で返してもらう、価額の償還を求めます。前に見た、424条の6第1項の、返還が困難なときの定めです。なぜDが知っていたかどうかが、分かれ目なのか。それが今日の中身です。前の回で、受益者を相手にするときの取消しの要件が、要件5つと特則3つで、出そろいました。今日は、その続きで、相手が転得者のときに、何が足されるか、です。登場人物は、これまでどおりです。Aが取消債権者、Bが債務者、Cが受益者です。そしてDが、転得者です。転得者とは、受益者からさらに財産を受け取った人のことです。

転得者を相手にできる条件——424条の5

転売の連鎖の関係図。A 取消債権者、B 債務者、C 受益者、D 転得者(1人め)、E 転得者(Dから受け取った人)。BからCへ売却。CからDへ転売。DからEへ転売。取消債権者Aが訴える相手=受益者C、または、転得者(D・E)。 図:転売の連鎖の関係図

  • A 取消債権者、B 債務者、C 受益者、D 転得者(1人め)、E 転得者(Dから受け取った人)
  • BからCへ売却
  • CからDへ転売
  • DからEへ転売
  • 取消債権者Aが訴える相手=受益者C、または、転得者(D・E)

入口の問いです。Cから買ったDにまで、Bの行為の取消しは及ぶでしょうか。Dは、BとCの間の事情を、知らずに買ったかもしれません。Dのように、受益者から財産を受け取った人を、転得者と呼びます。転得者がさらに先へ渡せば、その相手も転得者です。今日は、Dから受け取った人を、Eと呼びます。民法は、転得者の側の事情を、条文の言葉で、条件にしています。読みます。

条文民法424条の5

民法第424条の5 債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができる。 一 その転得者が受益者から転得した者である場合 その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。 二 その転得者が他の転得者から転得した者である場合 その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。

柱書、1号、2号に分けて読みます。柱書は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、です。入口です。転得者に進む前に、まず、受益者のCに対して、取り消せる場面でなければなりません。424条から424条の4の要件を、Cとの関係で満たしている、ということです。前の回までに見た要件5つと特則3つは、この入口の中に、入っています。今日、新しく足されるのは、このあとの1号と2号、つまり転得者が知っていたこと、です。

1号と2号の違い(比較)。1号=受益者から直接転得した人(設例のD)、Dが転得の当時に知っていたとき請求できる。2号=他の転得者から転得した人(設例のE)、E自身とその前に転得した全ての転得者(D)が、それぞれの転得の当時に知っていたとき請求できる。 図:1号と2号の違い

  • 比較
  • 1号=受益者から直接転得した人(設例のD)、Dが転得の当時に知っていたとき請求できる。2号=他の転得者から転得した人(設例のE)、E自身とその前に転得した全ての転得者(D)が、それぞれの転得の当時に知っていたとき請求できる。

1号は、受益者から直接、転得した人です。設例のDです。Dが、転得の当時、つまりCから家を買った時に、債務者がした行為が債権者を害することを、知っていたとき、Dに対しても請求できます。Dが知っていたかどうかで分ける理由は、条文にも判例にも書かれていない、理解のための、こちらの説明です。取消しは、すでに済んだ他人の取引を、あとからひっくり返す、強い手段です。何も知らずに家を買ったDから、家を取り上げれば、Dにとっては不意打ちです。知っていて買ったDなら、取り上げられても、不意打ちではありません。だから、Dが知っていたかどうかが、分かれ目になります。2号は、他の転得者から転得した人です。設例のEです。Eに対して請求するには、E自身と、その前に転得した全ての転得者、つまりDも、それぞれの転得の当時に、知っていなければなりません。悪意かどうかは、各人が取得した、その時点で、各人について判断します。悪意とは、知っていたことです。反対に、知らなかったことは、善意と言います。

何を知っていればよいか、悪意が必要なのは誰までか。D、Eの順に転得。知っている対象=債務者がした行為が債権者を害すること(Cの悪意まで知る二重の悪意は要らない)。悪意が必要な人=被告にする転得者と、その前の人だけ(Eを被告ならEとD/Dを被告ならD/Eの後ろのFは要らない)。 図:何を知っていればよいか、悪意が必要なのは誰までか

  • D、Eの順に転得
  • 知っている対象=債務者がした行為が債権者を害すること(Cの悪意まで知る二重の悪意は要らない)
  • 悪意が必要な人=被告にする転得者と、その前の人だけ(Eを被告ならEとD/Dを被告ならD/Eの後ろのFは要らない)

Dについて、受益者のCの事情まで知っていることは、必要ありません。条文が求めているのは、債務者がした行為が債権者を害すること、を知っていたことです。設例なら、BがCに家を売ると、Bには、Aに返すお金が残らなくなる、という事情です。Cが知っていたことまで、Dが知っている必要は、条文には書かれていません。受益者の悪意についての悪意、いわゆる二重の悪意は、要らないということです。これは、条文の形から読めることです。2017年の改正のときに、なぜそう決めたのか、という立案の過程の説明では、二重の悪意まで求めるのは、厳しすぎるとされて、そこまでは求めない形になりました。ここからは、こちらの説明です。要件が一つ増えれば、Aが、Dを相手に取り戻せる場面は、それだけ狭くなります。もう一つ、数え方の注意です。悪意が必要なのは、被告、つまり訴える相手にする転得者と、その前の人だけです。Eを被告にするなら、EとDです。Dを被告にするなら、Dだけです。Eの後ろに、さらにFがいても、Fの事情は、要りません。条文が、その前に転得した、と書いているからです。前に、受益者が知らなかったことの証明についての判決を読んだとき、転得者は今の条文では別の扱いです、と言って、先に送りました。その続きです。受益者のほうは、424条1項のただし書に、受益者が知らなかったときは取り消せない、という形で書かれています。今の424条1項のただし書に、転得者の言葉はありません。転得者のほうは、いま読んだ424条の5が、請求できる場合の条件として、転得者が知っていたとき、と書いています。条文の書き方が、違うわけです。そのうえで、転得者が知っていたことを、どちらが証明するのか、という点は、条文には書かれていません。立案の過程の説明では、転得者が、債務者の親族などの内部者のときに、知っていたものと推定する規定は、民法には置かないことにして、実務の運用に任せるとされています。ですから、条文から言えるのは、転得者についての書き方が、受益者とは違う、というところまでです。

なぜ善意の人を経由すると、先へ行けないのか

善意の人を経由すると先へ行けない理由の板。受益者Cが善意=受益者に対して請求できない=転得者へ進む入口が閉じる(条文の言葉・柱書)/間のDが善意=後ろのEが悪意でも行けない(条文の言葉・2号)。理由=善意の人を経由した取引は後ろへ波及させない(立案の過程の説明)。 図:善意の人を経由すると先へ行けない理由の板

  • 受益者Cが善意=受益者に対して請求できない=転得者へ進む入口が閉じる(条文の言葉・柱書)/間のDが善意=後ろのEが悪意でも行けない(条文の言葉・2号)
  • 理由=善意の人を経由した取引は後ろへ波及させない(立案の過程の説明)

結論を暗記する前に、理由を押さえます。ここで、前に、受益者が知っていたかどうかを見た回の復習です。受益者が、債権者を害することを知らなかった、ということは、受益者と取消債権者の、どちらが証明するのでしたか?受益者のCです。受益者が、知らなかったと証明すれば、受益者に対して取り消せません。そして、柱書は、受益者に対して取消請求ができる場合を、入口に置いています。ですから、受益者のCが善意なら、Dが悪意でも、転得者に進む入口が、閉じています。ここまでは、条文の言葉です。では、なぜ、そう決めたのか。立案の過程の説明は、転得者の取引の安全を守るため、です。いったん善意の人を経由した取引は、後ろの人が悪意でも、画一的に落ち着かせます。破産の手続にある、前に見た否認権という似た働きをする制度とも、考え方をそろえました。破産の手続のほうが取り消しにくく、平時の債権者のほうが取り消しやすい、という逆転を避ける、という説明もあります。具体例で見ます。ここは、こちらの説明です。Cは、何も知らずに、Bから家を買いました。Cは、自分の物として、家を自由に売れるはずです。ここで、取り消す対象を確かめます。Dを相手にするときも、取り消すのは、CからDへの転売ではありません。もとの、BがCに家を売った行為です。前に読んだ424条1項が、取消しの対象を、債務者がした行為、としていたからです。ですから、Cが善意でもDに行ける、と仮に決めると、取り消されるのは、善意のCが買った、その取引です。あとでDが、事情を知って買ったというだけで、Cの買った取引が取り消されるなら、Cは、いつ取り消されるか分からない物を、持っていたことになります。善意のCが受け取った時点で、その取引は落ち着いた、という扱いにしておく。いったん鍵のかかった扉は、後ろの人が事情を知っていても、開けて戻らない、というイメージです。

2号も、同じ理由です。DとEが並んでいて、Dが善意なら、Eが悪意でも、Eには行けません。2号が、その前に転得した全ての転得者の悪意を求めているのは、条文の言葉です。理由は、先ほどと同じ、善意の人を経由した取引は、後ろへ波及させない、という立案の過程の説明です。組合せを、表にします。その前に、小さな問題です。Cが善意で、Dだけが悪意だったとします。Aは、Dを訴えられるでしょうか?受益者のCが善意なら、入口が閉じているので、Dには行けない、です。ここまでを、冒頭の問いに重ねます。Dを相手に取り戻せるのは、Cに対して取り消せる場合で、Dも知っていたときです。途中に、知らずに受け取った人が一人でもいれば、取消しは、その先へは行けません。表で確かめます。表のC悪意は、Cに対して取消請求ができる場合、という意味です。

組合せ表——誰に何を求められるか

善意悪意の組合せ表(その1)。表のC悪意=Cに対して取消請求できる場合のこと。1行目 C悪意・D悪意=Cにも、Dにも請求できる/Cには価額の償還、Dには家の返還。2行目 C悪意・D善意=Dには行けない/Cに取消しと価額の償還(前に見た424条の6第1項)。 図:善意悪意の組合せ表

  • その1
  • 表のC悪意=Cに対して取消請求できる場合のこと。1行目 C悪意・D悪意=Cにも、Dにも請求できる
  • Cには価額の償還、Dには家の返還。2行目 C悪意・D善意=Dには行けない
  • Cに取消しと価額の償還(前に見た424条の6第1項)。

1行目、Cも、Dも悪意です。Cを相手にしても、Dを相手にしても、請求できます。求める中身は、相手で変わります。Dを相手にするなら、家はDの手元にありますから、家の返還です。転得者に何を求められるかを定めた条文は、次の回で読みます。Cを相手にするなら、価額の償還です。Cは、家をDに転売していて、家そのものは返せないからです。2行目、Cが悪意、Dが善意です。Dには行けません。Cに、取消しとともに、価額の償還を求めます。冒頭の問いの、後半の答えは、この行です。Cへの価額の償還は、1行目も、2行目も、前に見た424条の6第1項の受けです。取り消せる相手のCは、もともと、受け取った家を返す立場です。その家が、転売で手元に無く、返還が困難なときです。そのときは、取消しとともに、財産の代わりに、値段分のお金、価額の償還を請求できる、という定めでした。ですから、Dには行けなくても、Cに対しては、家の代わりに、価額の償還を求められます。どこまで求められるか、債権の額との関係は、取消しの範囲の回で見ます。

善意悪意の組合せ表(その2)。表のC悪意=Cに対して取消請求できる場合のこと。3行目 C善意(Dは悪意でも)=どちらにも行けない。4行目 C悪意・D善意・E悪意=Eには行けない(Dも悪意が要る)/Cに価額の償還。5行目 C悪意・D悪意・E悪意=Eにも行ける/Eに家の返還(Eの後ろの人の事情は要らない)。間に善意の人がはさまる場合=4行目。 図:善意悪意の組合せ表

  • その2
  • 表のC悪意=Cに対して取消請求できる場合のこと。3行目 C善意(Dは悪意でも)=どちらにも行けない。4行目 C悪意・D善意・E悪意=Eには行けない(Dも悪意が要る)
  • Cに価額の償還。5行目 C悪意・D悪意・E悪意=Eにも行ける
  • Eに家の返還(Eの後ろの人の事情は要らない)。間に善意の人がはさまる場合=4行目。

3行目、Cが善意なら、Dが悪意でも、どちらにも行けません。4行目、Cが悪意、Dが善意、Eが悪意です。Eは、悪意でも、行けません。Dも悪意でなければならないからです。Cに、価額の償還を求めます。5行目、C、D、Eが、みんな悪意です。Eにも行けます。家はEの手元にありますから、Eに、家の返還を求めます。Eの後ろの人の事情は、要りません。ここで、小さな問題です。C悪意、D善意、E悪意のとき、Aは、Eを訴えられるでしょうか?Dが善意だから、Eが悪意でも、行けないです。Cに、価額の償還を求めることになります。2号は、Dの悪意も、求めています。

改正前と今の違い——判例と条文

改正前と今の違い(比較)。改正前=判例が、転得者自身が悪意なら前の人が善意でも追及を免れないと述べた/今=条文(2017年の改正)が、受益者に対して請求できることと、転得者と前の転得者の悪意を要件にし、前の人が善意のときは後ろへ行けない。変わらない点=善意悪意は各人の転得の当時の認識で決まる。 図:改正前と今の違い

  • 比較
  • 改正前=判例が、転得者自身が悪意なら前の人が善意でも追及を免れないと述べた
  • 今=条文(2017年の改正)が、受益者に対して請求できることと、転得者と前の転得者の悪意を要件にし、前の人が善意のときは後ろへ行けない。変わらない点=善意悪意は各人の転得の当時の認識で決まる。

いま見た、善意の人を経由すると先へ行けない、という決まりは、改正前の判例とは、逆です。その判例を1つ見ます。改正前の条文についての判決です。

判例最判昭49・12・12 集民113号523頁

受益者又は転得者の善意・悪意 民法四二四条所定の詐害行為の受益者又は転得者の善意、悪意は、その者の認識したところによつて決すべきであつて、その前者の善意、悪意を承継するものではないと解すべきであり、また、受益者又は転得者から転得した者が悪意であるときは、たとえその前者が善意であつても同条に基づく債権者の追及を免れることができないというべきである。

言葉を直します。「承継」は、引き継ぐことです。「追及」は、財産を追いかけて取り戻すことです。判決が述べたことは、2つです。1つめ、受益者や転得者が善意か悪意かは、その人自身の認識で決まり、前の人の善意や悪意を引き継ぎません。2つめ、転得者が悪意なら、前の人が善意でも、債権者の追及を免れません。改正で、2つめが変わりました。2017年の改正で、受益者に対して請求できることと、転得者と、その前の転得者の悪意が、条文の要件になりました。前の人が善意のときは、後ろへ行けない形です。1つめの、その人自身の認識で決まる、という部分は、条文でも、各人の転得の当時の認識として、残っています。論文で論点になりうる所です。424条の5の要件は、条文どおりの成立要件ですから、条文番号を付けて、条文の言葉で書きます。なぜ前の人が善意だと後ろへ行けないのか、は、立案の過程の説明です。理由づけに使い、要件の置き換えには使わない、という区別です。たとえば、Dに請求できるかを書くときは、1号の、転得の当時に知っていたか、を当てはめます。取引の安全を害するかどうか、を要件のように立てるのではありません。

冒頭の問いに戻る——今日のまとめ

今日のまとめ。3つの柱と根拠の札。1 転得者を相手にできる2つの要件=条文(424条の5)/2 全員の悪意と、善意の人を経由すると先へ行けない理由=条文(2号)と立案の過程の説明と判例(改正前との違い)/3 組合せ表=条文(424条の5)と、前に見た424条の6第1項(Cへの価額の償還)。要点=Cに対して取り消せる場合で、Dが転得の当時に知っていたなら、Dに家の返還。Dが知らなければ、Cに価額の償還。 図:今日のまとめ

  • 3つの柱と根拠の札
  • 1 転得者を相手にできる2つの要件=条文(424条の5)/2 全員の悪意と、善意の人を経由すると先へ行けない理由=条文(2号)と立案の過程の説明と判例(改正前との違い)/3 組合せ表=条文(424条の5)と、前に見た424条の6第1項(Cへの価額の償還)
  • 要点=Cに対して取り消せる場合で、Dが転得の当時に知っていたなら、Dに家の返還
  • Dが知らなければ、Cに価額の償還

冒頭の問いに戻ります。Bは、唯一の財産の家を、事情を知る親族のCに安く売り、Cは、その家をDに転売していました。取消しは、転売先のDまで、追いかけるのか、でした。答えです。Cに対して取り消せる場合で、Dが、転得の当時に、Bの売却が債権者を害すると知っていたなら、Dに対しても、取消しを請求でき、家の返還を求められます。Dが知らなかったなら、Dには行けません。Cに対して、価額の償還を求めます。3つの柱を整理します。1つめ、転得者を相手にできる2つの要件です。受益者に対して請求できること、そして、転得者が、転得の当時に知っていたこと。根拠は、424条の5の条文です。2つめ、間に人がいれば、その前の人全員の悪意が要ること、そして、善意の人を経由すると先へ行けない理由です。根拠は、2号の条文と、善意の人を経由した取引は後ろへ波及させない、という立案の過程の説明です。改正前の判例との違いも、ここに入ります。3つめ、組合せ表です。Cが悪意でDも悪意なら、Dに家の返還。Cが悪意でDが善意なら、Cに価額の償還。Cが善意なら、どちらにも行けません。根拠は、424条の5の条文と、前に見た424条の6第1項です。転売先まで追いかけられる条件は、これで分かりました。取り消せると分かったあと、誰を相手に、いつまでに、どう訴えるかは、次の回です。

参照条文

  • 民法424条の5

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