民法ゼロから民法#209

詐害行為取消しの認容判決の効力と受益者の反対給付(425条・425条の2)

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第4章 債権総論 #209/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

取消しの判決は、誰にまで効くのか

冒頭の設例の関係図。A 取消債権者、B 債務者、C 受益者(親族)、D 転得者。AからBへ貸金1,500万円。BからCへ売却(時価2,400万円の家を700万円で)。CからDへ転売。取消しを認める判決が確定し、AはCから価額の償還として1,500万円を取り戻した。問い=訴えに加わっていないBの他の債権者も、戻った財産から回収できるのか/家の代金700万円を払ったCは、払い損なのか。 図:冒頭の設例の関係図

  • A 取消債権者、B 債務者、C 受益者(親族)、D 転得者
  • AからBへ貸金1,500万円
  • BからCへ売却(時価2,400万円の家を700万円で)
  • CからDへ転売
  • 取消しを認める判決が確定し、AはCから価額の償還として1,500万円を取り戻した
  • 問い=訴えに加わっていないBの他の債権者も、戻った財産から回収できるのか/家の代金700万円を払ったCは、払い損なのか

設例の続きです。Aは、Bに1,500万円を貸しています。Bは、時価2,400万円の家を、親族のCに700万円で売り、Cは、その家をDに転売しました。取消しを認める判決が確定して、AはCから、価額の償還として1,500万円を取り戻しました。取消しの範囲も、お金の払い先も、前の回までに見たとおりです。ここで、2つの疑問が残ります。訴えに加わっていない、Bの他の債権者も、戻った財産から回収できるのでしょうか。そして、家の代金として700万円を払ったCは、払い損なのでしょうか。先に答えを言います。取消しを認める判決の効力は、被告になったCだけでなく、債務者のBと、Bのすべての債権者にも及びます。だから、家そのものがBの名義に戻る形なら、他の債権者も、その家に強制執行をかけられます。ただし、設例のように、Aが現金で受け取った1,500万円を、分けろとAに請求できるわけではありません。そしてCは、払い損ではありません。Bに、払った代金の返還を請求できます。今日は、根拠が混ざりますので、4つに言い分けます。条文という札を付けるのは、条文に書かれていることです。判例の札を付けるのは、最高裁や、その前の大審院の判決が述べたことです。立案の過程の説明という札を付けるのは、2017年の改正のとき、なぜそう決めたのか、として説明されていることです。こちらの説明という札を付けるのは、条文にも判例にも書かれていない、理解のための、この講義の説明です。

判決の効力は誰に及ぶのか——425条

効力が及ぶ者の関係図。AがCを被告として訴え(訴え)、勝った。効力は、A・C(当事者)、B 債務者、Bのすべての債権者に及ぶ(効力)。円の役ラベル=A 取消債権者/B 債務者/C 受益者/D 転得者。辺ラベルの語=訴え/効力。 図:効力が及ぶ者の関係図

  • AがCを被告として訴え(訴え)、勝った
  • 効力は、A・C(当事者)、B 債務者、Bのすべての債権者に及ぶ(効力)
  • 円の役ラベル=A 取消債権者/B 債務者/C 受益者/D 転得者
  • 辺ラベルの語=訴え/効力

1つめの柱です。取消しを認める判決が確定したとき、その効力は誰に及ぶのか。条文を読みます。

条文民法425条

民法第425条 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。

言葉を直します。認容するとは、請求を認めることです。確定判決とは、もう争えなくなった判決のことです。「に対しても」の、「も」が大事です。訴えの当事者に効力が及ぶのは、いわば当たり前で、それに加えて、債務者と、そのすべての債権者にも及ぶ、という意味です。当事者に及ぶという原則は、民事訴訟法の定めです。設例に当てはめます。AがCを被告にして、勝ったとします。効力は、まず当事者のAとCに及びます。次に、被告になっていないBにも及びます。前に、AがCに勝つと、Bも、Cへの売却は取り消された、という結果を受ける、と見たとおりです。さらに、Bの、すべての債権者にも及びます。訴えに加わらなかった債権者にも、取り消された、という結果が及びます。ここまでは、条文の札を付けます。

条文は、その全ての債権者、と書くだけで、前か後かを分けていません。ですから、どちらも入る、と読むのが自然です。ただしこれは、条文の言葉の読み方で、こちらの説明です。

転得者だけを被告にした場合の関係図。AがDだけを被告として訴え、勝った。効力は、A・D・B・Bのすべての債権者に及ぶが、被告にしていないC 受益者には及ばない。円の役ラベル=A 取消債権者/B 債務者/C 受益者/D 転得者。辺ラベルの語=訴え/効力。 図:転得者だけを被告にした場合の関係図

  • AがDだけを被告として訴え、勝った
  • 効力は、A・D・B・Bのすべての債権者に及ぶが、被告にしていないC 受益者には及ばない
  • 円の役ラベル=A 取消債権者/B 債務者/C 受益者/D 転得者
  • 辺ラベルの語=訴え/効力

次は、及ばない者です。AがCではなく、転得者のDだけを被告にして、勝ったとします。効力は、A・D、そしてBとBのすべての債権者に及びます。しかし、被告にしていないCには及びません。Cとの関係では、BからCへの売却は、取り消されていないままです。条文は、及ぶ者を挙げていて、Cを挙げていません。ここから、及ばない、と読めます。条文の反対側から読む、こちらの説明です。設例で言えば、Dは、払った代金を、Cに返せと求めることができません。Cとの関係では、売却が取り消されていないからです。Dの立場は、後の回で扱います。条文の言葉を、もう1つ見ます。条文は、請求を認容する確定判決、と書いています。ここで、問いです。Aが負けた判決は、債務者や、他の債権者にも及ぶでしょうか?

及びません。条文が及ぶとしているのは、請求を認容する確定判決だけです。Aが負けた判決は、債務者や他の債権者を縛りません。条文の言葉で決まる点で、短答では、棄却は及ばない、という形で出ます。ここは、条文の札を付けます。ここは、論文で論点になりうる所です。425条は、成立の要件ではなく、効果を定めた条文です。条文どおりに、条文番号を付けて書いてください。

効力が及ぶことと、分配を請求できることは別

仕分けの表。2列=「効力が及ぶ(425条)」と「分配を請求できる(前の回の判例)」。中身=取り消された結果(財産がBの責任財産に戻ったこと)を、債務者とすべての債権者との関係で前提にできる/Aが自分に受け取ったお金を、他の債権者がAに分けろと求める権利。札=条文(425条)、意味づけは立案の過程の説明とこちらの説明/判例(分ける義務を負うとは解されない)。向く先=取消しの結果そのもの/Aが取ったお金の行き先。 図:仕分けの表

  • 2列=「効力が及ぶ(425条)」と「分配を請求できる(前の回の判例)」
  • 中身=取り消された結果(財産がBの責任財産に戻ったこと)を、債務者とすべての債権者との関係で前提にできる/Aが自分に受け取ったお金を、他の債権者がAに分けろと求める権利
  • 札=条文(425条)、意味づけは立案の過程の説明とこちらの説明/判例(分ける義務を負うとは解されない)
  • 向く先=取消しの結果そのもの/Aが取ったお金の行き先

ここで引っかかります。前の回では、他の債権者は、取消債権者に分配を請求できない、と習いました。でも今日は、すべての債権者に効力が及ぶ、と言います。矛盾していませんか。大事な疑問です。結論から言うと、矛盾しません。2つは、別のことを言っています。表に仕分けます。左の列、効力が及ぶ、とは、取り消された、という結果を、その人との関係でも前提にできる、という意味です。取り消された結果とは、財産が、Bの責任財産、つまり前に見た、強制執行の対象になる財産に、戻ったことです。条文が定めているのは、ここまでです。意味づけとして、責任財産が戻ったことを前提に、すべての債権者が、強制執行などをできるようにする、と説明されています。これは、立案の過程の説明に、こちらの説明を足した言い方です。右の列、分配を請求できる、とは、Aが自分に受け取ったお金について、他の債権者が、Aに、分けろと求める権利のことです。これは、判例が、ない、と言いました。理由は、前の回で見たとおり、分ける時期や手続を決める規定が、法律に無いからでした。ここは、判例の札を付けます。たとえ話です。町内の掲示板に、この家はBのものに戻りました、と貼り出された場面を考えてください。町内の誰もが、それを前提に動けます。これが、効力が及ぶ、です。しかし、貼り出されたことは、貼り出させた人が手にしたお金を、他の人が分けてもらう権利にはなりません。これが、分配を請求できる、とは別だ、ということです。

設例で通します。家そのものを戻す形、つまり、Cがまだ家を持っていて、登記をBの名義に戻す場合なら、他の債権者は、Bの名義の家に、自分の債権で強制執行をかけられます。取り消された結果を前提にできるからです。一方、設例のように、Cが家をDに転売していて、AがCから現金で受け取った1,500万円については、他の債権者は、Aに、分けろと請求する権利を持ちません。前の回の判決は、取消債権者に、分ける義務は無い、と述べていました。場面を変えると、受益者がもともとBの債権者で、弁済を取り消された場合も、自分の債権の割合で分けた額、按分額の支払を拒めない、と前の回で見ました。これは、払う側の受益者の話で、受け取ったAに分けろと言う話とは、別です。Aが受け取った1,500万円は、Bに返す債務を負いますが、自分の貸金と相殺、つまり差し引きすれば、事実上の優先弁済になります。前の回で見た、こちらの説明です。

効力が及ぶとは、取り消された結果を前提にできること。分配を請求できるかどうかは、別で、判例上は、ない。この一文を、答案でも崩さないようにしてください。

なぜ変えたのか——改正前の相対的取消しとの比較

改正前と改正後の比較表。観点4行。条文=旧425条「前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる」/425条「債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する」。効力の範囲=原告と被告の間だけ(相対的取消し)・債務者には及ばない(判例 大連判明44・3・24)/原告・被告に加え、債務者と全債権者。債務者の関与=被告にしない・告知の定めは無い/被告にしないのは同じ・訴訟告知が義務(424条の7第2項)。受益者の反対給付=旧法の条文に定めは無い/425条の2が定める。 図:改正前と改正後の比較表

  • 観点4行
  • 条文=旧425条「前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる」/425条「債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する」
  • 効力の範囲=原告と被告の間だけ(相対的取消し)・債務者には及ばない(判例 大連判明44・3・24)/原告・被告に加え、債務者と全債権者
  • 債務者の関与=被告にしない・告知の定めは無い/被告にしないのは同じ・訴訟告知が義務(424条の7第2項)
  • 受益者の反対給付=旧法の条文に定めは無い/425条の2が定める

2つめの柱です。改正前は、どうなっていたのでしょうか。表で並べます。改正前の条文は、旧425条です。取消しは、すべての債権者の利益のために、その効力を生ずる、と書いてありました。債務者への効力は、書かれていません。そして判例は、大審院の連合部の判決で、取消しの効力は相対的だ、としました。判決が述べたことは、詐害行為の取消しの効力は、訴訟の相手方に対しては、その行為を無効にするが、訴訟に関わらなかった債務者などに対しては、その行為は依然として存立する、ということです。これを、相対的取消しと呼びます。相対的とは、効力が、訴えの当事者の間だけにとどまる、という意味です。ここまでは、判例の札を付けます。表の下の段を見ます。改正前は、債務者を被告にしませんでした。そして、債務者への告知の定めも、ありませんでした。今は、被告にしないのは同じで、訴訟告知が義務です。ここで、以前の回で見た問いです。債務者を被告にしないのに、債務者に訴訟告知をするのは、なぜでしたか?

判決の効力が債務者にも及ぶので、被告にはしなくても、関わる機会を保障するため、でした。424条の7第2項が定める告知です。その理由づけは、立案の過程の説明でした。今日の425条で、その土台が条文になった、というつながりです。では、相対的取消しだと、何が不都合だったのか。ここは、こちらの説明で組み立てます。相対的取消しなら、債務者のBとの関係では、BからCへの売却は、取り消されていません。すると、Cは、家を返しても、取り消されたのだから代金を返せ、とBに言う根拠に欠けます。Bとの関係で売却が生きているなら、700万円は、正当な代金のままだからです。また、財産はBの責任財産に戻ったものとして扱うのに、Bとの関係では売却が生きたまま、という食い違いが残ります。そのため、他の債権者がその財産にどう関わるのかも、説明しにくくなります。立案の過程の説明では、こう説明されています。相対的取消しはとらず、判決の効力を、債務者にも及ぼすことにした。受益者が、ただ財産を返すだけで終わるのは酷だ、という批判もあった、と。債務者の側には、被告にしない代わりに、訴訟告知で関与の機会を与えます。表のいちばん下の段のとおり、旧法の条文には、受益者の反対給付の定めがありませんでした。今は、次に読む425条の2が定めています。論文では、改正前の相対的取消しは、判例の結論として覚えます。今は、条文が債務者と、すべての債権者に及ぼしている、という変化を押さえてください。

受益者は払い損ではない——425条の2

425条の2の流れの図。Cは、取り戻された家の価額の償還を、Aに払う(1,500万円)。そのうえで、CからBへ、家の代金として払った代金の返還を請求する(額は、取消しが一部にとどまるとき断定しない)。辺ラベルの語=請求/返還。円の役ラベル=A 取消債権者/B 債務者/C 受益者。 図:425条の2の流れの図

  • Cは、取り戻された家の価額の償還を、Aに払う(1,500万円)
  • そのうえで、CからBへ、家の代金として払った代金の返還を請求する(額は、取消しが一部にとどまるとき断定しない)
  • 辺ラベルの語=請求/返還
  • 円の役ラベル=A 取消債権者/B 債務者/C 受益者

3つめの柱です。冒頭の問いの後半です。家の代金として700万円を払ったCは、払い損なのでしょうか。条文を読みます。

条文民法425条の2

民法第425条の2 債務者がした財産の処分に関する行為(債務の消滅に関する行為を除く。)が取り消されたときは、受益者は、債務者に対し、その財産を取得するためにした反対給付の返還を請求することができる。債務者がその反対給付の返還をすることが困難であるときは、受益者は、その価額の償還を請求することができる。

3つに言い分けます。まず、括弧の外から読みます。債務者がした、財産の処分に関する行為が取り消されたとき、です。設例の、家の売却は、財産の処分に当たります。括弧書きは、債務の消滅に関する行為を除く、です。たとえば弁済のような、債務をなくす行為は、この条文の外です。その場合は、後の回で扱います。前段です。受益者は、債務者に対し、その財産を取得するためにした反対給付の返還を請求できます。反対給付とは、財産を手にするために、こちらが払った見返りです。設例では、Cが払った700万円が、反対給付です。たとえば、Cがまだ家を持っていて、家そのものをBに戻す、つまり売却の全部が取り消される場面なら、Cは、Bに対して、700万円の返還を請求できます。条文の札を付けます。後段です。債務者が、その反対給付の返還をすることが困難なときは、受益者は、その価額の償還を請求できます。設例の700万円は、お金ですから、返せます。後段の場面を見るために、ここからは別の例です。Cが、代金の代わりに、自分の絵画をBに渡していたとします。ところが、Bは、その絵画を、すでに手放していて、返せません。このとき、Cは、絵画の価額の償還を、Bに求められます。価額とは、その絵画の値打ちを、お金に直した額です。これも、条文の札を付けます。

CがBに返還を求められる筋道。1 判決の効力がBにも及ぶ(425条)/2 Bとの関係でも売却は取り消されたことになる/3 Cが払った代金はBの手元に法律上の原因なく残る/4 だからCはBに返すことを求められる(425条の2)。札=条文・こちらの説明・立案の過程の説明。改正前の相対的取消しではこの筋道が立たなかった。 図:CがBに返還を求められる筋道

  • 1 判決の効力がBにも及ぶ(425条)/2 Bとの関係でも売却は取り消されたことになる/3 Cが払った代金はBの手元に法律上の原因なく残る/4 だからCはBに返すことを求められる(425条の2)
  • 札=条文・こちらの説明・立案の過程の説明
  • 改正前の相対的取消しではこの筋道が立たなかった

Cが、Bに返還を求められるのは、判決の効力が、Bにも及ぶからです。今日の1つめの柱が、ここで使われます。Bとの関係でも、BからCへの売却は、取り消されたことになります。取り消されたなら、Cが払った代金は、Bの手元に、法律上の原因なく、つまり、持っている理由が無いまま、残ります。ですからCは、Bに、返すことを求められます。この組み立ては、立案の過程の説明と、こちらの説明です。改正前の相対的取消しでは、Bとの関係で、売却が取り消されていません。そのため、この筋道が立たなかった、というのが、さきほどの表の意味です。

返す順番とCの請求の額。順番=家の返還または価額の償還のあとに代金を請求(通説・条文に順番は書かれていない)/同時履行で拒めない=Aの取戻しがCの都合で止まるから(こちらの説明)/請求の額=取消しが一部にとどまるとき断定しない/Bが無資力のときは他の債権者の債権と並ぶ一つの請求になりうる(こちらの説明)。 図:返す順番とCの請求の額

順番も見ます。Cが、家を返す、または、設例のように、価額の償還をします。そのあとに、Cは代金の返還を請求する、という順番で考えるのが通説です。条文には、この順番は書かれていません。そして、Cは、前に見た同時履行、つまり、相手が返すまで自分も返さない、という言い分で、代金が戻るまで返さない、とは言えません。なぜか。もしCがそう言えるなら、Aの取戻しが、Cの都合で止まってしまうからです。この理由づけは、こちらの説明です。Cは、払った700万円を、全部確実に取り戻せるのでしょうか。そこは、断定できません。まず、設例では、取消しが、Aの債権額の1,500万円の限度にとどまります。時価2,400万円の家の売却が、一部だけ取り消されたわけです。このとき、700万円の全部を請求できるのか、取り消された分に見合う割合の額なのかは、条文に書かれていませんので、ここでは断定しません。こちらの説明です。次に、Bが無資力、つまり前に見た、自分の財産では債務を払いきれない状態になっているなら、Cの代金の返還の請求は、他の債権者の債権と並ぶ、一つの請求になりえます。Bの財産が全員には足りないので、Cが全額を回収できる、とは限りません。これは、条文には書かれていない見方で、こちらの説明です。ここは、論文で論点になりうる所です。425条の2は、効果を定めた条文です。条文どおりに、条文番号を付けて書いてください。前段と後段、それに括弧書きを、条文の言葉で言い分けます。

冒頭の問いに戻る——今日のまとめ

今日のまとめ。3つの柱と根拠の札。1 判決の効力が及ぶ者=条文(425条・債務者・すべての債権者・認容判決のみ。原告・被告に及ぶのは民事訴訟法の定め)、分配を請求できるとは別=判例(分ける義務が無い)。2 改正前の相対的取消し=判例(大審院連合部)→改正後=条文(425条)、訴訟告知とのつながり=立案の過程の説明。3 受益者の反対給付=条文(425条の2)、順番=通説、同時履行で拒めない理由・Cの請求の姿=こちらの説明。最下段=答え。他の債権者にも効力は及ぶが、Aに分配を請求できるわけではない。Cは、Bに、払った代金の返還を請求できる(額は断定しない)。 図:今日のまとめ

  • 3つの柱と根拠の札
  • 1 判決の効力が及ぶ者=条文(425条・債務者・すべての債権者・認容判決のみ。原告・被告に及ぶのは民事訴訟法の定め)、分配を請求できるとは別=判例(分ける義務が無い)
  • 2 改正前の相対的取消し=判例(大審院連合部)→改正後=条文(425条)、訴訟告知とのつながり=立案の過程の説明
  • 3 受益者の反対給付=条文(425条の2)、順番=通説、同時履行で拒めない理由・Cの請求の姿=こちらの説明
  • 最下段=答え
  • 他の債権者にも効力は及ぶが、Aに分配を請求できるわけではない
  • Cは、Bに、払った代金の返還を請求できる(額は断定しない)

冒頭の問いに戻ります。訴えに加わっていない、Bの他の債権者も、戻った財産から回収できるのか。そして、700万円を払ったCは、払い損なのか、でした。答えです。取消しを認める判決の効力は、Bと、Bのすべての債権者にも及びます。ですから、家そのものがBの名義に戻る形なら、他の債権者も、その家に強制執行をかけられます。ただし、Aが現金で受け取った1,500万円を、分けろとAに請求できるわけではありません。そしてCは、払い損ではありません。Bに、払った代金の返還を請求できます。3つの柱を、札を付けて整理します。1つめ、効力が及ぶ者です。原告と被告に加え、債務者と、すべての債権者に及びます。認容する確定判決だけで、棄却は及びません。これは、425条の条文です。分配を請求できるかは別で、できない、というのが判例です。2つめ、改正前は、大審院の連合部の判決が、取消しの効力は相対的で、当事者の間だけとしました。これは、判例です。今は、425条が、債務者とすべての債権者に及ぼしています。訴訟告知とのつながりは、立案の過程の説明です。3つめ、受益者の反対給付です。返還と、困難なときの価額の償還は、425条の2の条文です。返す順番は、通説です。同時履行で拒めない理由と、Cの請求の姿は、こちらの説明です。取消しの判決の効力と、Cが払った700万円は、分かりました。取り消された行為が、弁済のような債務の消滅行為だったときと、転得者が被告のときは、どうなるのか。それは、後の回で扱います。

参照条文

  • 民法425条
  • 民法425条の2

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