民法ゼロから民法#210

受益者の債権の回復と転得者の権利(425条の3・425条の4)

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第4章 債権総論 #210/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

返した弁済が取り消されたら、貸金は生き返るか

冒頭の設例の関係図。A 取消債権者、B 債務者(小さな食品卸の会社)、C 受益者(社長の弟)。AからBへ債権900万円(売掛代金)。CからBへ債権500万円(貸金)。BからCへ弁済500万円。取消しを認める判決が確定し、Cは受け取った500万円を返還した。問い=CのBに対する貸金500万円は、消えたままなのか。辺ラベルの語=債権/弁済/返還。 図:冒頭の設例の関係図

  • A 取消債権者、B 債務者(小さな食品卸の会社)、C 受益者(社長の弟)
  • AからBへ債権900万円(売掛代金)
  • CからBへ債権500万円(貸金)
  • BからCへ弁済500万円
  • 取消しを認める判決が確定し、Cは受け取った500万円を返還した
  • 問い=CのBに対する貸金500万円は、消えたままなのか
  • 辺ラベルの語=債権/弁済/返還

設例の続きです。Bは、小さな食品の卸売会社です。Aに、売掛代金900万円を払う立場にありますが、手元の現金は500万円だけでした。そこで社長は、Bに500万円を貸していた自分の弟Cに、その500万円を全額返しました。Aは、この弁済を偏頗行為として取り消しました。偏頗行為とは、特定の債権者だけを有利にする行為のことです。受益者が債務者の債権者の1人で、その弁済が取り消される。前の回で、按分額の支払を拒めない、とした判例と同じ場面です。判決が確定して、Cは、受け取った500万円を返しました。ここで問いです。Cが貸していた500万円は、どうなるのでしょうか。消えたままなのでしょうか?

今日の出発点は、消えたままか、戻るか、です。先に答えです。Cが500万円を返せば、CのBに対する500万円の貸金債権は、元に戻ります。425条の3です。ただし、先に返すのが条件で、返す前は戻りません。前の回で、2つ預けていました。取り消された行為が、弁済のように債務をなくす行為だったとき。そして、転得者が被告のとき。今日が、その答えです。今日は、根拠が混ざりますので、4つに言い分けます。条文という札を付けるのは、条文に書かれていることです。判例の札を付けるのは、最高裁や、その前の大審院の判決が述べたことです。立案の過程の説明という札を付けるのは、2017年の改正のとき、なぜそう決めたのか、として説明されていることです。こちらの説明という札を付けるのは、条文にも判例にも書かれていない、理解のための、この講義の説明です。答案では、条文と判例は、その言葉を引いて書き、それ以外は、理由を添えて書く、という違いになるからです。

弁済が取り消されたら、貸金は戻る——425条の3

425条の3の流れの図。A 取消債権者、B 債務者(小さな食品卸の会社)、C 受益者(社長の弟)。1 BからCへ弁済500万円(Cの貸金500万円は消える)。2 Aが取消しを請求し、判決が確定。3 Cが受け取った500万円を返還。4 CのBに対する貸金500万円が回復する。辺ラベルの語=弁済/返還/回復。 図:425条の3の流れの図

  • A 取消債権者、B 債務者(小さな食品卸の会社)、C 受益者(社長の弟)
  • 1 BからCへ弁済500万円(Cの貸金500万円は消える)
  • 2 Aが取消しを請求し、判決が確定
  • 3 Cが受け取った500万円を返還
  • 4 CのBに対する貸金500万円が回復する
  • 辺ラベルの語=弁済/返還/回復

1つめの柱です。今日の問いの答えが書いてある条文を、読みます。

条文民法425条の3

民法第425条の3 債務者がした債務の消滅に関する行為が取り消された場合(第四百二十四条の四の規定により取り消された場合を除く。)において、受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権は、これによって原状に復する。

3つに言い分けます。まず、何が取り消されたときか。債務者がした、債務の消滅に関する行為です。債務の消滅に関する行為とは、弁済や代物弁済のように、債務をなくす行為のことです。設例の、500万円の弁済が当たります。条文の札を付けます。次に、何をしたときか。受益者が、債務者から受けた給付を返還し、またはその価額を償還したとき、です。受益者は、設例のCです。給付は、受け取った500万円です。つまり、Cが500万円を返したときです。返すのが難しいときは、価額の償還になります。最後に、どうなるか。受益者の、債務者に対する債権は、原状に復する、です。原状に復するとは、元の状態に戻る、という意味です。設例なら、弁済で消えていた、Cの500万円の貸金債権が、元に戻ります。Cは、Bに、500万円を返せと請求できる立場に戻ります。これも、条文の札を付けます。

戻るのは、新しい請求権ではなく、貸金債権そのものです。ここは、条文の形の確認です。弁済で消えたのは、貸金債権そのものです。弁済を取り消して、受け取った給付を返したのですから、消えた債権が戻る、という形になります。たとえるなら、帳簿の貸金の行に引いた線を、消しゴムで消して、元の行を読めるようにすることです。新しい行を書き足すのではありません。このたとえは、こちらの説明です。ここで、前の回の内容を思い出してください。家を700万円で売った受益者は、取り消されたとき、債務者に何を請求できましたか?払った700万円、つまり反対給付の返還を請求できました。425条の2です。2つの条文の分担を、表にします。

425条の2と425条の3の分担の表。2列=425条の2/425条の3。取り消された行為=財産の処分に関する行為(債務の消滅に関する行為を除く)/債務の消滅に関する行為(424条の4で取り消された場合を除く)。受益者が取得する権利=債務者に対する反対給付の返還請求権(難しければ価額の償還請求権)/債務者に対する債権が元に戻る。設例=家を売って700万円を払ったC(前の回)/貸した500万円を返してもらったC(今日)。札=条文。 図:425条の2と425条の3の分担の表

  • 2列=425条の2/425条の3
  • 取り消された行為=財産の処分に関する行為(債務の消滅に関する行為を除く)/債務の消滅に関する行為(424条の4で取り消された場合を除く)
  • 受益者が取得する権利=債務者に対する反対給付の返還請求権(難しければ価額の償還請求権)/債務者に対する債権が元に戻る
  • 設例=家を売って700万円を払ったC(前の回)/貸した500万円を返してもらったC(今日)
  • 札=条文

取り消された行為が違います。425条の2は、財産の処分に関する行為が取り消されたときで、債務の消滅に関する行為は除かれています。425条の3は、その除かれたほう、債務の消滅に関する行為が取り消されたときです。ただし、過大な代物弁済として取り消された場合は、除かれます。この除外は、次の節で読みます。受益者が取得するものも違います。425条の2は、債務者に対する、反対給付の返還請求権です。難しければ、価額の償還請求権です。一方、425条の3は、新しい請求権ではなく、債務者に対する、元の債権が戻る形です。どちらも、条文の札を付けます。財産の処分なら425条の2、債務の消滅なら425条の3、と分けて覚えてください。

返還が先——同時履行にしない理由と、過大な代物弁済の括弧書き

返す順番の板。条文=「返還し、又はその価額を償還したときは」原状に復する=返したときに債権が戻る(返す前は戻っていない)。425条の2=順番は条文に書かれていない(前の回の線)。同時履行にしない理由=返す前のCには、戻っていない債権をもとにBへ500万円の支払を求める根拠がまだ無い(こちらの説明)。札=条文/こちらの説明。 図:返す順番の板

  • 条文=「返還し、又はその価額を償還したときは」原状に復する=返したときに債権が戻る(返す前は戻っていない)
  • 425条の2=順番は条文に書かれていない(前の回の線)
  • 同時履行にしない理由=返す前のCには、戻っていない債権をもとにBへ500万円の支払を求める根拠がまだ無い(こちらの説明)
  • 札=条文/こちらの説明

順番の話です。425条の3は、返還し、又は価額を償還したときは、原状に復する、と書いています。返したときに、債権が戻ります。裏返すと、返す前は、まだ戻っていません。順番は、返還が先で、債権の回復があとです。これは、条文の文言から読めますので、条文の札を付けます。前の回の425条の2と比べます。425条の2では、家や価額を返すことと、代金を請求することの、順番は、条文に書かれていませんでした。返還が先と考えるのは、通説でした。今日の425条の3は、条文が、返したときは、と書きます。同じ返還が先でも、425条の2は通説、425条の3は条文の文言、と言い分けてください。425条の3は、条文を引けば足ります。

Cは、貸金が戻るまで返さない、と同時履行を言い分にすることはできません。理由を言います。同時履行は、お互いが、相手に対する債務を負っていて、引換えにできる場面の話です。ところが、貸金が戻るのは、Cが返したあとです。返す前は、CのBに対する貸金債権が、まだ戻っていません。つまり、Bは、Cに500万円を払う債務を、まだ負っていないのです。Cの側には返す債務があっても、それと引き換えにする、Bの債務がありません。ですから、500万円を払ってくれるまで返さない、とは言えないのです。前の回の、Aの取戻しがCの都合で止まってしまう、という理由も、ここでそのまま当てはまります。この理由づけは、こちらの説明です。設例で通します。Cが500万円を返して、貸金500万円が戻りました。ただし、Bは、払い切れない状態です。Cは、戻った500万円を請求できても、全額を回収できるとは限りません。Bの財産が足りないときは、他の債権者の債権と並ぶ請求になります。これも、こちらの説明です。もう1つ、条文の括弧書きを見ます。425条の3は、第四百二十四条の四の規定により取り消された場合を除く、と書いています。424条の4は、過大な代物弁済の特則で、前に見ました。ここで、問いです。過大な代物弁済で、過大な部分だけが取り消されたとき、Cの債権は戻るでしょうか?

取り消されたのだから、戻りそうです。でも、括弧書きがあるので、戻らないのでしょうか。戻りません。数字で見ます。

過大な代物弁済の括弧書きの図。A 取消債権者、B 債務者、C 受益者。CのBに対する貸金200万円。Bは、時価800万円の土地を、その貸金の代物弁済としてCに渡した。過大部分は600万円(800万円から200万円を引いた額)。Aは、過大部分600万円だけを取り消した。Cは、価額の償還として600万円を払う。結論=CのBに対する貸金200万円は、元に戻らない(消えたまま)。辺ラベルの語=償還/戻らない。 図:過大な代物弁済の括弧書きの図

  • A 取消債権者、B 債務者、C 受益者
  • CのBに対する貸金200万円
  • Bは、時価800万円の土地を、その貸金の代物弁済としてCに渡した
  • 過大部分は600万円(800万円から200万円を引いた額)
  • Aは、過大部分600万円だけを取り消した
  • Cは、価額の償還として600万円を払う
  • 結論=CのBに対する貸金200万円は、元に戻らない(消えたまま)
  • 辺ラベルの語=償還/戻らない

CがBに、200万円を貸していました。Bは、その返済の代わりに、時価800万円の土地を、Cに渡しました。代物弁済です。200万円の債務に、800万円の土地ですから、過大です。過大な部分は、800万円から200万円を引いた、600万円です。そして、Aが、この600万円の部分だけを取り消した、とします。424条の4が、過大な部分だけを取り消せるとした、あの形です。土地のように分けられない物では、価額の償還で、過大部分の価額を払う形になります。Cは、600万円を償還します。では、Cの200万円の貸金は、戻るのでしょうか。戻りません。括弧書きが、この場合を、425条の3の外に出しているからです。条文の札を付けます。理由を言います。こちらの説明です。取り消されたのは、過大な600万円の部分だけです。残りの200万円分は、有効な弁済として、取り消されていません。つまり、貸金は、その分、弁済で満たされたままです。Cが払う600万円は、貸金の穴を埋めるお金ではありません。取り消された過大部分を、吐き出すお金です。だから、200万円の貸金は、消えたままです。対比します。冒頭の設例のように、弁済の全部が取り消されたときは、全部を返します。そして、貸金は、元に戻ります。全部が取り消されたのか、過大な部分だけなのか。それで、戻るかどうかが分かれます。

短答では、返したときに戻ること、そして、過大な部分だけが取り消されたときは戻らないこと、この2点が、条文の言葉で問われます。

転得者が被告のとき——425条の4(柱書と1号)

設例の切替の関係図。ここから設例を替える(前の2回の家の売買の例)。A 取消債権者(貸金1,500万円)、B 債務者(時価2,400万円の家をCに700万円で売却)、C 受益者、D 転得者(CからDへ家を転売)。AはDだけを被告にして勝った。BからCへ家、CからBへ代金700万円、CからDへ家。辺ラベルの語=請求/返還/行使。 図:設例の切替の関係図

  • ここから設例を替える(前の2回の家の売買の例)
  • A 取消債権者(貸金1,500万円)、B 債務者(時価2,400万円の家をCに700万円で売却)、C 受益者、D 転得者(CからDへ家を転売)
  • AはDだけを被告にして勝った
  • BからCへ家、CからBへ代金700万円、CからDへ家
  • 辺ラベルの語=請求/返還/行使

2つめの柱です。ここから、設例を替えます。AとBは同じ役ですが、事情は、前の2回の、家の売買の例です。Aは、Bに1,500万円を貸しています。Bは、時価2,400万円の家を、親族のCに700万円で売り、Cは、その家を、Dに転売しました。今日の食品卸の例とは、別の話です。Aが、Dだけを被告にして勝った、とします。前の回を、思い出してください。Dだけを被告にして勝ったとき、判決の効力は、Cには及びません。ですからDは、払った代金を、Cに返せと求められませんでした。Dの立場は、後の回、と預けました。今日が、その回です。では、Dは、泣き寝入りなのでしょうか。条文を読みます。

条文民法425条の4

民法第425条の4 債務者がした行為が転得者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたときは、その転得者は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。ただし、その転得者がその前者から財産を取得するためにした反対給付又はその前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額を限度とする。 一 第四百二十五条の二に規定する行為が取り消された場合 その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば同条の規定により生ずべき受益者の債務者に対する反対給付の返還請求権又はその価額の償還請求権 二 前条に規定する行為が取り消された場合(第四百二十四条の四の規定により取り消された場合を除く。) その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば前条の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権

4つに言い分けます。まず、柱書です。債務者がした行為が、転得者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとき、その転得者は、次の各号に定める権利を、行使できます。設例のDです。Dを被告にして、取り消されたときです。次に、1号です。425条の2に規定する行為が取り消された場合、つまり、財産の処分に関する行為です。設例の、家の売却です。このとき、Dが行使できるのは、その行為が受益者に対する請求で取り消されたとすれば、425条の2の規定により生ずべき、受益者の債務者に対する、反対給付の返還請求権、または価額の償還請求権です。日本語に直します。Cが被告だったなら、CがBに対して持ったはずの権利です。前の回で見たとおり、Cが被告なら、Cは、Bに、払った700万円の返還を請求できました。その権利を、Dが行使できます。条文の札を付けます。

1号でDが行使する権利の関係図。A 取消債権者、B 債務者、C 受益者、D 転得者。AがDだけを被告にして勝った。判決の効力=A・D・B・Bのすべての債権者に及ぶ/Cには及ばない。DからBへ=反対給付の返還の請求(Cが被告だったらCが持つはずだった権利)。DからCへ=請求できない(Cとの関係では売却が取り消されていない)。上限=DがCに払った代金。 図:1号でDが行使する権利の関係図

  • A 取消債権者、B 債務者、C 受益者、D 転得者
  • AがDだけを被告にして勝った
  • 判決の効力=A・D・B・Bのすべての債権者に及ぶ/Cには及ばない
  • DからBへ=反対給付の返還の請求(Cが被告だったらCが持つはずだった権利)
  • DからCへ=請求できない(Cとの関係では売却が取り消されていない)
  • 上限=DがCに払った代金

注意点です。Dが行使する相手は、Bです。Cではありません。Cに請求できないのは、前の回のとおりで、Cには判決の効力が及ばないからです。その代わりに、Cが持ったはずの、Bに対する権利を、Dが使います。Dには、判決の効力が及びます。取り消された結果を、Dは受けます。ところが、Cには効力が及ばないので、Dは、Cに代金を返せと言えません。Dだけが、結果を受けて、誰にも請求できない、というのでは、転得者が一方的に損をします。そこで条文は、Cが被告だったならCが持ったはずの、Bに対する権利を、Dが行使する形にしました。転得者だけが損をしないように、という点は、立案の過程の説明です。では、なぜ相手がBなのか。Cが払った700万円を受け取って、持っているのは、Bです。家がBの財産に戻るうえに、代金までBの手元に残れば、Bの側が二重に得をします。だから、お金を返すべき相手は、Bになります。この筋は、こちらの説明です。3つめに、ただし書です。転得者が、その前者から財産を取得するためにした反対給付、または、その前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額を限度とする、と書いています。前者とは、Dの1つ前の人で、設例ではCです。つまり、Dが行使できる額は、DがCに払った額までです。Dの債権が消えた場合は、消えた債権の価額までです。Dが自分の損を超えて取り戻す理由はない、という説明ができます。こちらの説明です。

4つめは、設例の数字です。1回だけ見ます。Cが被告だったなら、Cが持つはずの権利は、700万円でした。立ち止まって、考えてみてください。DがCから、家を500万円で買っていたとき、Dは、いくらまで行使できるでしょうか?500万円までだと思います。Dが払った額が、上限になるので。もう1つの場合と並べて、板で確かめます。

上限の数字の板。Cが持つはずの権利=700万円(CがBに払った代金)。場合1=DがCから家を1,000万円で買っていた→Dが払った額1,000万円のほうが多い→行使できるのは700万円まで。場合2=DがCから家を500万円で買っていた→Dが払った額500万円のほうが少ない→行使できるのは500万円まで。まとめ=Cが持つはずの権利とDが払った額の小さいほう。札=条文(ただし書)/小さいほうというまとめはこちらの説明。 図:上限の数字の板

  • Cが持つはずの権利=700万円(CがBに払った代金)
  • 場合1=DがCから家を1,000万円で買っていた→Dが払った額1,000万円のほうが多い→行使できるのは700万円まで
  • 場合2=DがCから家を500万円で買っていた→Dが払った額500万円のほうが少ない→行使できるのは500万円まで
  • まとめ=Cが持つはずの権利とDが払った額の小さいほう
  • 札=条文(ただし書)/小さいほうというまとめはこちらの説明

場合1です。DがCから、家を1,000万円で買っていたとします。Dが払った額は1,000万円で、Cが持つはずの700万円より多いです。Dが行使できるのは、Cが持つはずの700万円までです。場合2は、さきほどの500万円です。Dが払った額が、700万円より少ないので、上限が効いて、500万円までです。まとめます。Cが持つはずの権利と、Dが払った額の、小さいほうが、Dが行使できる額です。ただし書の言葉は、条文の札です。小さいほう、というまとめは、こちらの説明です。気になる点を、1つ言います。場合1で、Dは1,000万円を払っているのに、行使できるのは700万円です。差額の300万円を、DがCに請求できるのか。条文には、書かれていません。条文に定めが無く、今後の議論に委ねられている所です。

債務の消滅行為が取り消されたとき——425条の4第2号

第2号の関係図。設例は事情だけ替える(A・B・C・Dの役は同じ)。BはCへの貸金1,000万円の代わりに、時価1,000万円の家をCに渡した(代物弁済)。CはDにその家を900万円で売った。AはDを被告にして勝った。DはBに対して、Cが回復したはずの貸金債権を行使する。行使できる額=Dが払った900万円まで。辺ラベルの語=請求/返還/行使。 図:第2号の関係図

  • 設例は事情だけ替える(A・B・C・Dの役は同じ)
  • BはCへの貸金1,000万円の代わりに、時価1,000万円の家をCに渡した(代物弁済)
  • CはDにその家を900万円で売った
  • AはDを被告にして勝った
  • DはBに対して、Cが回復したはずの貸金債権を行使する
  • 行使できる額=Dが払った900万円まで
  • 辺ラベルの語=請求/返還/行使

2号です。2号は、前条に規定する行為、つまり425条の3の、債務の消滅に関する行為が取り消された場合です。括弧書きは、424条の4の規定により取り消された場合を除く、でした。そして、その行為が受益者に対する請求で取り消されたとすれば、前条の規定により回復すべき、受益者の債務者に対する債権を、転得者が行使できます。日本語に直すと、Cが被告だったなら、Cが回復したはずの、Bに対する債権です。条文の札を付けます。1号と、構造は同じです。受益者が被告だったなら、取得したはずの権利を、転得者が行使する、という形です。1号は、受益者が持つはずの、返還請求権や価額の償還請求権です。2号は、受益者が回復するはずの、債権です。設例は、役はそのままで、事情だけ替えます。Bは、Cから借りた1,000万円の代わりに、時価1,000万円の家を、Cに渡しました。代物弁済です。AがCを被告にして、偏頗行為として取り消したなら、Cが家の価額1,000万円を償還した時点で、CのBに対する貸金1,000万円が戻ります。425条の3です。ところが、CはDに、その家を900万円で売っていました。AがDを被告にして勝った、とします。偏頗行為の要件と、転得者に対する請求の要件は、そろっているものとします。このとき、Dは、Bに対して、Cが回復したはずの貸金債権を、行使できます。額は、ただし書で、Dが払った900万円までです。Cが回復したはずの1,000万円では、ありません。

1号は、Cの権利とDが払った額の、小さいほうでしたよね。2号も、同じですか。同じです。Cが回復したはずの債権1,000万円と、Dが払った900万円の、小さいほうの、900万円までです。1号でも2号でも、上限は同じです。2号の括弧書きにも、1文だけ触れます。424条の4の規定により取り消された場合は、除かれます。過大な部分だけが取り消されたときは、受益者に回復する債権が無い、と、さきほど見ました。ですから、転得者が行使する債権も、ありません。ここは、論文で論点になりうる所です。425条の3と425条の4は、効果を定めた条文です。条文どおりに、条文番号を付けて書いてください。一方、返還が先の理由づけと、小さいほうという整理は、こちらの説明です。条文の言葉と、区別して書いてください。

ブロック8の締め ①——認容判決で取得する権利のまとめ

認容判決で取得する権利のまとめ表。列=誰が/取り消された行為/取得する権利/条文/除外・上限。1行目=取消債権者・どの行為でも・被告に対する財産の返還請求(難しければ価額の償還請求)・424条の6・範囲は自己の債権額まで(424条の8)。2行目=受益者(被告)・財産の処分に関する行為・債務者に対する反対給付の返還請求権(難しければ価額の償還請求権)・425条の2・債務の消滅に関する行為は除く。3行目=受益者(被告)・債務の消滅に関する行為・債務者に対する債権が元に戻る(給付を返還し又は価額を償還したとき)・425条の3・424条の4で取り消された場合は戻らない。4行目=転得者(被告)・財産の処分に関する行為・受益者が持つはずの反対給付の返還請求権・価額の償還請求権の行使・425条の4第1号・上限=転得者が前者に払った反対給付または消えた債権の価額。5行目=転得者(被告)・債務の消滅に関する行為・受益者が回復するはずの債権の行使・425条の4第2号・上限は同じ/424条の4で取り消された場合は除く。札=条文。 図:認容判決で取得する権利のまとめ表。列=誰が/取り消された行為/取得する権利/条文/除外・上限。1行目=取消債権者・どの行為でも・被告に対する財産の返還請求(難しければ価額の償還請求)・424条の6・範囲は自己の債権額まで(424条の8)。2行目=受益者(被告)・財産の処分に関する行為・債務者に対する反対給付の返還請求権(難しければ価額の償還請求権)・425条の2・債務の消滅に関する行為は除く。3行目=受益者(被告)・債務の消滅に関する行為・債務者に対する債権が元に戻る(給付を返還し又は価額を償還したとき)・425条の3・424条の4で取り消された場合は戻らない。4行目=転得者(被告)・財産の処分に関する行為・受益者が持つはずの反対給付の返還請求権・価額の償還請求権の行使・425条の4第1号・上限=転得者が前者に払った反対給付または消えた債権の価額。5行目=転得者(被告)・債務の消滅に関する行為・受益者が回復するはずの債権の行使・425条の4第2号・上限は同じ/424条の4で取り消された場合は除く。札=条文。

3つめの柱に入ります。詐害行為取消権の、最後の整理です。取消しを認める判決が確定したとき、誰が、何を取得するのか。ここまでに出た権利を、1枚に並べます。その前に、思い出してください。取消しを認める判決の効力が及ぶのは、誰でしたか?被告と、債務者と、債務者のすべての債権者です。Dだけが被告のときは、Cには及びません。425条でした。では、表を読みます。1行目は、取消債権者です。どの行為が取り消されても、被告に対して、財産の返還を請求できます。難しければ、価額の償還を請求します。424条の6です。取り戻せる範囲は、目的が可分なら、自分の債権額までです。424条の8でした。2行目は、被告が受益者で、財産の処分に関する行為が取り消された場合です。受益者は、債務者に対して、反対給付の返還を請求できます。難しければ、価額の償還です。425条の2です。債務の消滅に関する行為は、除かれます。3行目は、被告が受益者で、債務の消滅に関する行為が取り消された場合です。受益者の、債務者に対する債権が、元に戻ります。給付を返還し、または価額を償還したときです。425条の3です。過大な代物弁済で取り消された場合は、戻りません。4行目と5行目は、被告が転得者の場合です。財産の処分に関する行為が取り消されたなら、受益者が持つはずの、反対給付の返還請求権または価額の償還請求権を、転得者が行使します。425条の4の1号です。債務の消滅に関する行為が取り消されたなら、受益者が回復するはずの債権を、転得者が行使します。2号です。どちらも、上限は、転得者が前者に払った反対給付、または消えた債権の価額です。2号には、過大な代物弁済で取り消された場合を除く、という括弧書きがあります。この表は、全部、条文の札です。

表の下に、1つだけ。前の回で、効力が及ぶことと、分配を請求できることは別、と言い分けました。権利を取得することも、効力が及ぶこととは、別の話です。425条は、取り消された結果を前提にできる、という効力の話でした。この表の権利は、そのうえで、誰が、誰に、何を請求できるのか、という話です。

ブロック8の締め②——債権者代位権と詐害行為取消権の総合比較

比較の入口。責任財産の保全の2つの制度。債務者が「しない」ために増えるはずのものが増えない=債権者代位権(423条から423条の7)。債務者が「した」ために減ってはいけないものが減る=詐害行為取消権(424条から426条)。比較表は3枚=1 役割と土台/2 行使のしかた/3 効果・期間・転用。 図:比較の入口

  • 責任財産の保全の2つの制度
  • 債務者が「しない」ために増えるはずのものが増えない=債権者代位権(423条から423条の7)
  • 債務者が「した」ために減ってはいけないものが減る=詐害行為取消権(424条から426条)
  • 比較表は3枚=1 役割と土台/2 行使のしかた/3 効果・期間・転用

最後に、ブロック7の債権者代位権と、ブロック8の詐害行為取消権を、ならべて比べます。どちらも、債務者の責任財産を守る制度でした。責任財産とは、強制執行の対象になる財産のことです。役割分担は、代位権の最初の回で見ました。債務者が、しないために、増えるはずのものが増えない場面が、代位権です。債務者が、したために、減ってはいけないものが減る場面が、取消権です。表は、3枚に分けます。各セルは、すべて、それぞれの回で見たことです。

総合比較表その1(役割と土台)。列=観点/債権者代位権/詐害行為取消権。役割=債務者が権利を使わない(増えるべきものが増えない)/債務者が財産を減らした(減ってはいけないものが減る)。対象=債務者に属する権利(被代位権利)を行使する/債務者がした行為の取消しを裁判所に請求する。被保全債権=弁済期が来ていること(423条2項・保存行為は例外)と強制執行で実現できること(3項)/行為の前の原因で生じたこと(424条3項)と強制執行で実現できること(4項)。無資力=必要(「保全するため必要があるとき」の読み・見る時点は裁判の終わりの時)/必要(「債権者を害する」の読み・見る時点は行為の時と裁判の終わりの時)。 図:総合比較表その1(役割と土台)

観点債権者代位権詐害行為取消権
役割債務者が権利を使わない(増えるべきものが増えない)債務者が財産を減らした(減ってはいけないものが減る)
対象債務者に属する権利(被代位権利)を行使する債務者がした行為の取消しを裁判所に請求する
被保全債権弁済期が来ていること(423条2項・保存行為は例外)と強制執行で実現できること(3項)行為の前の原因で生じたこと(424条3項)と強制執行で実現できること(4項)
無資力必要(「保全するため必要があるとき」の読み・見る時点は裁判の終わりの時)必要(「債権者を害する」の読み・見る時点は行為の時と裁判の終わりの時)

1枚目は、役割と土台です。対象は、代位権が、債務者に属する権利を行使すること。取消権が、債務者がした行為の取消しを、裁判所に請求することです。ここが、一本の軸です。債務者の権利を使うのか、債務者の行為を取り消すのか、です。被保全債権です。代位権は、弁済期が来ていることと、強制執行で実現できることです。423条2項と3項で、保存行為は弁済期の例外でした。取消権は、行為の前の原因に基づいて生じたことと、強制執行で実現できることです。424条3項と4項です。違いは、成立の時期です。代位権は、今ある責任財産を守る制度です。貸したときにBの財産をあてにしていたかは関係が無いので、貸した時期が、代わりに使う権利より後でもかまいません。取消権は、すでに出ていった財産を戻す制度です。財産が出ていった後に貸した人は、減った後の財産を見て貸したはずなので、戻してもらう理由がありません。だから、行為の前の原因に限られます。この理由づけは、こちらの説明です。無資力は、どちらも必要です。ただし、条文に無資力という言葉はありません。代位権では、保全するため必要があるとき、の読み方として、取消権では、債権者を害する、の読み方として、立てた基準でした。見る時点が違います。代位権は、裁判の終わりの時だけです。取消権は、行為の時と、裁判の終わりの時の、2つです。

総合比較表その2(行使のしかた)。列=観点/債権者代位権/詐害行為取消権。行使の方法=自己の名で・裁判の外でもよい/裁判所に請求する(訴え・424条1項)。相手方=第三債務者/受益者か転得者(債務者は被告にしない)。訴訟告知=訴えを提起したら遅滞なく債務者に(423条の6)/訴えを提起したら遅滞なく債務者に(424条の7第2項)。範囲=目的が可分なら自己の債権額まで(423条の2)/目的が可分なら自己の債権額まで(424条の8)。支払・引渡し=金銭・動産は自分に求められる(423条の3)/金銭・動産は自分に求められる(424条の9)。 図:総合比較表その2(行使のしかた)

観点債権者代位権詐害行為取消権
行使の方法自己の名で・裁判の外でもよい裁判所に請求する(訴え・424条1項)
相手方第三債務者受益者か転得者(債務者は被告にしない)
訴訟告知訴えを提起したら遅滞なく債務者に(423条の6)訴えを提起したら遅滞なく債務者に(424条の7第2項)
範囲目的が可分なら自己の債権額まで(423条の2)目的が可分なら自己の債権額まで(424条の8)
支払・引渡し金銭・動産は自分に求められる(423条の3)金銭・動産は自分に求められる(424条の9)

2枚目は、行使のしかたです。代位権は、自分の名で、裁判の外でも行使できました。取消権は、裁判所に請求します。424条1項です。相手方も違います。代位権は、第三債務者です。取消権は、受益者か転得者で、債務者は被告にしません。似ている点も、あります。訴えを起こしたら、遅滞なく債務者に訴訟告知をする点は、423条の6と424条の7第2項で、同じです。目的が可分なら、自分の債権額まで、という範囲も、423条の2と424条の8で、同じです。金銭と動産は、自分に払え、自分に渡せ、と求められる点も、423条の3と424条の9で、同じです。

総合比較表その3(効果・期間・転用)。列=観点/債権者代位権/詐害行為取消権。事実上の優先弁済=受け取った金銭の返還債務と自分の貸金を相殺して優先回収になりうる(禁じる規定は置かれなかった)/判例=分配する義務は無い・受益者は按分額の支払を拒めない。相殺による優先回収は条文の外(解釈)。債務者・判決=債務者は処分権限を失わない(423条の5)/認容判決の効力は債務者とすべての債権者に及ぶ(425条)。期間=代位権に独自の期間制限は無い(被保全債権・被代位権利の時効は別)/2年・10年を過ぎたら訴えを提起できない(426条)。転用=ある(423条の7=登記・登録の請求権の代位。条文にない転用もある)/ない(特定物の債権者が取り消せるのは、損害賠償の金銭債権に変わりうるから)。 図:総合比較表その3(効果・期間・転用)。列=観点/債権者代位権/詐害行為取消権。事実上の優先弁済=受け取った金銭の返還債務と自分の貸金を相殺して優先回収になりうる(禁じる規定は置かれなかった)/判例=分配する義務は無い・受益者は按分額の支払を拒めない。相殺による優先回収は条文の外(解釈)。債務者・判決=債務者は処分権限を失わない(423条の5)/認容判決の効力は債務者とすべての債権者に及ぶ(425条)。期間=代位権に独自の期間制限は無い(被保全債権・被代位権利の時効は別)/2年・10年を過ぎたら訴えを提起できない(426条)。転用=ある(423条の7=登記・登録の請求権の代位。条文にない転用もある)/ない(特定物の債権者が取り消せるのは、損害賠償の金銭債権に変わりうるから)。

3枚目は、効果と、期間と、転用です。事実上の優先弁済は、どちらにもあります。代位権では、受け取った金銭の返還債務と、自分の貸金を相殺して、優先回収になりうる、と見ました。たとえば、Aが代わりに取り立てた100万円は、本来Bに入るお金なので、AはBに100万円を返す債務を負います。これと、AのBに対する貸金100万円を相殺すれば、他の債権者と分けずに、Aだけが回収を済ませた形になります。2017年の改正は、相殺を禁じる規定を置きませんでした。禁じる案が見送られたことは、立案の過程の説明です。ただし、債務者に処分権限が残るので、実現するかどうかは競争の結果です。取消権では、前の回で見た判例が、他の債権者に分配する義務は無い、受益者は按分額の支払を拒めない、としました。理由は、分ける時期や手続を決める規定が、法律に無いからでした。相殺による優先回収は、条文の外の、解釈でした。判決と債務者の関わりも違います。代位権では、債務者は、処分権限を失いません。条文は423条の5です。取消権は、認容判決の効力が、債務者とすべての債権者に及びます。425条です。期間です。代位権には、行使そのものに、特別の期間の定めはありません。被保全債権と被代位権利の時効は、別の話です。取消権は、債務者が債権者を害すると知って行為をしたことを、債権者が知った時から2年、行為の時から10年を過ぎたら、訴えを提起できません。426条で、出訴期間でした。

転用です。代位権には、あります。条文になったのは、登記や登録の請求権を代位する、423条の7で、条文にない転用も、判例が認めています。取消権には、金銭でない債権を実現するための使い方は、ありません。特定物の債権者が取り消せるのは、その債権が、損害賠償という金銭債権に変わりうるからでした。

似ている点と違う点。似ている点=債務者の責任財産を守る/自分の名で行使する/金銭・動産は自分に受け取れる/債務者に訴訟告知をする/可分なら自己の債権額までに限られる。違う点=代位権は債務者の権利を使う・取消権は債務者の行為を取り消す。取消権は必ず裁判で行使・期間制限がある・受益者や転得者の取引に踏み込むので要件が重い。 図:似ている点と違う点

  • 似ている点=債務者の責任財産を守る/自分の名で行使する/金銭・動産は自分に受け取れる/債務者に訴訟告知をする/可分なら自己の債権額までに限られる
  • 違う点=代位権は債務者の権利を使う・取消権は債務者の行為を取り消す
  • 取消権は必ず裁判で行使・期間制限がある・受益者や転得者の取引に踏み込むので要件が重い

一言で、まとめます。似ている点は、債務者の責任財産を守ること。自分の名で行使すること。金銭と動産は自分に受け取れること。債務者に訴訟告知をすること。可分なら、自分の債権額までに限られること。違う点は、代位権が、債務者の権利を使うのに対して、取消権は、債務者の行為を取り消すことです。取消権は、すでに受益者や転得者の手に渡った取引に踏み込みます。介入が強いので、要件が重く、行使は裁判に限られ、期間の制限もある、と説明できます。これは、こちらの説明です。

冒頭の問いに戻る——今日のまとめ

今日のまとめ。3つの柱と根拠の札。1 425条の3=条文(返したときに受益者の債権が元に戻る・返還が先は条文の文言・過大な代物弁済で過大部分だけ取り消されたときは戻らない)、同時履行にしない理由=こちらの説明。2 425条の4=条文(柱書・ただし書・1号・2号)、小さいほうというまとめ=こちらの説明、DがCに残りを請求できるか=条文に書かれていない。3 取得する権利の表=条文、総合比較表=条文と判例(事実上の優先弁済の部分は判例と立案の過程の説明とこちらの説明)。最下段=答え。Cが先に返せば、貸金は元に戻る。Dは、Cが持つはずの権利を、Bに対して、Dが払った額まで行使できる。 図:今日のまとめ

  • 3つの柱と根拠の札
  • 1 425条の3=条文(返したときに受益者の債権が元に戻る・返還が先は条文の文言・過大な代物弁済で過大部分だけ取り消されたときは戻らない)、同時履行にしない理由=こちらの説明
  • 2 425条の4=条文(柱書・ただし書・1号・2号)、小さいほうというまとめ=こちらの説明、DがCに残りを請求できるか=条文に書かれていない
  • 3 取得する権利の表=条文、総合比較表=条文と判例(事実上の優先弁済の部分は判例と立案の過程の説明とこちらの説明)
  • 最下段=答え
  • Cが先に返せば、貸金は元に戻る
  • Dは、Cが持つはずの権利を、Bに対して、Dが払った額まで行使できる

冒頭の問いに戻ります。弁済が取り消されて、Cが500万円を返したとき、Cの貸金500万円は、消えたままなのか、でした。答えです。Cが、Bから受け取った500万円を返したとき、CのBに対する500万円の貸金は、元に戻ります。425条の3です。先に返すのが条件で、条文が、返したときは、と書いています。ただし、過大な代物弁済で、過大な部分だけが取り消されたときは、戻りません。そして、転得者のDが被告のときは、Dは、Cが持つはずの権利を、Bに対して行使できます。上限は、Dが払った額です。3つの柱を、札を付けて整理します。1つめ、425条の3は、条文です。返還が先、は、条文の文言から読めます。同時履行にしない理由は、こちらの説明です。括弧書きは、条文です。2つめ、425条の4は、条文です。小さいほう、という整理は、こちらの説明です。DがCに残りを請求できるかは、条文に書かれていません。3つめ、取得する権利の表は、条文です。総合比較表は、条文と判例で、事実上の優先弁済の部分は、判例と、立案の過程の説明と、こちらの説明です。詐害行為取消権は、ここまでです。

参照条文

  • 民法425条の3
  • 民法425条の4

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