民法ゼロから民法#214

不可分債権・不可分債務と不真正連帯債務(428条〜431条)

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第4章 債権総論 #214/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

1台の車を2人で売ったら、買主は1人に全部を求められるか

冒頭の設例の関係図。A 買主、B・C 売主(兄弟・父から相続して共有している1台の車を売った)。Aは代金を払い済み。B・Cが負う債務=車の引渡し(1台は割って渡せない)。問い=AはBだけに全部の引渡しを求められるのか。辺ラベルの語=引渡し。 図:冒頭の設例の関係図

  • A 買主、B・C 売主(兄弟・父から相続して共有している1台の車を売った)
  • Aは代金を払い済み
  • B・Cが負う債務=車の引渡し(1台は割って渡せない)
  • 問い=AはBだけに全部の引渡しを求められるのか
  • 辺ラベルの語=引渡し

先に答えです。Bだけに、車の全部の引渡しを求められます。車は割って渡せません。このように、分けたら給付の中身が変わってしまう、つまり性質上分けられない給付を、不可分と呼びます。この引渡しの債務は不可分債務になり、Aはどちらか1人に全部を求められます。430条と436条の話です。前の回までの借金の例と比べてください。300万円の借金は、約束が無ければ100万円ずつに割れました。お金は割れますが、車は割れません。兄弟で共有しているのですから、車の半分ずつを渡す、という形にはならないのですか。なりません。半分の車は、車として使えず、Aが買ったものとは別のものです。だから分けられず、2人とも、全部について義務を負います。今日の中心は、この分けられない給付の扱いです。前の回までを受けます。分割債権と連帯債権の回で、数人の債権者や債務者がいる場合の型を地図に置き、そこで、分けられない給付の場合を名前だけ置きました。連帯債務の回からは、1人に生じた事由の効力、求償、通知を見ました。今日で、このまとまりを締めます。同じ3つの問いで不可分と、不真正連帯債務を測り、最後に全部を1枚の表にします。3つの問いを確認します。問いの1 対外的効力。債権者と債務者の関係で、誰が誰にいくら請求でき、誰がいくら払う義務を負うか、です。問いの2 1人に生じた事由の効力。複数いる人のうち1人に起きたことが他の人にも及ぶか、です。及ぶなら絶対効、及ばないなら相対効です。問いの3 求償関係。1人が払ったとき、他の人に分担を求められるか、です。債権者側なら、受け取った人が他の人に分け前を渡すか、になります。呼び方の決まりも同じです。複数いる側を基準にして、債権者が複数なら債権、債務者が複数なら債務と呼びます。

設例の人物を決めます。今日の登場人物は2人組です。Aが相手方の1人、BとCが複数いる側の2人です。前の回までのB・C・Dの3人組とは別の話です。場面を替えるときは、そのつど、誰が債権者で誰が債務者かを言います。冒頭は、B・Cが売主で債務者、Aが買主で債権者です。今日も話の根拠が混ざりますので、そのつど何に基づく話かを言います。条文に書かれていることは条文の札です。最高裁や、その前の大審院の判決が述べたことは判例の札です。2017年の改正のとき、なぜそう決めたのか、として説明されていることは立案の過程の説明の札です。条文にも判例にも書かれていない、理解のための、講義の説明は、こちらの説明の札です。

不可分とは何か——428条・430条・431条

準用の板。428条=連帯債権の規定(432条・433条・434条・435条・435条の2)から433条(更改・免除)と435条(混同)を除いて準用。430条=連帯債務の規定(436条から445条まで)から440条(混同)だけを除いて準用。準用=必要な読み替えをして、そのまま当てはめること。札=条文。 図:準用の板

  • 428条=連帯債権の規定(432条・433条・434条・435条・435条の2)から433条(更改・免除)と435条(混同)を除いて準用
  • 430条=連帯債務の規定(436条から445条まで)から440条(混同)だけを除いて準用
  • 準用=必要な読み替えをして、そのまま当てはめること
  • 札=条文

1つめの柱です。場面は冒頭のままです。債務者がB・Cの売主、債権者がAの買主で、B・Cが負う車の引渡しです。まず、債権の側の条文から読みます。

条文民法428条

民法第428条 次款(連帯債権)の規定(第四百三十三条及び第四百三十五条の規定を除く。)は、債権の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債権者があるときについて準用する。

区切って読みます。まず、債権の目的がその性質上不可分である場合です。分けたら給付の中身が変わってしまう、分けられない給付ということです。次に、数人の債権者があるとき、です。そして、次款、つまり連帯債権の規定を準用する、です。準用とは、必要な読み替えをして、そのまま当てはめることです。ただし、433条と435条は除きます。433条は更改と免除、435条は混同でした。ここまで条文の札です。何が使われて、何が外れるかは、2つめの柱で使います。債務の側の条文も読みます。

条文民法430条

民法第430条 第四款(連帯債務)の規定(第四百四十条の規定を除く。)は、債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについて準用する。

428条と同じ形です。債務の目的がその性質上不可分で、数人の債務者があるとき、第四款、つまり連帯債務の規定を準用します。ただし除くのは440条だけです。440条は混同でした。条文の札です。整理します。不可分債権や不可分債務が成り立つ要件は、2つです。給付が性質上不可分であること。数人の債権者または債務者がいること。条文どおりの要件です。全員が、同じ1つの給付をめぐっていることが前提です。例は、冒頭の、相続して共有している車の引渡しです。もう1つ、兄弟で共同して借りた建物の明渡しも同じです。建物を半分だけ明け渡す、ということはできません。例はこちらの説明です。

共有している車を売ったなら、代金のほうも、割れない債権になるのではないですか。なりません。給付ごとに見ます。代金は金銭で、分けられます。B・Cが各自の分を請求するなら、分割債権です。分けられないのは、車の引渡しだけです。同じ売買でも、給付によって型が変わります。これはこちらの説明です。お金のような給付で、各自に全額を負わせる約束も、有効です。ただし、それは不可分ではありません。2017年の改正の前は、お金のように分けられる給付でも、当事者の意思表示で不可分にできました。改正は、不可分を、性質上不可分のときだけに絞りました。分けられる給付を、約束で全員が全部負うなら、連帯債務です。債権者の側なら連帯債権です。前の回までで見た型です。条文の札です。絞った理由は2つ、説明されています。1つめ、連帯債務の絶対効を減らす方向になり、不可分債務は連帯債務の規定を準用しますから、連帯債務と不可分債務の差が、ほとんど無くなりました。そうなると、給付は分けられるのに意思表示で不可分にする余地を残す、実質的な必要がありません。残すと、連帯債務との関係で、解釈が混乱するおそれもあります。2つめ、分けられる給付を約束で連帯して持つ債権と、性質上不可分な債権とでは、効果に一定の差があります。そこで、連帯債権の規定を新しく置きました。立案の過程の説明です。

可分債権・可分債務への変更の板。不可分債務が可分債務に変わる例=車の引渡しができなくなり、損害賠償というお金の債務に変わる→お金は分けられる→各債務者は負担部分についてのみ責任を負う。不可分債権の側も同じ=各債権者は自己の部分についてのみ請求。参考=金銭の債務でも、賃借権を共同相続した各賃借人の賃料債務は、全部を使える対価だから不可分と解されてきた(大判大11・11・24)。札=条文/判例/こちらの説明。 図:可分債権・可分債務への変更の板

  • 不可分債務が可分債務に変わる例=車の引渡しができなくなり、損害賠償というお金の債務に変わる→お金は分けられる→各債務者は負担部分についてのみ責任を負う
  • 不可分債権の側も同じ=各債権者は自己の部分についてのみ請求
  • 参考=金銭の債務でも、賃借権を共同相続した各賃借人の賃料債務は、全部を使える対価だから不可分と解されてきた(大判大11・11・24)
  • 札=条文/判例/こちらの説明

もう1つ条文です。最初は分けられなかった給付が、分けられるものに変わることがあります。

条文民法431条

民法第431条 不可分債権が可分債権となったときは、各債権者は自己が権利を有する部分についてのみ履行を請求することができ、不可分債務が可分債務となったときは、各債務者はその負担部分についてのみ履行の責任を負う。

読みます。不可分債権が可分債権になったときは、各債権者は自分が権利を持つ部分だけを請求できます。不可分債務が可分債務になったときは、各債務者は負担部分についてだけ責任を負います。条文の札です。例は冒頭の車です。B・Cが車を壊してしまい、引き渡せなくなり、代わりに損害賠償というお金の債務に変わったとします。お金は分けられますので、不可分債務は可分債務になり、各債務者は負担部分についてだけ責任を負います。例はこちらの説明です。1つだけ、例外の方向の話をします。お金の債務でも、不可分とされてきたものがあります。賃借権を共同相続した、各賃借人の賃料債務です。賃借物の全部を使える、その対価だから、と考えられてきました。兄弟2人で月10万円の家を借りていたなら、各自が5万円ずつではなく、2人とも10万円全部について払う義務を負う、という扱いです。大審院の判例の札です。論文の答案では、ここは、条文どおりに書ける所です。性質上不可分であること、数人の債権者または債務者がいること。428条と430条の言葉を、条文番号を付けて引きます。

不可分債権を3つの問いで——428条・429条

場面②の関係図。A 売主、B・C 共同の買主。B・CはAから掛け軸1幅(時価240万円・B・Cの持分は等しい)を買った。B・Cが持つ引渡請求権=不可分債権。辺ラベルの語=請求。 図:場面②の関係図

  • A 売主、B・C 共同の買主
  • B・CはAから掛け軸1幅(時価240万円・B・Cの持分は等しい)を買った
  • B・Cが持つ引渡請求権=不可分債権
  • 辺ラベルの語=請求

2つめの柱の前半です。場面を替えます。今度は、B・Cが共同の買主で債権者、Aが売主で債務者です。B・Cは、Aから掛け軸を1つ買いました。時価は240万円で、B・Cの持分、つまり、この債権で受け取るはずの分け前の割合は、等しいとします。冒頭の、車を共有する持分とは別の話です。掛け軸の引渡しを求める権利は、分けられません。債権者が複数ですから、不可分債権です。問いの1 対外的効力です。428条が連帯債権の規定を準用しますので、432条のとおり、各債権者が全部の履行を請求でき、債務者のAは、誰か1人に渡せば足ります。Bが全部の引渡しを求めてもよく、AがCに渡してもよいのです。条文の札です。問いの2 1人に生じた事由の効力です。準用されるのは、請求と弁済の432条、相殺の434条、原則を定める435条の2です。ですから、請求と弁済と相殺は絶対効です。それ以外は、原則どおり相対効です。連帯債権との差分は、準用されない433条と435条です。連帯債権の更改と免除は、持分部分の限度で絶対効、混同は絶対効でした。不可分債権では、更改も免除も混同も、相対効になります。時効の完成は、連帯債権と同じく相対効です。ここまで条文の札です。分かれる理由を先に置きます。掛け軸は1つしかありません。誰か1人に渡されれば、全員の分が満たされます。だから、渡すこと、つまり弁済と、それに並ぶ相殺は、全員に効きます。請求も、全員のために全部を求めるものなので、全員に効きます。これに対して、更改、免除、混同は、債権が満たされないまま、1人の債権だけが消えたり変わったりする事由です。お金なら、更改と免除は、その人の持分だけを消せます。混同は、弁済をしたものとみなして、債権が満たされたと扱えます。掛け軸は割れず、1人が自分に渡したことにしても、ほかの債権者には届きません。どちらの扱いもできないので、この3つは相対効にとどめました。こちらの説明です。

免除で詳しく見ます。連帯債権の免除は、免除した人の持分部分だけを消せました。お金は持分で割れるからです。掛け軸は割れません。持分部分だけを消す、ということができないので、免除は相対効にとどめて、別の手当てを置きました。それが429条です。ここが今日の山場の1つめです。

場面②の数字図(免除前)。A 売主、B・C 共同の買主。掛け軸1幅・時価240万円・持分は等しい。問い=BがAを免除したとき、Cは掛け軸の全部を請求できるのか。辺ラベルの語=請求/免除。 図:場面②の数字図

  • 免除前
  • A 売主、B・C 共同の買主。掛け軸1幅・時価240万円・持分は等しい。問い=BがAを免除したとき、Cは掛け軸の全部を請求できるのか。辺ラベルの語=請求
  • 免除。

ここで問いです。BがAを免除したとき、Cは、掛け軸の全部を請求できるでしょうか、それともCの持分の半分だけでしょうか?不可分債権で、Cが請求できるのは持分の分だけか、掛け軸の全部か。分かれ目はここです。条文を読みます。

条文民法429条

民法第429条 不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益を債務者に償還しなければならない。

前段と後段に分けて読みます。前段は、不可分債権者の1人と債務者との間に更改または免除があった場合でも、他の不可分債権者は債務の全部の履行を請求できる、です。後段は、その場合には、その1人が権利を失わなければ分与されるはずだった利益を、債務者に償還しなければならない、です。条文の札です。

429条の数字図。場面②。A 売主、B・C 共同の買主。掛け軸1幅・時価240万円・持分は等しい。BがAを免除→Bの債権はAとの関係で消える(相対効)→CはAに掛け軸の全部を請求できる(前段)→CはBに分与されるはずだった分=120万円をAに償還する(後段)。辺ラベルの語=免除/請求/償還。 図:429条の数字図

  • 場面②
  • A 売主、B・C 共同の買主
  • 掛け軸1幅・時価240万円・持分は等しい
  • BがAを免除→Bの債権はAとの関係で消える(相対効)→CはAに掛け軸の全部を請求できる(前段)→CはBに分与されるはずだった分=120万円をAに償還する(後段)
  • 辺ラベルの語=免除/請求/償還

数字で見ます。BがAを免除しました。Bの債権は、Aとの関係では消えます。相対効です。それでもCは、Aに、掛け軸の全部の引渡しを請求できます。前段です。ただしCは、Bに分与されるはずだった分、つまり掛け軸の半分、時価で120万円分を、Aに償還します。後段です。更改でも同じです。比べてください。B・CがAに240万円を貸していて、連帯債権だったとします。Bが免除すれば、Bの持分である120万円は消え、CがAに請求できるのは120万円です。433条です。掛け軸では、この引き算ができません。だから、全部を受け取って、120万円分を返す形になります。ここで言葉を整理します。この償還は、全部の履行を受けた債権者が、免除や更改をした債権者の分を、債務者に返すことです。前の回で見た444条の償還無資力者とは、別の場面です。444条の償還は、求償に応じて払うことで、償還無資力者は、求償に応じる資力の無い人でした。同じ字ですが、働きは違います。

429条が、全部を受け取った債権者に、分与されるはずだった分を債務者へ返させる理由です。前の回で703条を読んだ、不当利得を使います。不当利得とは、法律上の原因なく他人の財産で利益を受けた者が、その利益を返す義務を負うことです。429条が無ければ、回り道になります。CがAから全部を受け取り、CがBに、分け前の120万円を渡します。Bは、Aを免除していますから、受け取る理由がありません。Bは、その120万円を、不当利得として、Aに返すことになります。それなら最初から、CがAに返せばよいのです。回り道を省くための規定です。立案の過程の説明と、こちらの説明です。問いの3 求償関係です。条文はありません。債権者どうしの分け前の渡し方は、連帯債権の分与と同じ考え方で、合意が無ければ等しく分けます。429条の償還は、債務者に返す話です。債権者どうしの分与とは別ですので、混ぜないでください。こちらの説明です。

連帯債権との差分の板。連帯債権(432条〜435条の2)と不可分債権(428条・429条)の比較。更改・免除=連帯債権は持分部分の限度で絶対効(433条)/不可分債権は相対効(433条を準用しない)で、全部を請求できるが分与されるはずだった分を債務者に償還(429条)。混同=連帯債権は絶対効(435条)/不可分債権は相対効(435条を準用しない)。請求・弁済・相殺・時効の完成=同じ。札=条文。 図:連帯債権との差分の板

  • 連帯債権(432条〜435条の2)と不可分債権(428条・429条)の比較
  • 更改・免除=連帯債権は持分部分の限度で絶対効(433条)/不可分債権は相対効(433条を準用しない)で、全部を請求できるが分与されるはずだった分を債務者に償還(429条)
  • 混同=連帯債権は絶対効(435条)/不可分債権は相対効(435条を準用しない)
  • 請求・弁済・相殺・時効の完成=同じ
  • 札=条文

差分を板にします。連帯債権との違いは2点です。1つめ、更改と免除です。連帯債権は持分部分の限度で絶対効でした。不可分債権は相対効で、全部を請求できますが、分与されるはずだった分は債務者に償還します。2つめ、混同です。連帯債権は絶対効でした。不可分債権は相対効です。それ以外、請求、弁済、相殺、時効の完成は、連帯債権と同じです。条文の札です。短答で問われやすい所です。

不可分債務を3つの問いで——430条

場面①に戻す。A 買主(債権者)、B・C 売主(債務者・兄弟)。B・Cが負う債務=車の引渡し(1台は分けられない)。辺ラベルの語=引渡し。 図:場面①に戻す

  • A 買主(債権者)、B・C 売主(債務者・兄弟)
  • B・Cが負う債務=車の引渡し(1台は分けられない)
  • 辺ラベルの語=引渡し

2つめの柱の後半です。場面を冒頭に戻します。B・Cが売主で債務者、Aが買主で債権者です。車の引渡しの債務は、債務者が複数ですから、不可分債務です。問いの1 対外的効力です。430条が連帯債務の規定を準用しますので、436条のとおり、各債務者が全部の履行義務を負い、債権者のAは、1人にも、同時にも順次にも両方にも、全部を請求できます。冒頭の答えの、条文上の根拠です。条文の札です。問いの2 1人に生じた事由の効力です。430条は、440条だけを除いて準用します。ですから、絶対効は、弁済等、更改の438条、相殺の439条1項です。履行の請求、免除、時効の完成は、441条で相対効です。連帯債務との差分は、混同だけです。連帯債務の混同は、440条で絶対効でした。430条は440条を準用しません。不可分債務では、混同は相対効です。条文の札です。混同を数字で見ます。その前に、思い出してください。連帯債務で、債権者と、債務者のうち1人が、同じ人になったとき、他の連帯債務者の債務は消えるのでしょうか?

440条で、弁済をしたものとみなされて、他の連帯債務者の債務も、全員のために消えました。では不可分債務ではどうなるか。

混同の数字図。場面①。A 買主(債権者)、B・C 売主(債務者)。Aが亡くなり、Bが唯一の相続人=Bが債権者の地位も併せ持つ。Bの債務だけが消え、Cは全部の引渡義務が残る。辺ラベルの語=引渡し/混同。 図:混同の数字図

  • 場面①
  • A 買主(債権者)、B・C 売主(債務者)
  • Aが亡くなり、Bが唯一の相続人=Bが債権者の地位も併せ持つ
  • Bの債務だけが消え、Cは全部の引渡義務が残る
  • 辺ラベルの語=引渡し/混同

Aが亡くなり、Bが唯一の相続人だったとします。Bは、買主の地位、つまり債権者の地位も引き継ぎます。債権者と債務者が、Bの中で同じ人になります。連帯債務なら、Bは弁済をしたものとみなされ、Cの債務も消えました。不可分債務では、消えるのはBの債務だけです。Cは、全部の引渡義務を負い続けます。連帯債務の回で、混同は、弁済や相殺と並んで、債権が満たされた形だと見ました。お金なら、Bが自分に払ったことにすれば、債権者としてのBは満たされ、あとはCに負担部分を求償して終われます。車は違います。Bが自分に引き渡したことにしても、買主の側に車が届いたことにはなりません。債権が満たされていないので、Bの債務だけを消し、Cには、車を実際に渡す義務を残します。この理由はこちらの説明です。1つ、向きの違いに注意してください。履行の請求は、不可分債権では絶対効で、432条です。不可分債務では相対効で、441条です。債権と債務で逆です。連帯債権と連帯債務の関係と同じです。問いの3 求償関係です。430条は、442条から445条までを準用します。1人が車を引き渡して共同の免責を得たなら、負担部分に応じて、他の債務者に求償できます。要件、通知の443条、償還無資力者の444条、免除や時効の完成と求償の445条は、連帯債務の回で見たとおりです。条文の札です。

連帯債務との差分の板。連帯債務(436条〜445条)と不可分債務(430条)の比較。差分は混同だけ=連帯債務は絶対効(440条・弁済をしたものとみなす)/不可分債務は相対効(440条を準用しない)。請求・免除・時効の完成=相対効(441条)、弁済等・更改・相殺=絶対効、求償=442条から445条まで、は同じ。札=条文。 図:連帯債務との差分の板

  • 連帯債務(436条〜445条)と不可分債務(430条)の比較
  • 差分は混同だけ=連帯債務は絶対効(440条・弁済をしたものとみなす)/不可分債務は相対効(440条を準用しない)
  • 請求・免除・時効の完成=相対効(441条)、弁済等・更改・相殺=絶対効、求償=442条から445条まで、は同じ
  • 札=条文

板にまとめます。連帯債務との差分は、混同だけです。連帯債務は絶対効、不可分債務は相対効です。ほかの事由も、求償も、連帯債務と同じです。条文の札です。連帯債権との差分と数を比べると、債権側は更改・免除・混同の3つ、債務側は混同の1つです。冒頭の車は、この不可分債務です。車は分けられないので、Aは、BにもCにも、全部の引渡しを求められます。

不真正連帯債務

場面③の関係図。A 被害者(債権者)、B・C 一緒に事故を起こした加害者(債務者)。Aの損害=600万円。B・Cの過失の割合は6対4=負担部分はBが360万円・Cが240万円。辺ラベルの語=請求。 図:場面③の関係図

  • A 被害者(債権者)、B・C 一緒に事故を起こした加害者(債務者)
  • Aの損害=600万円
  • B・Cの過失の割合は6対4=負担部分はBが360万円・Cが240万円
  • 辺ラベルの語=請求

3つめの柱です。場面を替えます。B・Cが一緒に起こした事故で、Aがけがをしました。今度は、Aが被害者で債権者、B・Cが加害者で債務者です。Aの損害は600万円です。B・Cの過失の割合は6対4で、損害賠償債務の負担部分は、Bが360万円、Cが240万円とします。過失の割合とは、事故の責任を、どちらがどれだけ負うかの割合のことです。

条文民法719条1項前段

民法第719条(抜粋) 1 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。

719条1項の前段です。数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う、です。条文の札です。今日の問いは、この賠償債務の、1人に生じた事由の効力です。呼び名を定義します。不真正連帯債務とは、条文には出てこない呼び名です。判例や学説が、連帯債務に似た債務のうち、弁済など債権者を満足させる事由は他の債務者にも効くが、それ以外、特に免除は他の債務者に及ばない債務に、つけてきた名前です。典型例は、今の共同不法行為者の賠償債務と、使用者と被用者の賠償債務、つまり715条1項です。呼び名の説明はこちらの説明と、判例の札です。直前の不可分債務とは、2点で違います。不可分債務は、車のように分けられない給付で、430条という条文があります。不真正連帯債務は、お金の賠償という分けられる給付で、条文ではなく判例と学説の呼び名です。

なぜ、連帯債務とは別の型を立てたのですか。被害者を守るためです。改正の前は、連帯債務者の1人への免除が、負担部分の限度で他の債務者にも効きました。被害者が加害者の1人を免除すると、他の加害者の債務まで減ってしまいます。それでは被害者を守る趣旨に合いません。そこで判例と学説は、共同不法行為者の賠償債務には、免除の絶対効の規定を当てない、という型を立ててきました。判例の札と、立案の過程の説明です。ここで問いです。被害者が加害者の1人を免除したら、もう1人の加害者の債務も消えるでしょうか?判例の結論は、当然には消えません。判決を読みます。この判決の甲と乙は、今日の場面では、BとCにあたります。判決は、2017年改正の前の条文番号で書いてあります。

判例最判平10・9・10 民集52巻6号1494頁

共同不法行為者の一人に対する免除の効力 甲と乙が共同の不法行為により他人に損害を加えた場合において、甲が乙との責任割合に従って定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、甲は、乙の負担部分について求償することができる。 ……この場合、甲と乙が負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であるから、甲と被害者との間で訴訟上の和解が成立し、……被害者が甲に対し残債務を免除したと解し得るときでも、連帯債務における免除の絶対的効力を定めた民法四三七条の規定は適用されず、乙に対して当然に免除の効力が及ぶものではない。 ……しかし、被害者が、右訴訟上の和解に際し、乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶものというべきである。

判例の読み方の板。民法四三七条=2017年改正前の条文番号(免除の絶対効の規定。改正で削除され、いまは免除は441条で相対効)。結論=共同不法行為者の賠償債務は不真正連帯債務。免除の絶対的効力の規定は適用されず、免除の効力は当然には他の加害者に及ばない。ただし被害者が他の加害者の残債務も免除する意思なら、他の加害者にも及ぶ。求償=自己の負担部分(責任割合で定める)を超えて賠償した者は、他の加害者の負担部分について求償できる。札=判例。 図:判例の読み方の板

  • 民法四三七条=2017年改正前の条文番号(免除の絶対効の規定。改正で削除され、いまは免除は441条で相対効)
  • 結論=共同不法行為者の賠償債務は不真正連帯債務
  • 免除の絶対的効力の規定は適用されず、免除の効力は当然には他の加害者に及ばない
  • ただし被害者が他の加害者の残債務も免除する意思なら、他の加害者にも及ぶ
  • 求償=自己の負担部分(責任割合で定める)を超えて賠償した者は、他の加害者の負担部分について求償できる
  • 札=判例

3つの文に区切って読みます。まず1つ目の文は、一方の加害者が、責任割合で定められる自分の負担部分を超えて賠償したら、他方の加害者の負担部分について求償できる、です。2つ目の文は、この賠償債務は不真正連帯債務だから、被害者が一方と訴訟上の和解をして、つまり裁判の中で話し合って争いを終わらせて、その一方に残債務を免除したと見られるときでも、免除の絶対的効力を定めた旧437条は適用されず、他方に当然に免除の効力が及ぶものではない、です。3つ目の文は、ただし、被害者が他方の残債務も免除する意思を有していると認められるときは、他方にも免除の効力が及ぶ、です。判例の札です。この判決から、特徴が2つ出ます。特徴の1つめは免除です。数字で見ます。Bが200万円を払い、Aが「残りはBには請求しない」と免除しました。Aの損害は600万円ですから、払われた200万円は弁済として全員に効き、残りは400万円です。Bの残りは免除で消えますが、Cには、免除が当然には及びません。Aは、Cに、400万円を請求できます。ただし、AがCの残りの債務も免除する意思だったと認められるなら、Cにも免除が及びます。判例の札と、数字はこちらの説明です。

場面③の数字図。A 被害者、B・C 加害者(負担部分はBが360万円・Cが240万円)。Bが200万円を弁済(全員に効く)→Aが「残りはBに請求しない」と免除(Bだけ)→AはCに残り400万円を請求できる(Cへの免除の意思が認められる場合を除く)。辺ラベルの語=弁済/免除/請求。 図:場面③の数字図

  • A 被害者、B・C 加害者(負担部分はBが360万円・Cが240万円)
  • Bが200万円を弁済(全員に効く)→Aが「残りはBに請求しない」と免除(Bだけ)→AはCに残り400万円を請求できる(Cへの免除の意思が認められる場合を除く)
  • 辺ラベルの語=弁済/免除/請求

特徴の2つめは求償です。判決は、負担部分を、責任割合で定めるとしています。そして、自分の負担部分を超えて賠償した者は、超える部分について、他の加害者の負担部分の限度で、求償できます。免除の話とは別に、Bが400万円を払った場合で見ます。Bの負担部分360万円を超えた40万円を、Cの負担部分の限度で、Cに求償します。これが判例の準則です。求償は、ほかの人がかぶるはずの分を代わりに払った人が、それを取り戻すしくみです。Bの負担部分の360万円までは、Bが最後に自分でかぶる分です。そこまでは、Cの分を代わりに払っていないので、取り戻すものがありません。360万円を超えた40万円だけが、Cの分を代わりに払った額です。この理由はこちらの説明です。ここで、前の回までと、つなぎ直します。改正の後は、連帯債務でも、免除は相対効です。441条です。そこで、問いです。連帯債務で、免除や時効の完成は、他の連帯債務者に効くのでしょうか?

441条で、相対効でした。連帯債務の1人に免除があっても、他の人の債務は残ります。そうすると、不真正連帯債務でだけ、免除の絶対効を外す意味が、薄れます。立案の過程では、絶対効を廃止する提案は、不真正連帯債務で判例が使ってきた規律を、連帯債務の原則に取り込むものだ、したがって、条文にない不真正連帯債務という概念を使う必要が無くなる、と説明されていました。立案の過程の説明です。区別の意味は小さくなった、ということです。求償は、分かれ目があります。言い切れる所と、言い切れない所を分けます。現行442条1項は、免責を得た額が自分の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、求償権を認めます。条文の札です。判例の準則は、共同不法行為者の間では、自分の負担部分を超えて賠償したとき、その超える部分について求償できる、でした。判例の札です。この2つは、負担部分に満たない額を払った場合などで、食い違いえます。

求償の分かれ目の板。見出し=改正後の扱いは見解が分かれる。場面③。Bが400万円を弁済(Bの負担部分360万円・Cの負担部分240万円・Cの割合は4割)。442条の文言どおりなら=400万円の4割=160万円をCに求償。判例の準則どおりなら=負担部分を超えた40万円をCに求償(Cの負担部分240万円の限度)。札=条文/判例/こちらの説明。 図:求償の分かれ目の板

  • 見出し=改正後の扱いは見解が分かれる
  • 場面③
  • Bが400万円を弁済(Bの負担部分360万円・Cの負担部分240万円・Cの割合は4割)
  • 442条の文言どおりなら=400万円の4割=160万円をCに求償
  • 判例の準則どおりなら=負担部分を超えた40万円をCに求償(Cの負担部分240万円の限度)
  • 札=条文/判例/こちらの説明

数字で2通りを並べます。Bが400万円を払いました。Cの負担部分の割合は4割です。442条の文言どおりなら、400万円の4割、160万円を、Cに求償できます。判例の準則どおりなら、Bの負担部分360万円を超えた40万円を、Cに求償できます。改正の後に、この判例の準則が変わったのか、不真正連帯債務の求償にも442条が及ぶのかは、学説上、見解が分かれています。ここでは優劣を決めず、3点を並べて押さえてください。442条の文言、判例の準則、そして見解が分かれていること、です。ここは論文で論点になりうる所です。不真正連帯債務の免除と求償の場面では、どの立場に立つかを示して、理由を添えて書きます。判例の準則は、判例の解釈として引きます。

多数当事者の総まとめ——冒頭の問いに戻る

冒頭の設例の関係図(答え)。A 買主、B・C 売主(兄弟)。車の引渡し債務=性質上不可分→不可分債務(430条)。AはBだけに全部の引渡しを請求できる(436条)。お金は割れるが車は割れない。辺ラベルの語=引渡し/請求。 図:冒頭の設例の関係図

  • 答え
  • A 買主、B・C 売主(兄弟)。車の引渡し債務=性質上不可分→不可分債務(430条)。AはBだけに全部の引渡しを請求できる(436条)。お金は割れるが車は割れない。辺ラベルの語=引渡し
  • 請求。

冒頭の問いに戻ります。B・Cが売主で債務者、Aが買主で債権者でした。共有している1台の車を、Aは、Bだけに全部を求められるのか、です。答えは、求められます。車の引渡しは性質上不可分で、不可分債務です。430条が連帯債務の規定を準用し、436条のとおり、各債務者が全部の義務を負います。お金は割れますが、車は割れません。ここまで学んだ型を1枚にします。分割、連帯債権、連帯債務、不可分債権、不可分債務の5つの型を、3つの問いで測ります。表は、条文だけで読めます。不真正連帯債務は、条文でなく判例の札なので、この表には入れません。

総まとめ表その1(問い1・問い3)。列=分割(427条)/連帯債権(432条〜435条の2)/不可分債権(428条・429条)/連帯債務(436条〜445条)/不可分債務(430条)。行=問い1 対外的効力:自分の分だけ/各債権者が全部または一部/各債権者が全部/各債務者が全部または一部/各債務者が全部。行=問い3 求償・分与:なし/内部の分与(条文なし)/条文なし(429条は債務者への償還)/442条〜445条/442条〜445条を準用(430条)。札=条文/こちらの説明。 図:総まとめ表その1(問い1・問い3)。列=分割(427条)/連帯債権(432条〜435条の2)/不可分債権(428条・429条)/連帯債務(436条〜445条)/不可分債務(430条)。行=問い1 対外的効力:自分の分だけ/各債権者が全部または一部/各債権者が全部/各債務者が全部または一部/各債務者が全部。行=問い3 求償・分与:なし/内部の分与(条文なし)/条文なし(429条は債務者への償還)/442条〜445条/442条〜445条を準用(430条)。札=条文/こちらの説明。

表の1枚目です。問いの1 対外的効力は、分割が自分の分だけ。連帯債権は各債権者が全部または一部。不可分債権は各債権者が全部。連帯債務は各債務者が全部または一部。不可分債務は各債務者が全部です。一部でもよいのは分けられる給付だけで、分けられない給付は、全部です。問いの3 求償と分与は、分割がなし。連帯債権は内部の分与で条文なし。不可分債権も条文なしで、429条は債務者への償還です。連帯債務と不可分債務は、442条から445条までです。条文の札と、読み方はこちらの説明です。

総まとめ表その2(問い2 1人に生じた事由の効力)。列=分割/連帯債権/不可分債権/連帯債務/不可分債務。行=請求:相対/絶対(432条)/絶対(428条・432条)/相対(441条)/相対(430条・441条)。弁済等:その人の分が消えるだけ/絶対(432条)/絶対(432条)/絶対(条文に規定なし・債権が満たされるため)/絶対。更改:相対/絶対(持分の限度・433条)/相対(429条で償還)/絶対(438条)/絶対(438条)。免除:相対/絶対(持分の限度・433条)/相対(429条で償還)/相対(441条)/相対(441条)。相殺:相対/絶対(434条)/絶対(434条)/絶対(439条1項)/絶対(439条1項)。混同:相対/絶対(435条)/相対(435条の2)/絶対(440条)/相対(440条を準用しない)。時効の完成:相対/相対(435条の2)/相対(435条の2)/相対(441条)/相対(441条)。札=条文/こちらの説明。 図:総まとめ表その2(問い2 1人に生じた事由の効力)。列=分割/連帯債権/不可分債権/連帯債務/不可分債務。行=請求:相対/絶対(432条)/絶対(428条・432条)/相対(441条)/相対(430条・441条)。弁済等:その人の分が消えるだけ/絶対(432条)/絶対(432条)/絶対(条文に規定なし・債権が満たされるため)/絶対。更改:相対/絶対(持分の限度・433条)/相対(429条で償還)/絶対(438条)/絶対(438条)。免除:相対/絶対(持分の限度・433条)/相対(429条で償還)/相対(441条)/相対(441条)。相殺:相対/絶対(434条)/絶対(434条)/絶対(439条1項)/絶対(439条1項)。混同:相対/絶対(435条)/相対(435条の2)/絶対(440条)/相対(440条を準用しない)。時効の完成:相対/相対(435条の2)/相対(435条の2)/相対(441条)/相対(441条)。札=条文/こちらの説明。

表の2枚目が、問いの2、1人に生じた事由の効力です。縦に読むと、型ごとの性格です。横に読むと、事由ごとに、どの型で効くかです。見るべき差は3つです。1つめ、請求です。債権側の連帯債権と不可分債権は絶対効、債務側の連帯債務と不可分債務は相対効です。2つめ、債権側の更改・免除・混同です。連帯債権は絶対効、不可分債権は相対効です。ただし更改と免除は、不可分債権では429条で償還します。3つめ、債務側の混同です。連帯債務は絶対効、不可分債務は相対効です。時効の完成は、分割も含めて、全部相対効です。分割の弁済等は、その人の分が消えるだけで、他の人には響きません。条文の札と、表の読み方はこちらの説明です。

今日のまとめ。3つの柱=1 不可分は性質上分けられない給付だけ(428条・430条・431条・2017年改正で意思表示による不可分を廃止)/2 不可分債権=免除しても全部を請求できるが、分与されるはずだった分を債務者に償還(429条)・不可分債務=混同だけ相対効(430条)/3 不真正連帯債務=弁済など債権者を満足させる事由のほかは他に及ばない・求償は責任割合で(判例)・改正後は区別の意味が小さく、求償の分かれ目は見解が分かれる。最下段=答え。AはBだけに全部の引渡しを請求できる(430条・436条)。 図:今日のまとめ

  • 3つの柱=1 不可分は性質上分けられない給付だけ(428条・430条・431条・2017年改正で意思表示による不可分を廃止)/2 不可分債権=免除しても全部を請求できるが、分与されるはずだった分を債務者に償還(429条)・不可分債務=混同だけ相対効(430条)/3 不真正連帯債務=弁済など債権者を満足させる事由のほかは他に及ばない・求償は責任割合で(判例)・改正後は区別の意味が小さく、求償の分かれ目は見解が分かれる
  • 最下段=答え
  • AはBだけに全部の引渡しを請求できる(430条・436条)

3つの柱で整理します。1つめ、不可分は性質上分けられない給付だけです。分けられる給付は、約束があれば連帯債権や連帯債務です。分けられる給付に変わったら、分割に戻ります。2つめ、不可分債権は、1人が免除しても、他の債権者は全部を請求でき、そのかわり分与されるはずだった分を債務者に償還します。429条です。不可分債務は、連帯債務との差分が混同だけで、混同は相対効です。430条です。3つめ、不真正連帯債務は、弁済など債権者を満足させる事由のほかは、他に及ばず、求償は責任割合で決まります。改正の後は区別の意味が小さくなり、求償の分かれ目は、見解が分かれています。札を付けて整理します。条文は428条から431条まで、そして719条1項前段です。判例は、共同不法行為者の賠償債務の、免除の効力と求償です。立案の過程の説明は、意思表示による不可分を廃止した理由、429条の償還の趣旨、不真正連帯債務の位置づけです。こちらの説明は、性質上不可分の例、給付ごとに見ること、差分の読み方、総まとめ表の読み方、改正後の求償の数字例です。不真正連帯債務の免除と求償は、論文で論点になりうる所です。

参照条文

  • 民法428条
  • 民法430条
  • 民法431条
  • 民法429条
  • 民法719条1項前段

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