民法ゼロから民法#221

連帯保証と共同保証・分別の利益

印刷用PDFを開く

第4章 債権総論 #221/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

保証人が2人。全額を請求されたら、半分で足りるか

冒頭の設例の関係図。A 債権者(貸主)、B 主債務者(借主)、C 保証人、D もう1人の保証人。AはBに1,000万円を貸した。CとDが、別々にAと保証契約を結んだ。Bは払わない。AがCに1,000万円を請求した。問い=Cは500万円だけで足りるか。CもDも連帯保証人ならどうか。辺ラベルの語=貸金1,000万円/保証/請求。 図:冒頭の設例の関係図

  • A 債権者(貸主)、B 主債務者(借主)、C 保証人、D もう1人の保証人
  • AはBに1,000万円を貸した
  • CとDが、別々にAと保証契約を結んだ
  • Bは払わない
  • AがCに1,000万円を請求した
  • 問い=Cは500万円だけで足りるか
  • CもDも連帯保証人ならどうか
  • 辺ラベルの語=貸金1,000万円/保証/請求

先に答えです。普通の保証人が、2人なら、Cは500万円だけで足ります。分別の利益といって、456条が認めています。CもDも連帯保証人なら、この利益がありません。Cは1,000万円全額を払います。そのかわり、払ったあとで、Bに1,000万円、Dに500万円を、取り戻せます。今日は、この数字がなぜそうなるのかを、順にほどきます。今日の登場人物です。Aが債権者、Bが主債務者、Cが保証人、Dがもう1人の保証人です。前の回までと同じ役に、Dが加わります。CもDも、Bに頼まれて保証したことにします。

前の回の受けと、根拠の札

前の回の受けと根拠の札の板。ここまで=保証人が1人の話(保証の性質・抗弁・求償)。今日=保証人が主債務者と連帯する(連帯保証)/保証人が2人以上いる(共同保証)。根拠の札=条文(法律に書いてあること)/判例(最高裁や大審院の判決が述べたこと)/こちらの説明(理解のための説明)。 図:前の回の受けと根拠の札の板

  • ここまで=保証人が1人の話(保証の性質・抗弁・求償)
  • 今日=保証人が主債務者と連帯する(連帯保証)/保証人が2人以上いる(共同保証)
  • 根拠の札=条文(法律に書いてあること)/判例(最高裁や大審院の判決が述べたこと)/こちらの説明(理解のための説明)

ここまでの回は、保証人が1人の話でした。今日は、これが2つの方向に広がります。1つめは、保証人が、主債務者と連帯する場合です。連帯保証です。2つめは、同じ主債務について、保証人が、2人以上いる場合です。これを共同保証といい、その1人ひとりを共同保証人と呼びます。今日も、話の根拠が混ざるので、そのつど、なにに基づく話かを言います。条文に書かれていることは、条文の札です。最高裁や、その前の大審院の判決が述べたことは、判例の札です。条文にも判例にも書かれていない、理解のための説明は、こちらの説明の札です。答案では、条文は条文番号を引いて書き、それ以外は理由を添えて書きます。

柱1——連帯保証とは。補充性が無く、付従性は残る

連帯保証の導入板。連帯保証=主債務者と肩を並べて連帯の形で責任を負う保証(保証契約で連帯の特約をする)。454条=催告の抗弁・検索の抗弁を持たない。付従性は残る=主債務が消えれば連帯保証債務も消える/457条1項は連帯保証にも及ぶ。札=条文/こちらの説明。 図:連帯保証の導入板

  • 連帯保証=主債務者と肩を並べて連帯の形で責任を負う保証(保証契約で連帯の特約をする)
  • 454条=催告の抗弁・検索の抗弁を持たない
  • 付従性は残る=主債務が消えれば連帯保証債務も消える/457条1項は連帯保証にも及ぶ
  • 札=条文/こちらの説明

1つめの柱です。その前に、前の回の確認です。連帯保証人が持たない2つの抗弁は、何でしたか?催告の抗弁と、検索の抗弁です。連帯保証は、保証人が、主債務者と肩を並べて、連帯の形で責任を負う保証です。保証契約で、連帯の特約をして作ります。実務の保証は、この形が多いです。なお、商行為によって生じた債務の保証は、商法511条2項で、特約がなくても連帯になります。会社の借入れの保証がその例です。条文の札です。

条文民法454条

民法第454条(連帯保証の場合の特則) 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

前二条は、452条の催告の抗弁と、453条の検索の抗弁です。連帯保証人は、どちらも持ちません。Bが払わないとき、Aは、Bに催促することも、Bの財産を探すことも飛ばして、いきなりCに請求できます。条文の札です。補充性が無い、という言い方でした。この条文は、前の回で一度出しています。今日はその本体として、連帯保証人に起きることを見ていきます。連帯保証人が、主債務者と同じ立場になるわけではありません。補充性は無くなりますが、付従性は残ります。連帯保証も、保証債務の一種だからです。主債務が無効になったり消えたりすれば、連帯保証債務も消えます。付従性の考え方です。こちらの説明です。主債務者の履行の請求による時効の完成猶予や更新が、保証人にも及ぶという457条1項も、連帯保証に及びます。条文の札です。連帯債務との違いを言います。連帯債務は、債務者の数だけ独立した債務が並ぶので、どれかに従う関係が無く、付従性がありません。1人の債務が取り消されても、ほかの人の債務は残ります。連帯債務の回で見た437条です。また、連帯債務者には負担部分、つまり内部で分担する割合、額がありますが、連帯保証人には、主債務者との間の負担部分がありません。連帯保証人は、主債務のあとを追う保証債務を負いながら、補充性だけを失った人だからです。こちらの説明です。

柱1——連帯保証人に生じた事由は主債務者に及ぶか 458条

458条の板。及ぶ(絶対効)=弁済等/更改(438条)/相殺(439条1項)/混同(440条)。及ばない(相対効)=それ以外すべて(441条)。例=請求・免除・時効の完成・承認。ただし書=債権者と主債務者が別段の意思を表示すれば、その意思に従う。欄外=439条2項は準用されない。札=条文/こちらの説明。 図:458条の板

  • 及ぶ(絶対効)=弁済等/更改(438条)/相殺(439条1項)/混同(440条)
  • 及ばない(相対効)=それ以外すべて(441条)
  • 例=請求・免除・時効の完成・承認
  • ただし書=債権者と主債務者が別段の意思を表示すれば、その意思に従う
  • 欄外=439条2項は準用されない
  • 札=条文/こちらの説明

次は、連帯保証人Cに起きた出来事が、主債務者Bに及ぶか、です。458条が決めています。

条文民法458条

民法第458条(連帯保証人について生じた事由の効力) 第四百三十八条、第四百三十九条第一項、第四百四十条及び第四百四十一条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。

連帯債務の回で見た4つの条文を、連帯保証人に当てはめる、という条文です。絶対効、つまりBにも及ぶのは、弁済等、更改、相殺、混同です。弁済等は、債権が満たされるので当然に及びます。こちらの説明です。更改は438条、Cと債権者の間で更改があれば、債権はBの利益のためにも消えます。相殺は439条1項、Cが相殺を援用したとき、債権はBの利益のためにも消えます。混同は440条、Cと債権者の間に混同があれば、Cは弁済をしたものとみなされます。条文の札です。なぜこの4つだけが及ぶのか。共通するのは、債権が満たされるか、置き換わることです。相殺は、Cが自分の債権を差し出して、払ったのと同じです。混同は、自分で自分に払ったのと同じ形です。更改は、今の債務を消して新しい債務に置き換えるので、Aは元の債権の代わりを受け取っています。元の債権を残す理由がありません。連帯債務の回と同じ理由で、こちらの説明です。これ以外は、441条のとおり、相対効です。Bには及びません。条文の札です。相対効の代表が、請求です。AがCにだけ訴えを起こしても、Bの主債務の時効は、止まりません。Cの時効が完成しても、Bの債務は残ります。Cへの免除や承認も、Bには及びません。ただし書で、AとBが、別段の意思を表示したときは、その意思に従います。条文の札です。

2017年の改正の前は、連帯保証人への請求は、主債務者にも及んでいました。改正で、請求は相対効の側に移りました。理由は、連帯債務の回と同じです。請求を受けていない人は、請求があったことを当然には知らないからです。ですから、債権者は、主債務者の時効を止めたいなら、主債務者に請求する必要があります。判例ではなく、条文の話です。もう1つ、条文の文言に注意してください。458条の準用は、439条の1項だけです。2項は準用されていません。2項は、相殺を援用しない間、負担部分の限度で、履行を拒める規定でした。連帯保証人には、主債務者との間の負担部分がありません。限度が0になるので、規定の意味がないのです。こちらの説明です。

向き2本の板。上の矢印=主債務者に生じた事由→保証人(付従性・457条1項で広く及ぶ。例=AがBに請求すれば、C・Dの時効の完成も猶予される)。下の矢印=連帯保証人に生じた事由→主債務者(458条・弁済等/更改/相殺/混同だけ。請求は及ばない)。札=条文/こちらの説明。 図:向き2本の板

  • 上の矢印=主債務者に生じた事由→保証人(付従性・457条1項で広く及ぶ。例=AがBに請求すれば、C・Dの時効の完成も猶予される)
  • 下の矢印=連帯保証人に生じた事由→主債務者(458条・弁済等/更改/相殺/混同だけ。請求は及ばない)
  • 札=条文/こちらの説明

向きの違いを、1枚にします。主債務者に生じた事由が、保証人に及ぶ向きは、付従性で広く及びます。AがBに請求すれば、CとDの時効の完成猶予も及びます。457条1項です。反対に、連帯保証人に生じた事由が、主債務者に及ぶ向きは、458条の、弁済等、更改、相殺、混同だけです。請求は及びません。この向きの違いは、時効の管理で、論文で論点になりうる所です。条文の札と、こちらの説明です。

柱2——共同保証と分別の利益 456条

456条の板。数人の保証人がある場合=各別の行為により債務を負担したときであっても、427条を適用。427条=別段の意思表示がないときは、それぞれ等しい割合で義務を負う。設例=1,000万円・普通の保証人2人→各500万円(頭数で割る)。札=条文/こちらの説明。 図:456条の板

  • 数人の保証人がある場合=各別の行為により債務を負担したときであっても、427条を適用
  • 427条=別段の意思表示がないときは、それぞれ等しい割合で義務を負う
  • 設例=1,000万円・普通の保証人2人→各500万円(頭数で割る)
  • 札=条文/こちらの説明

2つめの柱です。冒頭の問いの、いちばん基本の場面です。保証人が2人いるとき、各人は、いくら負うのか。先に理由の側から言います。金銭の支払いは、分けられる債務です。分けられる債務を数人が負うなら、分けて負うのが出発点になります。こちらの説明です。そのことを決めているのが、456条です。

条文民法456条

民法第456条(数人の保証人がある場合) 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。

427条は、分割債務の回で見た、分割債務の原則です。数人の債務者がいて、別段の意思表示がないときは、各人は、それぞれ等しい割合で義務を負う、というものです。456条は、これを保証人にも当てはめます。条文の札です。冒頭の例なら、1,000万円を保証人2人で割って、Cが500万円、Dが500万円です。AがCに請求できるのは500万円までです。このように、各保証人が、頭数で割った額だけを負えばよい利益を、分別の利益といいます。条文の、各別の行為により、は、保証人どうしが、同時に、同じ契約で保証したのではなくても、という意味です。CとDが、別々の日に、別々の契約を結んでいても、結果は同じです。条文の文言を読むだけの話です。条文の札です。頭数で割るのが出発点なので、債権者が全額を確実に取りたいなら、連帯保証や、これから見る保証連帯の約束を求めればよいのです。こちらの説明です。

柱2——分別の利益が無い3つの場合と、3者比較表

分別の利益が無い3つの場合の板。1 主債務が不可分(割れない)/2 連帯保証人(主債務者と連帯する約束)/3 保証連帯(保証人どうしが各自全額を払うと約した)。連帯保証と保証連帯の線=連帯するのが主債務者との間(連帯保証・補充性なし)か、保証人どうしの間(保証連帯・補充性あり)か。札=条文/判例/こちらの説明。 図:分別の利益が無い3つの場合の板

  • 1 主債務が不可分(割れない)/2 連帯保証人(主債務者と連帯する約束)/3 保証連帯(保証人どうしが各自全額を払うと約した)
  • 連帯保証と保証連帯の線=連帯するのが主債務者との間(連帯保証・補充性なし)か、保証人どうしの間(保証連帯・補充性あり)か
  • 札=条文/判例/こちらの説明

では、この分別の利益が、無くなるのはいつか。3つあります。1つめは、主債務が不可分の場合です。不可分とは、分けられない、ということです。例えば、建物を引き渡す債務の保証です。建物は半分に割れませんから、頭数で割る計算が働きません。これは、あとで読む465条1項の文言から導けます。こちらの説明です。2つめは、連帯保証人です。大審院の判決は、保証人が主債務者と連帯して責任を負う場合は、他の保証人との間に連帯の特約がなくても、その保証人は分別の利益を持たない、としました。判例の札です。決め手は、こちらの説明で、主債務者と連帯して全額を払うと約している以上、あらかじめ分別の利益を手放した、と見るからです。

連帯保証人と普通の保証人が混ざる場合、連帯保証人は、全額を負います。普通の保証人は、分別の利益があります。頭数には連帯保証人も数えて、保証人が2人なら500万円です。こちらの説明で、456条の読み方です。3つめは、保証連帯です。保証連帯とは、普通の保証人どうしが、各自が全額を払う、と約したものです。分別の利益がありません。これも465条1項の、各保証人が全額を弁済すべき旨の特約という文言に対応します。条文の札です。ここで、連帯保証と保証連帯を、きっぱり分けます。連帯するのが、主債務者との間なら、連帯保証です。補充性が無く、催告の抗弁も検索の抗弁もありません。連帯するのが、保証人どうしの間なら、保証連帯です。保証人は、普通の保証人のままなので、補充性が残ります。ここで問いです。連帯保証と保証連帯、催告の抗弁と検索の抗弁が残るのはどちらでしょうか?

保証連帯です。連帯保証には、補充性がありません。表にします。

3者比較表。縦=債権者への額(Cが払う額)/補充性(催告・検索の抗弁)/分別の利益/連帯する相手。横=普通の共同保証/保証連帯/連帯保証。設例=1,000万円・保証人2人。普通の共同保証=500万円/あり/あり/連帯なし。保証連帯=1,000万円/あり/なし/保証人どうし。連帯保証=1,000万円/なし/なし/主債務者。札=条文/判例/こちらの説明。 図:3者比較表

  • 縦=債権者への額(Cが払う額)/補充性(催告・検索の抗弁)/分別の利益/連帯する相手
  • 横=普通の共同保証/保証連帯/連帯保証
  • 設例=1,000万円・保証人2人
  • 普通の共同保証=500万円/あり/あり/連帯なし
  • 保証連帯=1,000万円/あり/なし/保証人どうし
  • 連帯保証=1,000万円/なし/なし/主債務者
  • 札=条文/判例/こちらの説明

上から読みます。債権者に払う額です。普通の共同保証は500万円、保証連帯は1,000万円、連帯保証は1,000万円です。補充性です。普通の共同保証と保証連帯には、あります。連帯保証には、ありません。分別の利益です。普通の共同保証にはあり、保証連帯と連帯保証には、ありません。連帯する相手です。普通の共同保証は、連帯なし。保証連帯は、保証人どうし。連帯保証は、主債務者です。飲み会の割り勘に置き換えます。お店が割り勘前提なら、2人で払う場面で、請求は半分ずつです。2人が「どちらも全額払います」と一筆書けば、1人に全額を請求されます。これが保証連帯です。さらに、幹事が、お店と直接、全額を払う契約をしていれば、お店は、幹事に催促なしでいきなり請求できます。これが連帯保証です。こちらの説明です。

柱3——共同保証人間の求償 465条

求償2本の関係図。A 債権者、B 主債務者、C 保証人、D 保証人。Cが1,000万円を払った後。Cから Bへ=求償1,000万円(459条・委託を受けた保証人)。CからDへ=求償500万円(465条・負担部分500万円を超える額)。二重には取れない。辺ラベルの語=弁済/求償。 図:求償2本の関係図

  • A 債権者、B 主債務者、C 保証人、D 保証人
  • Cが1,000万円を払った後
  • Cから Bへ=求償1,000万円(459条・委託を受けた保証人)
  • CからDへ=求償500万円(465条・負担部分500万円を超える額)
  • 二重には取れない
  • 辺ラベルの語=弁済/求償

3つめの柱です。CもDも連帯保証人で、Cが、全額の1,000万円をAに払ったとします。Cの取り戻し先は、2本あります。1本めは、主債務者Bです。Cは、Bに頼まれた保証人なので、459条で、支出した財産の額、1,000万円を求償できます。前の回までの話です。2本めが、今日の主役で、もう1人の共同保証人Dです。ただし、二重には取れません。Bから取り戻せた分は、Dへの求償の必要が減ります。こちらの説明です。2本めを決めるのが、465条です。

条文民法465条

民法第465条(共同保証人間の求償権) 1 第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。 2 第四百六十二条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

1項と2項は、分別の利益の有無で振り分けられています。1項は、分別の利益が無い場合です。主債務が不可分だったり、全額を弁済する特約があったりして、1人が全額か、自分の負担部分を超える額を払ったとき、442条から444条、つまり連帯債務者間の求償を準用します。中身は、負担部分に応じた額を求償でき、払った日以後の法定利息や、避けられなかった費用も含む、というものでした。払えない人がいたときの分け直しの444条も、一緒に借ります。間にある443条、求償の前後の通知の規定も、範囲に入ります。2項は、1項以外、つまり互いに連帯しない保証人、分別の利益がある場合です。やはり全額か負担部分を超える額を払ったとき、462条、委託を受けない保証人の求償を準用します。条文の札です。なぜこう振り分けるのか。分別の利益が無い人は、全額を払う義務を負っていて、払ったのは自分の債務です。連帯債務者と同じ立場なので、連帯債務の求償を借ります。分別の利益がある人が、負担部分を超えて払うと、払う義務のない、ほかの保証人の分を、頼まれずに払ったことになります。だから、委託を受けない保証人の求償を借ります。こちらの説明です。条文の文言には、気をつける所があります。1項も2項も、払った額が、全額か、自己の負担部分を超える額、のどちらかの場合に限られます。ここで問いです。Cが300万円しか払っていないとき、Dに求償できるでしょうか?

Cの負担部分は500万円なので、300万円ではその中に収まっていて、Dには求償できないと思います。負担部分以内の弁済は、自分の負担分を払っただけです。ですから、Dには請求できません。Bへの求償だけが残ります。連帯債務の442条は、負担部分を超えるかを問いませんでした。465条は、ここが違います。条文の札です。

465条の振り分けと数字の板。分別の利益なし(不可分・全額弁済の特約・連帯保証)→1項→442〜444条(連帯債務者間の求償)。分別の利益あり(互いに連帯しない保証人)→2項→462条(委託を受けない保証人の求償)。数字=連帯保証2人でCが1,000万円→Dへ500万円+法定利息(1項・負担部分は等しい)/普通の保証人2人でCが分別の利益を言わず1,000万円→Dへ500万円・利息なし(2項・462条=Dが当時利益を受けた限度)/Cが300万円→Dへは求償なし(負担部分以内)。札=条文/判例/こちらの説明。 図:465条の振り分けと数字の板

  • 分別の利益なし(不可分・全額弁済の特約・連帯保証)→1項→442〜444条(連帯債務者間の求償)
  • 分別の利益あり(互いに連帯しない保証人)→2項→462条(委託を受けない保証人の求償)
  • 数字=連帯保証2人でCが1,000万円→Dへ500万円+法定利息(1項・負担部分は等しい)/普通の保証人2人でCが分別の利益を言わず1,000万円→Dへ500万円・利息なし(2項・462条=Dが当時利益を受けた限度)/Cが300万円→Dへは求償なし(負担部分以内)
  • 札=条文/判例/こちらの説明

数字で振り分けます。1つめ、CもDも連帯保証人です。分別の利益が無いので、1項です。Cが1,000万円全額を払うと、Dには、負担部分500万円分、つまり500万円を求償できます。ここでの負担部分は、主債務者との間ではなく、保証人どうしの間の分担です。保証人どうしの負担部分は、約束があればそれにより、なければ等しい割合と考えます。こちらの説明です。設例は等しいと置きます。2つめ、CもDも普通の保証人です。本来、Cが払うべきは500万円です。ところがCが、分別の利益を言わずに、全額、1,000万円を払ったとします。自分の負担部分500万円を超えて、払ったので、Dには、2項で、462条を準用した求償ができます。462条で、主債務者の位置にDを置いて読みます。Dの意思に反していなければ、Cが払った当時、Dが利益を受けた限度です。Dが助かったのは、自分の負担部分の500万円ですから、Dには500万円です。1つめと違い、払った日以後の法定利息は付きません。462条が、利息の規定を準用していないからです。3つめ、普通の保証人のCが、300万円だけ払ったなら、負担部分以内なので、Dには求償できません。Bへの459条の求償だけです。

465条1項に、連帯保証人どうしが入るか、です。条文の文言は、各保証人が全額を弁済すべき旨の特約、です。文字どおりには、保証人どうしの約束です。ただ、連帯保証人は、主債務者との関係で全額を負っていて、分別の利益がありません。分別の利益が無い側は、1項の側に置く、というのが一般的な理解です。こちらの説明です。そして、次に見る最高裁の事案は、どちらも連帯保証人でした。最高裁は、465条1項の求償として扱っています。言えるのは、ここまでです。代位も1文だけ触れます。CがDに求償できる範囲で、Cは、AがDに持っていた債権にも代位できます。501条2項のかっこ書です。保証人どうしの代位は、求償の規定の側で決まる、という、担保の回の続きです。なお、担保の回の頭数と、今日の頭数は、言葉が同じで別の場面です。今日は、債権者に払う額を割る話です。条文の札と、こちらの説明です。

柱3——判例 共同保証人間の求償権と時効

判例の事案の板。Cが主債務者Bへの求償権について訴訟を起こし、勝訴が確定した(時効の更新に当たる事由)。その後、Dに465条1項の求償を請求。Dは時効消滅を主張。Cは、Bへの求償権の時効が更新されたのだからDへの求償権も更新された、と主張(457条1項の類推)。判決の言う「中断」は2017年改正前の言葉=現行は完成猶予・更新。札=判例。 図:判例の事案の板

  • Cが主債務者Bへの求償権について訴訟を起こし、勝訴が確定した(時効の更新に当たる事由)
  • その後、Dに465条1項の求償を請求
  • Dは時効消滅を主張
  • Cは、Bへの求償権の時効が更新されたのだからDへの求償権も更新された、と主張(457条1項の類推)
  • 判決の言う「中断」は2017年改正前の言葉=現行は完成猶予・更新
  • 札=判例

465条の求償について、最高裁が時効の場面で判断した判決があります。事案を、冒頭の設例に置き換えます。連帯保証人のCが、全額を払い、まずBに対する求償権について訴訟を起こして、勝訴が確定しました。これで、Bへの求償権の時効は、更新されます。そのあと、Cは、Dに465条1項の求償を請求しました。Dは「時効で消えた」と主張します。Cは、Bへの求償権の時効が更新された以上、Dへの求償権もそうだ、457条1項の類推だ、と主張しました。原審はこれを退け、最高裁は上告を棄却しました。当事者は、どちらも主債務者に頼まれた連帯保証人でした。

判例最判平27・11・19 民集69巻7号1988頁

共同保証人間の求償権と時効 民法465条に規定する共同保証人間の求償権は、主たる債務者の資力が不十分な場合に、弁済をした保証人のみが損失を負担しなければならないとすると共同保証人間の公平に反することから、共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり、保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではないと解される。 したがって、保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても、共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じないものと解するのが相当である。

判決を、2つに分けて読みます。1つめは、この求償権が何のためにあるかです。Bが払えないとき、払った保証人だけが損をかぶるのは、保証人どうしの公平に反します。そこで、保証人どうしの負担を最後に調整するための権利であって、Bへの求償権を担保するものではない、とします。2つめは、その帰結です。だから、Bへの求償権に時効の中断の事由があっても、Dへの求償権には中断の効力が生じない、とします。判例の札です。判決の言う中断は、2017年改正前の言葉です。現行は、完成猶予と更新です。147条以下です。結論は変わりません。Bへの求償権についての請求や確定判決は、Dへの求償権の時効には及ばない、ということです。

決め手は、2つの求償権の役割の違いです。457条1項で、主債務者に生じた事由が保証人に及ぶのは、保証債務が主債務を担保するためにあって、主債務に従う関係にあるからです。判例は、こう言います。Dへの求償権は、共同保証人の間の負担を最終的に調整するためのもので、Bへの求償権を担保するためのものではない。だから、Bへの求償権の時効が止まっても、Dへの求償権は止まらない。判例の札です。457条1項がなぜ働くかという前半の理屈は、こちらの説明です。ですから、CがDへの求償権の時効を止めたいなら、Bを訴えるだけでは足りません。Dに直接、訴えを起こすなどすれば、Dへの求償権の時効は止まります。こちらの説明です。年数や起算点は、今日は扱いません。論文で論点になりうる所です。

冒頭の問いに戻る——まとめ

冒頭の設例の関係図(答え)。A 債権者、B 主債務者、C 保証人、D 保証人。普通の保証人2人=Cは500万円(分別の利益・456条)。連帯保証人2人=Cは1,000万円(分別の利益なし)。払ったあと=Bに1,000万円(459条)・Dに500万円(465条1項)。二重には取れない。 図:冒頭の設例の関係図

  • 答え
  • A 債権者、B 主債務者、C 保証人、D 保証人。普通の保証人2人=Cは500万円(分別の利益・456条)。連帯保証人2人=Cは1,000万円(分別の利益なし)。払ったあと=Bに1,000万円(459条)・Dに500万円(465条1項)。二重には取れない。

冒頭の問いに戻ります。Cは、500万円だけ払えば足りるか。普通の保証人どうしなら、足ります。分別の利益で、頭数で割った500万円です。CもDも連帯保証人なら、分別の利益がありません。Cは、1,000万円全額を払います。そのかわり、払ったあとで、Bに1,000万円、459条の求償です。Dに500万円、465条1項の求償です。二重には取れません。

今日のまとめ。3つの柱=1 連帯保証(補充性が無い/連帯保証人に生じた事由が主債務者に及ぶのは弁済等・更改・相殺・混同=請求は及ばない)/2 分別の利益(無いのは主債務が不可分・連帯保証・保証連帯)/3 共同保証人間の求償(分別の利益なし=1項・連帯債務の求償を準用/あり=2項・委託を受けない保証人の求償を準用。共同保証人間の求償権の時効はBへの求償権とは別)。 図:今日のまとめ

3つの柱で整理します。1つめ、連帯保証です。補充性が無く、連帯保証人に生じた事由のうち、主債務者に及ぶのは、弁済等、更改、相殺、混同です。請求は及びません。2つめ、分別の利益です。無いのは、主債務が不可分のとき、連帯保証人、保証連帯の3つです。3つめ、共同保証人間の求償です。分別の利益が無ければ1項で、連帯債務の求償を準用します。あれば2項で、委託を受けない保証人の求償を準用します。共同保証人間の求償権の時効は、Bへの求償権とは別に進みます。根拠の札を付けて、整理します。条文は、454条、456条、458条、465条と、それが準用する条文です。判例は、連帯保証人は分別の利益を持たないという大審院の判決と、共同保証人間の求償権の時効についての最高裁の判決の2つです。こちらの説明は、主なものとして、頭数で割る理由、連帯保証と保証連帯の線引き、連帯保証人が1項で処理される理由の説明です。

参照条文

  • 民法454条
  • 民法458条
  • 民法456条
  • 民法465条

民法 全体ロードマップへ →