民法ゼロから民法#256

使用貸借の成立・義務・対抗力・終了

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第5章 契約 #256/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

親の土地に建てた家は

冒頭の設例の関係図。左が貸主A(父)、右が借主B(息子)、上に土地の買主C。AはBに、地代なしの口約束で土地を貸した。Bはその土地に家を建てて住んでいる。あとからAが土地をCに売り、Cが登記を備えた。 図:冒頭の設例の関係図

  • 左が貸主A(父)、右が借主B(息子)、上に土地の買主C
  • AはBに、地代なしの口約束で土地を貸した
  • Bはその土地に家を建てて住んでいる
  • あとからAが土地をCに売り、Cが登記を備えた

冒頭の問いの答えの方向。Bは出ていかざるをえない。タダで借りた権利は、貸主Aにしか主張できない。土地の新しい所有者Cには主張できない。 図:冒頭の問いの答えの方向

  • Bは出ていかざるをえない
  • タダで借りた権利は、貸主Aにしか主張できない
  • 土地の新しい所有者Cには主張できない

先に、答えの方向を言います。Bは、出ていかざるをえません。タダで借りた権利、使用借権は、貸主のAにしか主張できない権利です。土地の新しい持ち主のCには、主張できません。理由と判例は、3つめの柱で確かめます。手前に、問いをもう2つ置きます。Aが亡くなったら、この貸し借りはどうなるのか。逆に、Bが亡くなったら、どうなるのか。この2つの答えは、最後の柱で出します。

今日の4つの柱

今日の地図。1=使用貸借とは何か(成立・賃貸借や消費貸借との線引き・受け取る前の解除)。2=貸主と借主の義務。3=使用借権には対抗力がない。4=使用貸借の終了(借主の死亡)。軸=タダで借りた物の権利は、どこまで強いのか。 図:今日の地図

  • 1=使用貸借とは何か(成立・賃貸借や消費貸借との線引き・受け取る前の解除)
  • 2=貸主と借主の義務
  • 3=使用借権には対抗力がない
  • 4=使用貸借の終了(借主の死亡)
  • 軸=タダで借りた物の権利は、どこまで強いのか

今日は4つの柱です。1つめ、使用貸借とは何か。成立と、似た契約との線引き、そして前回の続きの、受け取る前の解除です。2つめ、貸主と借主の義務。3つめ、使用借権には対抗力がないこと。冒頭の答えは、ここで出ます。4つめ、使用貸借の終わり方。AとBが亡くなったときの答えも、ここです。対抗力という言葉を、先に定義しておきます。自分の権利を、契約の相手以外の第三者にも主張できる力のことです。4つの柱を貫く軸は、1本です。タダで借りた物の権利は、どこまで強いのか。結論を先に言うと、成立は軽く、貸主の義務も軽く、第三者には対抗できず、借主が亡くなれば終わります。どれも、貸主が借主その人を信頼して、タダで貸す契約だから、という同じ根っこから出てきます。

柱1 使用貸借とは何か

1つめの柱の入口。使用貸借=物を無償で借りて使い、終わったらその物自体を返す契約。諾成・片務・無償。 図:1つめの柱の入口

  • 使用貸借=物を無償で借りて使い、終わったらその物自体を返す契約
  • 諾成・片務・無償

1つめの柱です。使用貸借は、タダで物を借りて使い、終わったらその物を返す契約です。593条は、契約の種類を整理した回でも見ました。もう一度、全文を出します。

条文民法593条

民法第593条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。

要点は3つです。1つめ、諾成です。約することによって、と書かれていて、物を受け取ることは、成立の要件に入っていません。貸す約束と、借りて返す約束が合えば、成立します。2017年の改正の前は、物を受け取って初めて成立する、要物契約でした。改正で、諾成になりました。2つめ、無償です。借主は、使った分の対価を払いません。そして3つめ、片務です。返す債務があっても、使用貸借は片務です。双務かどうかは、返す債務があるかではなく、対価として向き合う債務があるかで見ます。売買なら、物を渡す債務と、代金を払う債務が向き合っています。使用貸借の返還債務は、貸してもらったことの見返りではありません。向き合っていないので、片務です。

3列の比較表(主役)。列=使用貸借/消費貸借/賃貸借。行=返す物(その物自体/同じ種類・品質・量の別の物/その物自体)・対価(無し/利息を付けるときだけ/賃料)・片務か双務か(片務/片務。利息を付けても対価として向き合う債務は無い/双務)。 図:3列の比較表(主役)。列=使用貸借/消費貸借/賃貸借。行=返す物(その物自体/同じ種類・品質・量の別の物/その物自体)・対価(無し/利息を付けるときだけ/賃料)・片務か双務か(片務/片務。利息を付けても対価として向き合う債務は無い/双務)。

似た契約と並べます。列は、使用貸借、消費貸借、賃貸借です。返す物。使用貸借は、借りたその物自体を返します。消費貸借は、同じ種類、同じ品質、同じ量の、別の物を返します。賃貸借も、その物自体を返します。対価。使用貸借は無し。消費貸借は、利息を付けるときだけ。賃貸借は、賃料を払います。今日は、使用貸借が、その物自体を返す、タダの契約だという位置を押さえてください。名前ではなく、中身で決まります。「室代」や「使用料」と呼んでいても、使用の対価といえなければ、使用貸借です。逆に、使用の対価として払っているなら、賃貸借です。判例を2つ読みます。1つめは、会社の寮です。

線引きの判例その1。従業員専用の寮。世間並みの家賃相当額を使用料として払っている等の事実があるとき、賃貸借と判断してよい。社宅や寮の使用関係は態様がさまざまで、一律には論じられない=事案ごとの判断。 図:線引きの判例その1

  • 従業員専用の寮
  • 世間並みの家賃相当額を使用料として払っている等の事実があるとき、賃貸借と判断してよい
  • 社宅や寮の使用関係は態様がさまざまで、一律には論じられない=事案ごとの判断

会社の従業員専用の寮で、部屋の使用料を払っていた事案です。判決の要旨を出します。

判例最判昭31・11・16 民集10巻11号1453頁

寮の使用関係 従業員専用の寮の使用関係において、世間並みの家賃相当額を使用料として支払つている等、原審認定のような事実(原判決理由参照)があるときは、その使用関係を賃貸借と判断して妨げない。

読み方です。世間並みの家賃に当たる額を、使用料として払っていた事案で、原審が賃貸借と認めたのを、最高裁は妨げないとしました。ただし、これは一般論ではありません。同じ判決は、社宅や寮の使用関係には、いろいろな態様があって、一律に法律上の性質は論じられない、とも言っています。この事案の事実に即した、事例判断です。2つめは、反対側の事案です。

線引きの判例その2。家主の妻の伯父が、貸し間の室代として毎月千円を払っていた。普通の貸し間なら1畳あたり月千円ほどのところ。この支払は、使用の対価というより、貸し借りの当事者の特殊な関係に基づく謝礼=使用貸借。 図:線引きの判例その2

  • 家主の妻の伯父が、貸し間の室代として毎月千円を払っていた
  • 普通の貸し間なら1畳あたり月千円ほどのところ
  • この支払は、使用の対価というより、貸し借りの当事者の特殊な関係に基づく謝礼=使用貸借

家主の妻の伯父が、貸し間の室代として、毎月お金を払っていた事案です。普通の貸し間なら、1畳あたり月千円ほどのところ、この人は、月千円を室代として払っていました。

判例最判昭35・4・12 民集14巻5号817頁

室代名義の支払 各支払金はいずれも判示各室使用の対価というよりは貸借当事者間の特殊関係に基く謝礼の意味のものとみるのが相当で、賃料ではなく、右(一)、(二)の契約は使用貸借であつて賃貸借ではないと解すべき

読み方です。払っているお金は、部屋を使う対価というより、親戚という特殊な関係に基づく謝礼だ、と原審は見て、最高裁もその判断を是認しました。だから賃料ではなく、使用貸借です。2つを並べます。相場並みの使用料を払う寮は、賃貸借と判断されました。相場とかけ離れた額で、親戚への気持ちとして払うお金は、使用貸借でした。決め手は、そのお金が、使った分の見返りとして払われているのか、関係に基づく気持ちとして払われているのか、です。金額の大小だけで決めるのではなく、相場からどれだけ離れているかも、見る材料のひとつです。

柱1の続き。受け取る前の解除。前回=書面でする消費貸借は、受け取る前に借主が解除できた。今回=書面によらない使用貸借は、借主が受け取るまで貸主が解除できる。 図:柱1の続き

  • 受け取る前の解除
  • 前回=書面でする消費貸借は、受け取る前に借主が解除できた
  • 今回=書面によらない使用貸借は、借主が受け取るまで貸主が解除できる

ここで、前回の続きを回収します。前回、書面でする消費貸借は、受け取る前に、どちらが解除できたでしょうか?借主です。借りる義務までは負わせない、という考えでした。そうでした。使用貸借は、解除できる側が逆です。条文を出します。593条の2です。

条文民法593条の2

民法第593条の2 貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。

読みどころは2つです。ひとつは、解除できるのが貸主だ、というところです。もうひとつは、ただし書です。書面による使用貸借には、この解除が使えません。つまり、書面が無いときだけ、借主が物を受け取るまで、貸主がやめられます。理由です。使用貸借は諾成なので、約束だけで成立します。しかし、タダで貸す約束をしただけの人を、口約束で縛りすぎるのは酷です。贈与の回で見た550条と同じく、勢いでした軽率なタダの約束を防ぐねらいです。書面を作ったなら、覚悟は固いと見て、やめられません。ただ、違いもあります。550条では、贈る側も、受け取る側もやめられました。593条の2でやめられるのは、貸主だけです。借主のほうは、あとで見る598条3項で、いつでもやめられるからです。設例です。父が息子に、「来月から、この土地を貸す」と口で約束しました。息子は、まだ土地を受け取っていません。父は、やめられます。受け取った後は、この条文では解除できません。その後の貸主の解除は、あとで見る、598条や594条3項に移ります。

柱2 貸主の義務と借主の義務

2つめの柱の入口。貸主の義務=引渡し(特定した時の状態)・使用を妨げない(修繕義務は無い)。借主の義務=返還・善良な管理者の注意・用法を守る・無断で使わせない・通常の必要費の負担・終了時の収去と原状回復。 図:2つめの柱の入口

  • 貸主の義務=引渡し(特定した時の状態)・使用を妨げない(修繕義務は無い)
  • 借主の義務=返還・善良な管理者の注意・用法を守る・無断で使わせない・通常の必要費の負担・終了時の収去と原状回復

2つめの柱です。タダの貸し借りで、貸主と借主は、どんな義務を負うのでしょうか。軸は、信頼関係で結ばれた、タダの契約です。貸主の義務は軽く、借主は丁寧に使って、元の姿で返す。この形になります。まず、貸主です。貸主は、物を引き渡す債務を負います。引渡しの中身は、596条が決めています。

条文民法596条

民法第596条 第五百五十一条の規定は、使用貸借について準用する。

551条は、贈与の条文でした。前回の無利息の消費貸借でも、準用されて出てきました。贈与者は、贈与の目的物を、特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定する、という条文です。使用貸借でも同じです。たとえば、脚が少しがたつく古い脚立を貸すと決めたなら、貸主は、そのままの状態で渡せば足ります。直してから渡す必要はありません。タダで貸した人に、品質まで保証させるのは重すぎる、という贈与と同じ筋です。なお、551条2項の負担付きの場合も準用されます。贈与の回で見た負担付き、つまり借主の側も一定の給付をする義務を負う使用貸借なら、貸主は、その負担の限度で、売主と同じ担保責任を負います。

貸主の義務は、借主が使うのを妨げない、という消極的なものにとどまります。修繕する義務はありません。賃貸借の貸主は、使える状態に保つために修繕する義務を負います。そこが違います。次は、借主の義務です。まず、終わったら、借りたその物を返す義務。593条で見ました。返すまでの間は、善良な管理者の注意をもって保存する義務があります。400条です。タダで借りているから雑でよい、とはなりません。

借主の義務その1。用法遵守義務=契約や物の性質で決まった使い方に従う。無断で第三者に使わせてはいけない。違反したら貸主は解除できる。催告は要らない。 図:借主の義務その1

  • 用法遵守義務=契約や物の性質で決まった使い方に従う
  • 無断で第三者に使わせてはいけない
  • 違反したら貸主は解除できる
  • 催告は要らない

次は、使い方の義務です。594条です。

条文民法594条

民法第594条 1 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。 2 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。 3 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。

1項は、用法遵守義務です。契約や、物の性質で決まった使い方に従って使う義務です。住むために借りた家を、勝手に店にしてはいけません。2項は、貸主の承諾なしに、第三者に使わせてはいけない、です。使用貸借は、貸主が借主その人を信頼して貸す契約だからです。友人に又貸しすれば、貸主が信頼した相手と、違う人が使うことになります。3項は、この2つに違反したときです。貸主は、契約を解除できます。3項には、催告が出てきません。債務不履行の解除のように、催告をして待ってから解除するのではなく、違反があれば、催告なしで解除できます。さらに、損害が出ていれば、債務不履行として、損害賠償も請求できます。415条です。

借主の義務その2。費用。通常の必要費=借主が負担。それ以外の費用(特別の必要費・有益費)=196条に従って貸主に償還請求。595条2項→583条2項→196条。 図:借主の義務その2

  • 費用
  • 通常の必要費=借主が負担
  • それ以外の費用(特別の必要費・有益費)=196条に従って貸主に償還請求
  • 595条2項→583条2項→196条

次は、費用です。借りている間に物にお金がかかったら、誰が負担するのか。595条です。

条文民法595条

民法第595条 1 借主は、借用物の通常の必要費を負担する。 2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。

1項です。通常の必要費は、借主の負担です。ふだんから繰り返しかかる、維持のための費用でした。たとえば、借りた庭の、庭木の剪定や、小さな傷みの手入れです。使っている人が、持つのです。2項は、通常の必要費以外の費用、つまり、特別の必要費と有益費です。占有物の果実と費用の回の呼び名で言うと、臨時で大きな修繕費が特別の必要費、物の価値を高めるために払ったお金が有益費です。こちらは、貸主に返してもらえます。物は最後に貸主のもとへ戻り、その修繕や値上がりの得は、貸主が受け取るからです。条文は、583条2項を準用しています。その583条2項は、196条に従って償還する、と言っています。ですから、595条2項から583条2項、そして196条へと、二段で飛びます。196条の中身も、その回で見たとおりです。必要費は、支出した金額を償還させられます。有益費は、価値の増加が今も残っている場合に限り、支払った金額か増えた価値のどちらかを、貸主が選んで償還します。価値の増加が消えていれば、貸主の得も残っていないからです。583条2項のただし書で、有益費は、貸主の請求があれば、裁判所が払う期限を猶予できます。設例で分けます。借りた土地の庭木を、毎年手入れした。これは、通常の必要費です。借主の負担です。大雨で壊れた塀を、借主が急いで修理した。これは、特別の必要費です。貸主に償還を請求できます。借りた土地の水はけを良くする工事をして、土地の価値が上がった。これは有益費です。価値の増加が残っている限り、償還を請求できます。

借主の義務その3。終了時。付け足した物は取り外して返す(義務・権利)。分離できない物・過分の費用がかかる物は義務なし。受け取った後の損傷は元に戻す。借主に帰責事由が無い損傷は戻さなくてよい。 図:借主の義務その3

  • 終了時
  • 付け足した物は取り外して返す(義務・権利)
  • 分離できない物・過分の費用がかかる物は義務なし
  • 受け取った後の損傷は元に戻す
  • 借主に帰責事由が無い損傷は戻さなくてよい

次は、終わるときの義務です。599条です。

条文民法599条

民法第599条 1 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。 2 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。 3 借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

1項です。借用物に付け足した物は、使用貸借が終わったら、取り外して返す義務があります。収去とは、取り外して持ち去ることです。ただし、取り外せない物や、取り外すのに過分の費用がかかる物は、義務を負いません。2項は、権利の話です。借主は、付け足した物を取り外す権利もあります。貸主が「置いていってくれ」と言っても、借主は、自分の物として取り外せます。借りた庭に置いた物置は、終了のときに、外して持ち帰れます。3項は、原状回復義務です。受け取った後に生じた損傷は、使用貸借が終わったとき、元の状態に戻す義務があります。ただし書があります。借主に帰責事由が無い損傷なら、戻さなくてよい、という意味です。借りた倉庫の屋根が、台風で壊れたのなら、借主に帰責事由は無いので、直さなくてかまいません。借主が荒く使って壊したなら、戻す義務があります。

効く場面が違います。義務が効くのは、貸主が、外してから返してほしいと求める場面です。権利が効くのは、さっきの物置のように、借主が持ち帰りたい場面です。どちらも、付け足した物は借主の物だ、という前提です。ただし、分離できない物などには、義務のほうに例外があります。

請求の期間制限。貸主の損害賠償請求・借主の費用償還請求=貸主が返還を受けた時から1年以内。この期間は除斥期間(通説)。損害賠償請求権の時効は、返還から1年を経過するまで完成しない。 図:請求の期間制限

  • 貸主の損害賠償請求・借主の費用償還請求=貸主が返還を受けた時から1年以内
  • この期間は除斥期間(通説)
  • 損害賠償請求権の時効は、返還から1年を経過するまで完成しない

最後に、請求の期限です。600条です。

条文民法600条

民法第600条 1 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。 2 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

1項です。貸主の損害賠償の請求と、借主の費用の償還の請求は、貸主が物の返還を受けた時から、1年以内にしなければなりません。物が返ってから時間がたつと、傷みが使い方のせいなのか、費用がいくらかかったのかが、分からなくなります。だから、早く片付けさせるのです。この期間は、時効ではなく、除斥期間だと考えるのが通説です。除斥期間は、消滅時効のような完成猶予や更新の定めがなく、援用も要らず、期間がすぎれば当然に権利が消える期間です。2項は、貸主の側の保護です。貸主は、借りた物が返ってくるまで、用法に違反されたことに気づきにくい。そこで、損害賠償の請求権は、物が返ってから1年が過ぎるまで、時効が完成しません。

柱2のまとめ板。貸主=引渡し(特定した時の状態・596条)・使用を妨げない(修繕義務なし)。借主=返還と善管注意(593条・400条)・用法遵守と無断使用禁止(594条)・通常の必要費は借主負担(595条)・収去と原状回復(599条)・請求は返還から1年以内(600条)。 図:柱2のまとめ板

  • 貸主=引渡し(特定した時の状態・596条)・使用を妨げない(修繕義務なし)
  • 借主=返還と善管注意(593条・400条)・用法遵守と無断使用禁止(594条)・通常の必要費は借主負担(595条)・収去と原状回復(599条)・請求は返還から1年以内(600条)

柱2を整理します。貸主は、特定した時の状態で引き渡し、使うのを妨げません。修繕の義務はありません。借主は、返す義務と、善良な管理者の注意で保存する義務を負います。用法を守り、貸主の承諾なしに、第三者に使わせません。通常の必要費は借主の負担で、それ以外は196条で償還を請求できます。終わるときは、付け足した物を取り外し、損傷を元に戻します。請求は、返還から1年以内です。ここまでが、貸し借りの中身でした。次は、冒頭の問いに戻ります。権利としての強さの話です。

柱3 使用借権には対抗力がない

3つめの柱の入口。冒頭の設例に戻る。AがBに土地を貸し、Bは家を建てて住んでいる。AがCに土地を売り、Cが登記を備えた。Bは使用借権をCに主張できるか。 図:3つめの柱の入口

  • 冒頭の設例に戻る
  • AがBに土地を貸し、Bは家を建てて住んでいる
  • AがCに土地を売り、Cが登記を備えた
  • Bは使用借権をCに主張できるか

3つめの柱です。冒頭の問いに戻ります。AがBに土地を貸し、Bは家を建てて住んでいます。AがCに土地を売り、Cは登記も備えました。Bは、Cに出ていけと言われて、拒めるでしょうか。まず、使用借権の性質です。使用借権は、債権です。債権は、契約の相手にしか主張できません。Bの使用借権は、貸主のAに対して、使わせろと言える権利です。土地の新しい所有者のCは、AとBの契約の当事者ではありません。ですから、Bは、Cに対して、使わせろとは言えません。冒頭で定義した言葉で言います。使用借権には、対抗力がありません。Cから見ると、Bは、土地を使う権利をCに主張できないまま、土地に家を置いている人、無権原の占有者です。だから、Cの明渡しの請求を、Bは拒めません。

土地を使う権利の守られ方の比較。地上権=物権・登記で第三者に対抗できる。建物の所有を目的とする土地の賃借権=債権だが借地借家法の保護(借地権)がある。使用借権=債権で、借地借家法の枠の外=対抗力なし。 図:土地を使う権利の守られ方の比較

  • 地上権=物権・登記で第三者に対抗できる
  • 建物の所有を目的とする土地の賃借権=債権だが借地借家法の保護(借地権)がある
  • 使用借権=債権で、借地借家法の枠の外=対抗力なし

土地を使う権利の守られ方は、違います。土地の上に建物を持つために、土地を使う方法を並べます。地上権は、物権です。物権だから、土地に地上権の登記を備えれば、誰にでも主張できます。土地の賃借権は、債権です。ただ、借地借家法は、建物の所有を目的とする地上権や賃借権を借地権として、強く守ります。借家も同じで、建物の賃貸借が対象です。そして、地上権の回で見たとおり、借地権は、土地の上に自分の名前で登記した建物があれば、第三者に対抗できます。借地借家法10条1項です。使用借権は、債権で、借地借家法の対象にも入りません。建物の所有を目的とする地上権でも、賃借権でもないからです。ですから、Bが家を自分の名前で登記していても、10条1項は使えません。タダで貸してくれた人に、土地を売っても借主を追い出せない、という重い負担までは負わせない。貸主の責任を軽くするのと、同じ筋です。だから、守りが薄いのです。ここで、柱1の線引きが効いてきます。もし、Bが使用の対価として地代を払っていたなら、賃貸借です。建物の所有を目的とする土地の賃借権として、借地借家法で守られます。家を登記しておけば、Cにも対抗できます。タダだから、守られない。親子の口約束でも、地代をきちんと払う賃貸借なら、守られるのです。

冒頭の答え。BはCに対抗できるか。Bは、Cに使用借権を対抗できず、出ていかざるをえない。使用借権は債権で、借地借家法の保護の枠にも入らない。判例=貸主から建物を買った者は、使用貸借関係を法律上承継するものではない(最判)。 図:冒頭の答え

  • BはCに対抗できるか
  • Bは、Cに使用借権を対抗できず、出ていかざるをえない
  • 使用借権は債権で、借地借家法の保護の枠にも入らない
  • 判例=貸主から建物を買った者は、使用貸借関係を法律上承継するものではない(最判)

判例です。柱1で見た、親戚が室代を払っていた事件と、同じ判決です。部屋の使用貸借の事案で、貸主から建物を買った人が、借りていた人に明渡しを求めました。最高裁が是認した、原審の判断を読みます。

判例最判昭35・4・12 民集14巻5号817頁

貸主から建物を買った者 被上告人は、右各契約後、上告人A1より本件建物の所有権を取得したけれども、被上告人はこれによつて上告人A1の右各室についての使用貸借関係を法律上承継するものではない、としたのはすべて相当というを妨げない。

読み方です。建物の所有権を買った人は、前の所有者と借主の使用貸借関係を、法律上、そのまま引き継ぐわけではない、という判断です。借りていた人は、当時の借家法、今の借地借家法の前身のひとつで、建物の引渡しを受けていれば新しい持ち主にも対抗できる、という定めも主張しましたが、それも採用できない、とされました。使用貸借だったからです。冒頭の答えです。BはCに、使用借権を対抗できません。Cが登記を備えて、土地の所有者になったのですから、出ていくしかありません。同じ筋が、判例で確かめられています。使用貸借は、信頼関係で結ばれた契約です。その信頼は、AとBの間のものです。土地を買ったCは、その信頼の外にいます。守りが薄いのは、そのためです。

柱4 使用貸借の終了

4つめの柱の入口。終わり方=期間満了・目的の終了(597条)/貸主の解除(598条ほか)/借主の死亡(597条3項)。 図:4つめの柱の入口

4つめの柱です。使用貸借は、どう終わるのか。終わり方は大きく3つです。期間の満了や目的の終了、貸主の解除、そして借主の死亡です。まず、597条です。

条文民法597条

民法第597条 1 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。 2 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。 3 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。

1項と2項から見ます。期間を定めたなら、その期間が満了したときに終わります。期間は定めなかったが、使用と収益の目的を定めたなら、借主が、その目的に従って使い終えたときに終わります。たとえば、収穫が終わるまで畑を貸す、と約束したなら、収穫を終えたときに終わります。3項は、あとで見ます。

解除の問い。期間も目的も決めていない土地の貸し借り。貸主は、いつ解除できるか。 図:解除の問い。期間も目的も決めていない土地の貸し借り。貸主は、いつ解除できるか。

次は、解除です。期間も目的も決めていない、土地の貸し借りがあります。貸主は、いつ解除できるでしょうか?

答えと598条の整理。目的はあるが期間の定めが無い→目的に足りる期間を過ぎれば貸主が解除できる(1項)。期間も目的も無い→貸主はいつでも解除できる(2項)。借主はいつでも解除できる(3項)。 図:答えと598条の整理

  • 目的はあるが期間の定めが無い→目的に足りる期間を過ぎれば貸主が解除できる(1項)
  • 期間も目的も無い→貸主はいつでも解除できる(2項)
  • 借主はいつでも解除できる(3項)

期間も目的も無いのなら、貸主は、いつでも解除できると思います。条文を出します。598条です。

条文民法598条

民法第598条 1 貸主は、前条第二項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。 2 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。 3 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

1項は、前条2項の場合です。期間は定めず、目的だけを定めた場合です。借主が、その目的に従って使うのに足りる期間が過ぎたら、貸主は解除できます。2項は、期間も目的も定めなかった場合です。貸主は、いつでも解除できます。3項は、借主です。借主は、いつでも解除できます。冒頭の設例は、親子の口約束で、期間も目的も、口では決めていません。ただ、家を建てて住むために貸したことが、事情から読み取れる、と見れば、目的はあります。そうなら1項で、その目的に従って使うのに足りる期間が過ぎるまでは、Aは解除できません。期間も目的も、本当に何も決めていなかったなら、2項で、Aはいつでも解除できます。借主のほうは、どちらでも、いつでも解除できます。

貸主が解除できる場面の整理板(主役)。1=書面によらない使用貸借で、借主が受け取る前(593条の2)。2=借主が用法に違反、または無断で第三者に使わせたとき(594条3項・催告不要)。3=目的に足りる期間の経過(598条1項)。4=期間も目的も定めていない(598条2項・いつでも)。借主は常にいつでも(598条3項)。 図:貸主が解除できる場面の整理板

  • 主役
  • 1=書面によらない使用貸借で、借主が受け取る前(593条の2)。2=借主が用法に違反、または無断で第三者に使わせたとき(594条3項・催告不要)。3=目的に足りる期間の経過(598条1項)。4=期間も目的も定めていない(598条2項・いつでも)。借主は常にいつでも(598条3項)。

貸主が解除できる場面を、まとめます。使用貸借の条文が定める貸主の解除は、4つです。1つめ、書面によらない使用貸借で、借主が受け取る前。593条の2です。2つめ、借主が用法に違反したり、無断で第三者に使わせたとき。594条3項で、催告は要りません。3つめ、目的に足りる期間が過ぎたとき。598条1項です。4つめ、期間も目的も決めていないとき。598条2項で、いつでもです。借主のほうは、常にいつでも解除できます。

借主の死亡。使用貸借は借主の死亡によって終了する(597条3項)=使用借権は相続されない。貸主の死亡では終了しない。賃借権は相続される。 図:借主の死亡

  • 使用貸借は借主の死亡によって終了する(597条3項)=使用借権は相続されない
  • 貸主の死亡では終了しない
  • 賃借権は相続される

3つめの終わり方、借主の死亡に移ります。597条3項です。使用貸借は、借主の死亡によって終了します。使用借権は、相続されません。条文は、借主の死亡だけを終了原因に挙げています。貸主が亡くなっても、使用貸借は終わりません。死亡で終わるのが借主の側だけなのは、使用貸借が、貸主が借主その人を信頼して、タダで貸す契約だからです。借主が亡くなれば、その信頼の相手がいなくなります。亡くなった人の家族に、同じ信頼がそのまま及ぶとは限りません。一方、貸主が亡くなっても、信頼を向けられた相手である借主は、そこにいます。契約を続ける理由は、残ります。賃借権との決定的な違いです。賃借権は、借主が亡くなっても終了せず、相続されます。

終了の分岐図(主役)。期間を定めた→満了で終了。期間なし・目的あり→目的に従った使用の終了で終了/足りる期間の経過後は貸主が解除。期間も目的もなし→貸主はいつでも解除。借主の死亡→終了。貸主の死亡→終了しない。 図:終了の分岐図

  • 主役
  • 期間を定めた→満了で終了。期間なし・目的あり→目的に従った使用の終了で終了
  • 足りる期間の経過後は貸主が解除。期間も目的もなし→貸主はいつでも解除。借主の死亡→終了。貸主の死亡→終了しない。

終わり方を、1枚に並べます。期間を定めたなら、満了で終わります。期間は定めず目的を定めたなら、目的に従った使い終わりで終わります。足りる期間が過ぎたら、貸主が解除できます。期間も目的も定めていないなら、貸主はいつでも解除できます。そして、借主が亡くなれば終わります。貸主が亡くなっても、終わりません。終わったときは、先ほどの599条で、付け足した物の収去や、原状回復が問題になります。

冒頭の答え合わせ。貸主Aが亡くなっても、使用貸借は終わらない。借主Bが亡くなれば、使用貸借は終わる。Bの家族は、そのまま使い続ける権利を引き継がない。 図:冒頭の答え合わせ

  • 貸主Aが亡くなっても、使用貸借は終わらない
  • 借主Bが亡くなれば、使用貸借は終わる
  • Bの家族は、そのまま使い続ける権利を引き継がない

冒頭で置いた、残りの2つの問いに答えます。Aが亡くなったら、この貸し借りは終わりません。Bが亡くなったら、使用貸借は終わります。Bの家族は、使用借権を相続して、そのまま使い続けることはできません。使用貸借の終了と、対抗力は、論文で論点になりうるところです。

確かめる

確かめるその1。従兄弟に部屋を貸し、「室代」として月千円を受け取っている。普通の貸し間は、その10倍ほどの相場。使用貸借か賃貸借か。 図:確かめるその1

  • 従兄弟に部屋を貸し、「室代」として月千円を受け取っている
  • 普通の貸し間は、その10倍ほどの相場
  • 使用貸借か賃貸借か

事例で確かめます。1つめ。従兄弟に部屋を貸し、室代として、月千円を受け取っています。普通の貸し間なら、その10倍ほどの相場です。使用貸借でしょうか、賃貸借でしょうか?

答えその1。使用の対価というより、関係に基づく謝礼=使用貸借。相場並みの使用料を払う寮=賃貸借と判断してよい。 図:答えその1

  • 使用の対価というより、関係に基づく謝礼=使用貸借
  • 相場並みの使用料を払う寮=賃貸借と判断してよい

その金額は、使用の対価というより、親戚どうしの関係に基づく謝礼です。だから、使用貸借です。寮のように、相場並みの使用料を払っているなら、賃貸借と判断される事案とは、分けて覚えてください。

確かめるその2。期間も目的も決めずに、土地を貸した。貸主は、いつ解除できるか。 図:確かめるその2。期間も目的も決めずに、土地を貸した。貸主は、いつ解除できるか。

2つめ。期間も目的も決めずに、土地を貸しました。貸主は、いつ解除できるでしょうか?

答えその2。期間も目的も定めていない=貸主はいつでも解除できる(598条2項)。 図:答えその2。期間も目的も定めていない=貸主はいつでも解除できる(598条2項)。

貸主は、いつでも解除できます。

確かめるその3。借主が、貸主に無断で友人に住まわせた。貸主は、どうできるか。 図:確かめるその3。借主が、貸主に無断で友人に住まわせた。貸主は、どうできるか。

3つめ。借主が、貸主に黙って、友人を住まわせました。貸主は、どうできるでしょうか?

答えその3。承諾なく第三者に使わせた=貸主は催告なしで解除できる(594条2項・3項)。損害があれば415条で賠償請求。 図:答えその3

  • 承諾なく第三者に使わせた=貸主は催告なしで解除できる(594条2項・3項)
  • 損害があれば415条で賠償請求

承諾なしに第三者に使わせたので、貸主は、催告なしで解除できます。損害が出ていれば、415条で賠償も請求できます。

確かめるその4。借主が、大雨で壊れた塀を修理した。借主が、日常の庭の手入れの費用を出した。それぞれ、誰が負担するか。 図:確かめるその4

  • 借主が、大雨で壊れた塀を修理した
  • 借主が、日常の庭の手入れの費用を出した
  • それぞれ、誰が負担するか

4つめ。借主が、大雨で壊れた塀を修理しました。また、借主が、日常の庭の手入れの費用を出しました。それぞれ、誰が負担するでしょうか?

答えその4。大雨で壊れた塀の修理=特別の必要費=196条で償還請求。日常の手入れ=通常の必要費=借主負担(595条1項)。 図:答えその4

  • 大雨で壊れた塀の修理=特別の必要費=196条で償還請求
  • 日常の手入れ=通常の必要費=借主負担(595条1項)

塀の修理は特別の必要費なので、196条で貸主に償還を請求できます。庭の手入れは通常の必要費なので、借主が負担します。

確かめるその5。借主が亡くなったとき。貸主が亡くなったとき。使用貸借はそれぞれ終わるか。 図:確かめるその5

  • 借主が亡くなったとき
  • 貸主が亡くなったとき
  • 使用貸借はそれぞれ終わるか

5つめ。借主が亡くなったとき、使用貸借は終わるでしょうか。貸主が亡くなったとき、使用貸借は終わるでしょうか?

答えその5。借主の死亡=終了(597条3項)。貸主の死亡=終了しない。 図:答えその5。借主の死亡=終了(597条3項)。貸主の死亡=終了しない。

借主が亡くなったときは、終わります。貸主が亡くなったときは、終わりません。

4つの柱のまとめと、冒頭の問い

今日のまとめ。1=使用貸借は諾成・片務・無償。金銭を払っていても使用の対価でなければ使用貸借。書面によらない使用貸借は受取前なら貸主が解除できる(593条の2)。2=貸主は特定した時の状態で引き渡し、使うのを妨げない。借主は用法を守り、通常の必要費を負担し、収去と原状回復をする。3=使用借権は債権で対抗力がない。4=期間・目的・解除・借主の死亡で終了。貸主の死亡では終わらない。 図:今日のまとめ

  • 1=使用貸借は諾成・片務・無償
  • 金銭を払っていても使用の対価でなければ使用貸借
  • 書面によらない使用貸借は受取前なら貸主が解除できる(593条の2)
  • 2=貸主は特定した時の状態で引き渡し、使うのを妨げない
  • 借主は用法を守り、通常の必要費を負担し、収去と原状回復をする
  • 3=使用借権は債権で対抗力がない
  • 4=期間・目的・解除・借主の死亡で終了
  • 貸主の死亡では終わらない

今日の話を整理します。1つめ、使用貸借は、諾成、片務、無償の契約です。お金を払っていても、使用の対価といえなければ、使用貸借です。書面によらない使用貸借は、借主が受け取るまで、貸主が解除できます。2つめ、貸主は、特定した時の状態で引き渡し、使うのを妨げません。修繕の義務はありません。借主は、用法を守り、無断で使わせず、通常の必要費を負担し、終わるときは収去と原状回復をします。3つめ、使用借権は債権で、対抗力がありません。4つめ、使用貸借は、期間の満了や目的の終了、解除、借主の死亡で終わります。貸主の死亡では、終わりません。

冒頭の答え合わせ。Bは、Cに使用借権を対抗できず、出ていかざるをえない。Aが亡くなっても使用貸借は終わらない。Bが亡くなれば終わる。 図:冒頭の答え合わせ

  • Bは、Cに使用借権を対抗できず、出ていかざるをえない
  • Aが亡くなっても使用貸借は終わらない
  • Bが亡くなれば終わる

冒頭の問いの答えです。BはCに、使用借権を対抗できません。出ていかざるをえません。使用借権は債権で、借地借家法の保護の枠にも入らないからです。Aが亡くなっても、使用貸借は終わりません。Bが亡くなれば、終わります。

参照条文

  • 民法593条
  • 民法593条の2
  • 民法596条
  • 民法594条
  • 民法595条
  • 民法599条
  • 民法600条
  • 民法597条
  • 民法598条

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