不法行為の差止と受忍限度・遅滞・相殺
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第6章 法定債権 #308/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
賠償金を払った工場は、騒音を続けてよいか
図:冒頭の設例 隣の工場が夜通し機械を動かし、Bは眠れない
- Bは工場の経営者Aから、すでに半年分の賠償金を受け取った
- それでも騒音は止まらない
- Aは「お金は払った。続けてよいだろう」と言う
- A=工場の経営者/B=被害者(隣人)
今日は、その2つから入ります。設例です。隣の工場が、夜通し機械を動かしています。隣に住むBは、眠れません。Bは、工場の経営者Aから、すでに半年分の賠償金を受け取りました。それでも騒音は止まりません。Aは言います。お金は払った。だから続けてよいだろう、と。先に答えを言います。賠償金を受け取っても、Aが騒音を続けてよいことにはなりません。ただし、やめさせられるのは、我慢の限度を超えるときです。今日の地図です。
図:今日の地図
- 賠償請求権の扱い4つ=①請求権を誰かが使えるか(譲渡・代位)②いつから遅れたことになるか(遅滞)③相殺されるか(509条)と損害賠償による代位④賠償のかわりに「やめろ」と言えるか(差止)
- 軸=請求の中身が重いほど、認める条件も厳しい
賠償が認められた後の、請求権の扱いを4つ見ます。1つめは、請求権を、被害者の債権者が使えるか。2つめは、遅延損害金がいつから付くか。そして3つめは、相殺で消せるか。4つめが、冒頭の問いです。賠償ではなく、やめろと求める差止めです。ここが今日の山場です。軸は1つです。請求の中身が重いほど、認める条件も厳しくなります。この線で、順に見ます。
慰謝料請求権は、代わりに使えるか

- 財産的損害の賠償請求権は単なる金銭債権=譲渡(466条)・債権者代位(423条)ができる
- 慰謝料請求権は被害者の人格的価値と結びつく=一身専属が問題になる
- 答えの線=具体的な金額が客観的に確定したか
まず、請求権を誰かが使えるか、です。物を壊された損害の賠償請求権は、ふつうの金銭債権です。債権譲渡の回で見たとおり売れますし、被害者の債権者が、代位して請求することもできます。問題は、慰謝料です。慰謝料請求権は、傷つけられた気持ちや名誉と結びつくので、一身専属が問題になります。ここでの一身専属は、行使上の一身専属です。行使するかどうかを、本人の意思だけで決めるべき権利のことです。相続されるかどうかを決める、帰属上の一身専属とは、別の物差しでした。この点は、債権者代位の回で、慰謝料の判決の言葉まで読みました。ここでは、2枚のカードで、線の引き方だけを確かめます。
図:慰謝料請求権の2段階
事案です。破産宣告を受けた元町長が、違法な起訴で名誉を傷つけられたとして、慰謝料を求めて訴えました。破産財団とは、破産した人の財産のうち、債権者への配当にあてるために、破産管財人が管理する財産のことです。原審は、慰謝料請求権は破産財団のものだから、元町長には訴える資格がない、としました。最高裁は、その前提として、慰謝料請求権の一身専属性を論じ、原審を破棄しました。1枚目です。金額が確定する前の判旨です。
判例最判昭58・10・6 民集37巻8号1041頁
金額が確定する前は、差押えも代位もできない 被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、右権利はなお一身専属性を有するものというべきであつて、被害者の債権者は、これを差押えの対象としたり、債権者代位の目的とすることはできないものというべきである。
読み方です。請求する意思を示しただけで、金額が客観的に確定していない間は、続けるかどうかを被害者本人の判断に委ねます。だから、債権者は差押えも代位もできません。債権者は、差し押さえることも、代わりに行使することもできません。金額が決まっていないので、まだ本人の判断に委ねる段階だからです。2枚目は、金額が確定したあとです。
判例最判昭58・10・6 民集37巻8号1041頁
金額が確定したあとは、差押えも代位もできる 加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、……このような場合、右慰藉料請求権は、原判決にいう被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、被害者の債権者においてこれを差し押えることができるし、また、債権者代位の目的とすることができるものというべきである。
読み方です。加害者が一定額を払う合意をしたか、支払を命じる判決のような債務名義ができて、金額が客観的に確定した。そうなれば、本人の主観から独立した金銭債権です。債務名義とは、支払を命じる確定判決など、強制執行の根拠になる書面のことです。差押えも、債権者代位も、できます。なぜ、確定すると変わるのか。金額が決まれば、残るのは、加害者に払わせることだけです。請求を続けるかどうかを、本人の気持ちに委ねる場面は、もう残っていません。譲渡という言葉は、判決にありません。ただ、金額が確定すれば通常の金銭債権として扱える、という整理が通説です。判決の言葉と、この整理は分けて覚えてください。線の両側を並べます。冒頭のBが、騒音の慰謝料を請求すると言い出しただけなら、Bにお金を貸している人は、まだ代位できません。一方、AがBに慰謝料を払う合意ができて、金額が決まったなら、貸主はそれを差し押さえられます。決め手は、金額が客観的に確定したかどうかです。
⭐ 論文で書く規範:【規範(判例)】慰謝料請求権は、具体的な金額が客観的に確定する前は一身専属性があり、債権者は差押え・債権者代位ができない。合意や債務名義で金額が確定したときは、差押え・債権者代位の対象になる。 (解釈で立てる規範(出どころ=判例)。条文は無い。決め手=確定すれば残るのは加害者の履行だけで、受領まで被害者の判断に委ねる理由がないから)
遅滞 不法行為の時から当然に
図:遅滞
- 原則=期限の定めのない債務は請求を受けた時から遅滞(412条3項)
- 不法行為の損害賠償債務=損害の発生と同時に、催告なしに遅滞(最判昭37・9・4)
- 遅延損害金の利率=遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率(419条)
2つめは、遅延損害金がいつから付くか、です。債務不履行の回で、詳しい遅延損害金の話は、不法行為の章で扱う、と言いました。今日が、その話です。復習を1問です。期限の定めがない債務は、ふつうはいつから遅滞でしたか?履行の請求を受けた時からです。412条3項でした。では、不法行為の賠償債務も、請求を受けた時からでしょうか。
図:国道の枕木の判決
- 原動機付自転車で夜の国道を走っていた人が、国道上に置かれた枕木に衝突して死亡
- 道路の管理の不備を理由に、遺族が県に賠償と事故の日以降の遅延損害金を求めた
- 争点=遅延損害金はいつから付くか
実際の事件です。原動機付自転車で、夜の国道を走っていた人が、道路上に置かれた枕木に衝突して、亡くなりました。遺族は、道路の管理の不備を理由に、県に賠償を求めました。あわせて、事故の日からの遅延損害金も求めました。争点は、遅延損害金が、いつから付くかです。最高裁は、事故の日からの遅延損害金を認めました。判決の言葉です。
判例最判昭37・9・4 民集16巻9号1834頁
国道の枕木の判決 右賠償債務は、損害の発生と同時に、なんらの催告を要することなく、遅滞に陥るものと解するのが相当である。
読み方です。損害が発生した、その時に、催告を待たずに遅滞になります。この事件は、道路の管理の不備による賠償ですが、判決の言葉は、不法行為に基づく損害賠償債務についてです。債務不履行の回では、不法行為の時から当然に遅滞、と言いました。多くの事故では、加害行為と損害の発生が同じ時なので、同じことです。判決の言葉どおりに言えば、損害の発生の時です。待つ理由が、無いのです。不法行為には、返す日の約束がありません。請求を待つなら、被害者が請求するまで、遅延損害金が付きません。それでは、被害を受けたほうが損をします。たとえば、冒頭のBが、Aに半年分の損害を請求したとします。請求した日からしか遅延損害金が付かないなら、請求が遅れるほど、Bの取り分が減ります。判例は、これを避けています。利率にも一言です。遅延損害金の利率は、遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率です。不法行為なら、遅滞の始まりは損害の発生の時です。その時点の法定利率で決まります。
⭐ 論文で書く規範:【規範(判例)】不法行為に基づく損害賠償債務は、損害の発生と同時に、催告を要することなく遅滞に陥る。 (解釈で立てる規範(出どころ=判例)。条文は無い。決め手=請求を待つと被害者が損をするから(被害者を厚く保護する))
相殺は加害者側からできるか、損害賠償による代位
図:509条の2類型
- 受働債権が①悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務/②人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(①を除く)=その債務者(加害者)は相殺できない
- 被害者の側からの相殺は妨げない
3つめは、相殺です。お互いに債務があるとき、差し引きで帳消しにすることでした。条文は、相殺禁止の回で見た509条です。
条文民法509条
民法第509条 次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。 一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務 二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)
呼び戻しです。禁じられるのは、2類型です。悪意による不法行為の賠償債務と、人の生命、身体の侵害による賠償債務です。ここでの悪意は、知っていた、という意味ではありません。積極的に害を与える意欲、つまり害意のことでした。この2つの債務者、つまり加害者は、相殺で消すことができません。被害者の側からする相殺は、妨げません。冒頭の設例で言えば、Bが騒音で眠れない日が続き、体を壊して通院したとします。この治療費の賠償債務は、身体の侵害によるものです。Aが、Bに別の貸金を持っていたとしても、Aの側から差し引くことはできません。趣旨は、相殺の回で見ました。加害者が差し引きで済ませると、被害者の手元に現金が入らないからです。次に、損害賠償による代位です。賠償者代位の回で見た、422条です。
条文民法422条
民法第422条 債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する。
この422条は、債務不履行の条文です。ただ、不法行為でも、同じ422条を類推適用して、損害賠償による代位が認められます。これが通説の整理です。物の価額の全部を賠償した加害者が、その物の権利を取得します。被害者が、二重に得をしないためです。この必要は、債務不履行でも不法行為でも変わりません。だから、同じ条文を使えるのです。たとえば、他人の自転車を勝手に持ち出して、どこかに乗り捨てた人が、自転車の価額の全部を賠償したとします。あとで自転車が見つかれば、その自転車は、賠償した人のものになります。持ち主が、賠償金と自転車の両方を得ることはありません。ここまでで、賠償請求権の扱いは3つ終わりました。残るのは、冒頭の問いです。
差止請求 賠償だけでは止まらない
図:原状回復と差止め
- 不法行為の効果=金銭賠償が原則(722条1項・417条)
- 原状回復(元に戻せ)は原則として求められない
- 例外=名誉毀損の723条(名誉を回復するのに適当な処分)
- 継続する騒音・公害=賠償だけでは不十分→差止め(やめろ)が要る
- 709条は賠償しか書いていない
4つめです。冒頭の問い、騒音をやめさせられるか、です。前に、差止めはあとの回で扱う、と言っていました。それが今日です。前に、効果の回で見ました。不法行為の効果は、金銭賠償が原則です。壊した物を作り直せ、とは、原則として求められません。代表的な例外が、名誉毀損の723条です。名誉を回復するのに適当な処分を命じられます。ところが、冒頭のように、加害行為が続く場合はどうでしょうか。騒音は、毎晩出ます。賠償をもらっても、また次の夜が来ます。賠償は、すでに生じた損害を埋めるものです。次の被害を止めるには、別の手段が要ります。それが差止め、つまり、やめさせることです。709条は賠償しか書いていません。差止めの根拠は、どこから出るのでしょうか。通説は、2つの根拠を挙げます。1つは、物権の章で見た、所有権などの物権に基づく請求権、物権的請求権です。所有権は、物を自由に使える権利です。だから、その使い方を邪魔する人には、やめろと言えます。もう1つは、人格権、つまり、体や生活の平穏といった、人格的な利益を守る権利です。これも、侵す人に、やめろと言えます。工場の騒音なら、Bが自宅に住み続ける権利と、健康に眠る利益が、侵されています。
侵害があれば、いつでも差止めできるのですか。違います。ここで、1問です。前回までに見た景観利益の回で、我慢すべき限度、つまり受忍限度の考慮要素は何でしたか?被侵害利益の種類や程度、侵害行為の態様、公共性や社会的有用性です。差止めも、受忍限度を超えるときに、認められます。
図:受忍限度
- 差止めは、侵害が受忍限度を超えるときに認められる
- 判断要素=被侵害利益の種類や程度・侵害行為の態様・侵害行為の公共性や社会的有用性など
- 比較衡量する
受忍限度とは、社会生活のうえで、我慢すべき限度のことです。社会で暮らす以上、多少の音や煙は、お互いさまです。だから、この限度を超えた侵害だけが、違法とされます。受忍限度は、被侵害利益の種類や程度、侵害行為の態様、公共性や社会的有用性などを、合わせて判断します。小さな音が少し続くだけなら、我慢の範囲です。一方、毎晩深夜に響いて眠れないなら、超えやすくなります。工場に公共性がどれほどあるかも、天秤に乗ります。さらに、差止めを認めるには、賠償より高度な違法性が必要だ、という見方があります。賠償は、すでに起きた損害を金銭で埋めるだけです。差止めは、相手の活動そのものを止めます。だから、より強い理由が要る、という考え方です。では、判決は何と言ったか。実際の事件で見ます。
図:国道の騒音の判決
- 幹線道路の沿道に住む住民が、自動車の騒音・排気ガスで睡眠妨害・会話や電話の妨害・家族の団らんの妨害などを受けているとして、道路の管理者(国など)に、騒音等の侵入の差止めと損害賠償を求めた
- 賠償は別判決で認容、差止めは棄却
幹線道路の沿道に住む住民が、自動車の騒音と排気ガスで、被害を受けていました。睡眠が妨げられ、会話や電話が妨げられ、家族の団らんも妨げられます。住民は、道路の管理者である国などに、騒音などの侵入の差止めと、損害賠償を求めました。同じ日に、2つの判決が出ています。賠償は、認められました。では、差止めも認められるでしょうか?実は、差止めは棄却されました。判決の言葉です。
判例最判平7・7・7 民集49巻7号2599頁
国道の騒音の判決 道路等の施設の周辺住民からその供用の差止めが求められた場合に差止請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにつき考慮すべき要素は、周辺住民から損害の賠償が求められた場合に賠償請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにつき考慮すべき要素とほぼ共通するのであるが、施設の供用の差止めと金銭による賠償という請求内容の相違に対応して、違法性の判断において各要素の重要性をどの程度のものとして考慮するかにはおのずから相違があるから、右両場合の違法性の有無の判断に差異が生じることがあっても不合理とはいえない。
分けて読みます。考慮する要素は、賠償でも差止めでも、ほぼ共通です。ただし、請求の中身が違います。差止めは、施設の供用、つまり道路を使わせることそのものを止めます。賠償は、金銭で埋めます。だから、各要素を、どれほど重く見るかが、おのずから違います。その結果、違法性の判断に差異が生じても、不合理とは言えない、というのです。重みが分かれたのは、道路の公共性です。賠償の判決は、この道路の公共性があるからといって、住民の被害が我慢の範囲内になるわけではない、と見ました。差止めの判決は、道路が沿道の住民や企業、地域間の交通や産業経済活動に対して、かけがえのない多大な便益を提供している、などの事情を考慮しました。そのうえで、差止めを認める違法性はない、としました。並べます。
図:賠償と差止の2列比較
- 被害=どちらも騒音・排気ガスによる生活妨害(同じ)
- 道路の公共性・便益=賠償では「公共性ないし公益上の必要性のゆえに、被上告人らが受けた被害が社会生活上受忍すべき範囲内のものであるということはできず」として賠償を認める/差止めでは「かけがえのない多大な便益」などを考慮して、差止めを認容すべき違法性はないとした
- 結論=賠償は認容、差止めは棄却
被害は同じです。騒音と排気ガスによる、生活の妨害です。賠償では、公共性があっても、被害が受忍の範囲内とは言えないとして、認めました。差止めでは、かけがえのない便益を重く見て、認めませんでした。道路を止めれば、沿道だけでなく、広い範囲の人と経済活動に影響が出ます。賠償は金銭で埋めるだけなので、そこまでは及びません。決め手は、請求の中身が違うので、各要素の重みが違う、という点です。
⭐ 論文で書く規範:【規範(判例)】差止めを認容すべき違法性を判断する要素は、賠償を認容すべき違法性を判断する要素とほぼ共通だが、請求内容の違いに応じて各要素の重要性が異なる。賠償は認められても、差止めは認められないことがある。 (解釈で立てる規範(出どころ=判例)。条文は無い。決め手=差止めは施設の供用そのものを止めるので、各要素の比重が賠償とおのずから違うから)
冒頭の設例に戻ります。工場の騒音で眠れないB。賠償を求められるか、差止めを求められるかは、どちらも受忍限度を超えるかで判断します。この判決が判断したのは、広い地域の交通と経済を支える国道です。工場の騒音の差止めまで、否定したのではありません。ただし、同じ事案でも、賠償は認められ、差止めは認められないことがあります。差止めの判断は、論文で論点になりうるところです。
まとめ 次回予告
図:まとめ
- ①慰謝料請求権=具体的な金額が客観的に確定すれば、差押え・代位の対象(確定前は一身専属)②遅滞=損害の発生と同時に、催告なしに③相殺=509条の2類型は加害者側から不可
- 損害賠償による代位は422条の類推④差止め=受忍限度
- 賠償と差止めで違法性の判断が異なりうる
冒頭の問いの答えです。賠償を受け取っても、騒音を続けてよいことにはなりません。受忍限度を超えるなら、Bは差止めを求められます。ただし、賠償と差止めでは、違法性の判断に差異が生じることがあります。賠償は認められても、差止めは認められないこともあります。まとめます。1つめ、慰謝料請求権は、具体的な金額が客観的に確定すれば、差押えと代位の対象になります。確定する前は、一身専属です。2つめ、不法行為の賠償債務は、損害の発生と同時に、催告なしに遅滞に陥ります。3つめ、509条の相殺禁止は2類型で、加害者側から相殺できません。不法行為でも、422条を類推して、損害賠償による代位が認められます。4つめ、差止めは、受忍限度を超えるかで判断します。ここまでは、加害者本人の不法行為を見てきました。
参照条文
- 民法509条
- 民法422条