民訴ゼロから民訴#66

判決の言渡しと電子判決書(250条〜257条)

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第3章 訴訟の終了 #66/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

効力が生まれるのは、言い渡した日か、届いた日か

冒頭事案の関係図(A=貸主・原告、B=借主・被告/貸金300万円の返還請求訴訟/判決の効力が生まれるのは、法廷で言い渡された日か、判決書が届いた日か) 図:冒頭事案の関係図

  • A=貸主・原告、B=借主・被告
  • 貸金300万円の返還請求訴訟
  • 判決の効力が生まれるのは、法廷で言い渡された日か、判決書が届いた日か

結論から言うと、効力が生まれるのは言い渡された日です。届いた日ではありません。ここに今日のテーマがあります。判決の効力が生まれる瞬間と、不服を言える期間が始まる瞬間は、実は別の日なんです。今日は、なぜそうなるのかを条文の順に見ていきます。前回は、判決の中身を裁判所がどこまで自由に決められるかという、判決の中身の上限を見ました。今日はその判決が、どんな形になって、いつ効力を持って、言い渡した裁判所自身がそれをどう扱えなくなるか、という判決の「その後」を見ていきます。今日は、貸主Aさんが借主Bさんに貸金300万円の返還を求めた事案で、最後まで考えていきます。

電子判決書の必要的記載事項——252条

電子判決書252条・前半3事項と機能の対比板(主文=結論そのもの・強制執行と既判力の対象/事実=何を争ったかの記録/理由=敗訴者が控訴するかを決める材料) 図:電子判決書252条・前半3事項と機能の対比板

  • 主文=結論そのもの・強制執行と既判力の対象
  • 事実=何を争ったかの記録
  • 理由=敗訴者が控訴するかを決める材料

まず、判決がどんな形になるかです。判決は、電子判決書という電磁的な記録として作られます。

条文民事訴訟法252条1項

民事訴訟法252条1項(電子判決書) 裁判所は、判決の言渡しをするときは、最高裁判所規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記録した電磁的記録(以下「電子判決書」という。)を作成しなければならない。 一 主文 二 事実 三 理由 四 口頭弁論の終結の日 五 当事者及び法定代理人 六 裁判所

条文民事訴訟法252条2項

民事訴訟法252条2項(電子判決書・事実の記載の程度) 2 前項の規定による事実の記録においては、請求を明らかにし、かつ、主文が正当であることを示すのに必要な主張を摘示しなければならない。

6つの記載事項は、丸暗記するものではありません。ここが今日の最初のポイントです。6つはバラバラの決まりではなく、それぞれ判決がこの先どう使われるかに対応しています。Aさんの事案で見てみましょう。主文は、「被告Bは原告Aに対し金300万円を支払え」という、判決そのものの結論です。これは、この先強制執行の対象になったり、既判力の対象になったりする部分なので、絶対に外せません。事実は、AさんとBさんの間で消費貸借があったという請求の中身の要約です。理由は、例えばBさんが「もう返した」と主張した弁済の抗弁を、裁判所がなぜ認めなかったのかという判断の過程です。

理由は、敗訴した当事者が控訴するかどうかを決める材料になります。理由を読んで、判断の筋道に納得できなければ控訴しますし、筋道が通っていれば控訴を諦めることもあります。

電子判決書252条・後半3事項と機能の対比板(口頭弁論の終結の日=既判力の基準時の目印/当事者及び法定代理人=誰と誰の間の判断かの記録/裁判所=どの裁判所の判断かの記録) 図:電子判決書252条・後半3事項と機能の対比板

  • 口頭弁論の終結の日=既判力の基準時の目印
  • 当事者及び法定代理人=誰と誰の間の判断かの記録
  • 裁判所=どの裁判所の判断かの記録

口頭弁論の終結の日は、審理を締めくくった日のことです。これは、後の回で扱う既判力の基準時の目印になります。今日は、あとで効いてくる大事な日付だ、ということだけ覚えておいてください。最後に、当事者及び法定代理人と裁判所は、誰と誰の間の、どの裁判所の判断かという同一性を記録する事項です。これが無いと、同じ内容の判決が別の事件のものと区別できなくなってしまいます。

主文の一覧——訴訟費用と仮執行宣言

主文の一覧板・前半(全部認容=300万円全部/一部認容=200万円のみ、その余を棄却/全部棄却=原告の請求を棄却する) 図:主文の一覧板・前半

  • 全部認容=300万円全部/一部認容=200万円のみ
  • その余を棄却/全部棄却=原告の請求を棄却する

Aさんの事案で、主文がどう変わりうるかを一度並べておきます。全部Aさんの言い分が通れば、「Bは300万円を支払え」という全部認容。一部だけ認められれば、「Bは200万円を支払え、その余の請求を棄却する」という一部認容です。前回の物差しをそのまま使っています。そもそも主文は、Aさんの請求の趣旨、つまり「300万円を支払え」という求めに対する、裁判所の返事です。だから返事の形は大きく3つに分かれます。認めるなら認容。中身を審理して、例えばBさんの「もう返した」が認められれば「原告の請求を棄却する」。訴訟要件を欠いていて中身の判断に入らなければ「訴えを却下する」という訴訟判決です。

主文の一覧板・後半(訴え却下=訴訟要件を欠く/訴訟費用の負担=原則敗訴者(61条)・判決で職権で必ず決める(67条1項)/仮執行宣言=財産権上の請求に関する判決に執行力を与える・259条) 図:主文の一覧板・後半

  • 訴え却下=訴訟要件を欠く
  • 訴訟費用の負担=原則敗訴者(61条)・判決で職権で必ず決める(67条1項)
  • 仮執行宣言=財産権上の請求に関する判決に執行力を与える・259条

この終局判決には、付随する裁判が2つ付きます。1つは訴訟費用の負担です。誰が負担するかの原則は、以前見た民事訴訟法61条、敗訴した当事者の負担でした。その負担を判決の中でいつ誰が決めるかを定めるのが67条1項で、裁判所は申立てを待たず、職権で、その審級、つまり第一審なら第一審の手続でかかった訴訟費用の全部について、負担を決めなければなりません。全部認容ならBの全部負担です。一部認容のときは、民事訴訟法64条により、それぞれがどれだけ負担するかを裁判所が裁量で決めます。例えば勝ち負けの割合に合わせるなら、Aさんが300万円のうち200万円だけ認められた場合、300のうち200はBの負担、300のうち100はAさんの負担、という具合です。ただし、負担の割合を実際の金額に直す作業は、判決そのものではしません。民事訴訟法71条1項により、負担の裁判が確定するなどして、強制執行できる状態になったあとに、当事者の申立てを受けて第一審裁判所の裁判所書記官が額を定めます。訴訟費用の負担者は判決で決め、負担額は書記官が別途計算する、という役割分担です。もう1つは仮執行宣言です。財産権上の請求に関する判決について、まだ判決が確定していない段階でも、申立てまたは職権によって、強制執行できる力を判決に持たせることができます。

趣旨は、Bさんが控訴して時間を稼ぎながら、その間に財産を隠したり使い切ったりするのを防ぐことにあります。控訴があると、判決は確定しません。そして、確定していない判決では、原則として強制執行ができません。仮執行宣言が無ければ、Bさんは控訴中ずっと支払いを免れてしまいます。だから、確定を待たずに執行できる力を、判決の主文に書き込んでおくんです。民事訴訟法259条4項により、仮執行の宣言は判決の主文に掲げなければならない、と定められています。この執行力が実際にどう働くかという中身は、また別の回で扱います。

言渡し・送達・控訴期間——起点は2つある

言渡し・送達・控訴期間の3段階の板(言渡し=法廷で言い渡した日・ここで効力が生まれる・250条/送達=電子判決書を当事者に届ける・255条/控訴期間=送達を受けた日から2週間・285条) 図:言渡し・送達・控訴期間の3段階の板

  • 言渡し=法廷で言い渡した日・ここで効力が生まれる・250条
  • 送達=電子判決書を当事者に届ける・255条
  • 控訴期間=送達を受けた日から2週間・285条

ここからが、今日の2つめの軸です。判決は、いつ、どうやって効力を持つのでしょうか。

条文民事訴訟法250条

民事訴訟法250条(判決の発効) 判決は、言渡しによってその効力を生ずる。

条文はこれだけです。言渡しによって、判決の効力は生まれます。届け出も、送達も要りません。控訴できる期間は、言渡しの日から数えるんでしょうか。それとも判決書が届いた日から数えるんでしょうか。ここが今日いちばんのポイントです。答えは、届いた日、つまり送達を受けた日から数えます。効力が生まれる起点と、不服を言える期間が始まる起点は、別の日なんです。なぜズレるかというと、言渡しと送達は、そもそも役割が違う行為だからです。言渡しは、判決という結論をこの世に生み出す行為です。当事者がその場にいてもいなくても、効力自体は生まれます。一方、送達は、生まれた判決の中身を、当事者に確実に届ける行為です。控訴するかどうかを判断するには、まず判決の理由をきちんと読めなければなりません。だから、判断の機会を保障する期間は、当事者が実際に中身を読める状態になってから数え始めるんです。

もう少し条文を見ていきます。言渡しの時期にはルールがあります。

条文民事訴訟法251条

民事訴訟法251条(言渡期日) 判決の言渡しは、口頭弁論の終結の日から二月以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるときその他特別の事情があるときは、この限りでない。 2 判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合においても、することができる。

原則は2か月以内です。複雑な事件などは例外がありますが、原則として審理を締めくくってから長く待たせない、という建前になっています。2か月を過ぎてしまったら、判決は無効になるんですか。違います。この2か月は、いわば裁判所への「なるべく早く」という訓示的な期限にすぎません。過ぎても判決自体が無効になったり、当事者側で何か主張できるようになったりはしません。あとで見る控訴期間のような、守らなければ権利を失う不変期間とは性質が違います。そして2項が示すとおり、当事者が法廷にいなくても言い渡すことができます。

言渡しの方式そのものも見ておきましょう。

条文民事訴訟法253条

民事訴訟法253条(言渡しの方式) 判決の言渡しは、前条第一項の規定により作成された電子判決書に基づいてする。 2 裁判所は、前項の規定により判決の言渡しをした場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、言渡しに係る電子判決書をファイルに記録しなければならない。

言渡しは、さきほど見た電子判決書に基づいて行い、言い渡した後に、その電子判決書をファイルへ記録します。最後に、Aさんの事案に日付を入れて、2つの起点を並べます。まず、10月1日に口頭弁論が終結し、11月15日に判決が言い渡されました。終結から2か月以内なので、251条の原則どおりです。その日、Bさんは法廷に来ていませんでした。それでも、判決の効力は11月15日に生まれています。ところが、Bさんに電子判決書が送達されたのは11月22日だったとします。控訴できる期間は、言い渡された15日からではなく、送達を受けた22日から数えて、2週間です。

効力が生まれるのは言い渡した日、不服を言える期間が始まるのは届いた日。この2つが別の日になりうる、というのが今日の答えです。

例外——調書判決は認容のときだけ

254条・調書判決の2要件の板(使える場面=①被告が争わず何ら防御もしない場合②公示送達で呼び出されたのに出頭しない場合/使えない場面=原告の請求を棄却するときは使えない・認容のときだけの方式) 図:254条・調書判決の2要件の板

  • 使える場面=①被告が争わず何ら防御もしない場合②公示送達で呼び出されたのに出頭しない場合
  • 使えない場面=原告の請求を棄却するときは使えない・認容のときだけの方式

ただし、被告が争っていないなど、裁判所の判断が実質的に分かれない事件では、電子判決書を作らずに済ませられる特則があります。

条文民事訴訟法254条

民事訴訟法254条(言渡しの方式の特則) 次に掲げる場合において、原告の請求を認容するときは、判決の言渡しは、前条の規定にかかわらず、電子判決書に基づかないですることができる。 一 被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合 二 被告が公示送達による呼出しを受けたにもかかわらず口頭弁論の期日に出頭しない場合(被告の提出した準備書面が口頭弁論において陳述されたものとみなされた場合を除く。) 2 裁判所は、前項の規定により判決の言渡しをしたときは、電子判決書の作成に代えて、裁判所書記官に、当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨を、判決の言渡しをした口頭弁論期日の電子調書に記録させなければならない。

被告が何も反論しないこの場面が、1号の典型です。この場合、電子判決書をわざわざ作らず、書記官が電子調書に、当事者、主文、請求、理由の要旨を記録すれば足ります。争いが実質的に無いのに、通常の記載事項を全部揃えさせるのは手間だけがかかるからです。ただし、ここには境界があります。この方式が使えるのは、原告の請求を認容するときだけです。もしBさんの言い分を一部でも認めて請求を棄却するなら、この簡略な方式は使えません。棄却するということは、原告の主張どおりではない何らかの判断が働いたということです。その判断の筋道を、通常どおり事実と理由に記載して残しておく必要があるからです。争いが無いから簡略にできるのであって、判断が分かれるところでは簡略にはできません。この電子判決書、または今の調書判決でできた電子調書は、当事者に届けられます。

条文民事訴訟法255条

民事訴訟法255条(電子判決書等の送達) 電子判決書(第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る。次項、第二百八十五条、第三百五十五条第二項、第三百五十七条、第三百七十八条第一項及び第三百八十一条の七第一項において同じ。)又は前条第二項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨が記録された電子調書(第百六十条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る。次項、第二百六十一条第五項、第二百八十五条、第三百五十七条及び第三百七十八条第一項において同じ。)は、当事者に送達しなければならない。

これが、さきほどの送達です。中身を確実に知らせて、控訴するかどうかを判断する機会を保障する、という趣旨です。そして、控訴や上告の期間は、この送達を受けた日から数えます。中身は別の回で扱いますが、起算点だけ今日のうちに押さえておいてください。

自己拘束力とその例外2つ

自己拘束力の原則板(言渡しで判決は独立に動き出す/言い渡した裁判所自身もその判決に縛られる=自己拘束力/原則=自分の判断で取り消したり書き換えたりできない/例外は2つだけ=更正決定・257条と変更の判決・256条) 図:自己拘束力の原則板

  • 言渡しで判決は独立に動き出す
  • 言い渡した裁判所自身もその判決に縛られる=自己拘束力
  • 原則=自分の判断で取り消したり書き換えたりできない
  • 例外は2つだけ=更正決定・257条と変更の判決・256条

この先、言い渡した判決の書き間違いを裁判所自身が直す「更正決定」という仕組みが出てきます。前々回、判決の種類を見た回で、「判決・決定・命令」という3つの裁判の形式を扱いました。更正決定は、このうちどの形式で行うと思いますか?ここが今日いちばん間違えやすいところなので、その理由から見ていきましょう。判決が言渡しによって生まれると、言い渡した裁判所自身も、その判決に縛られます。自分で言い渡した判決を、自分の気分で自由に取り消したり書き換えたりすることはできません。これを自己拘束力と呼びます。直せてしまったら、判決という重い結論がいつまでも揺らぐことになり、当事者は安心して控訴の準備もできません。だから、原則として裁判所自身の手からも離れる必要があるんです。ただし、例外が2つだけあります。1つは、更正決定です。

更正決定257条の板(対象=計算違い・誤記その他明白な誤り/期間=いつでも/形式=決定・申立てまたは職権/不服申立て=即時抗告・適法な控訴があるときを除く) 図:更正決定257条の板

  • 対象=計算違い・誤記その他明白な誤り
  • 期間=いつでも
  • 形式=決定・申立てまたは職権
  • 不服申立て=即時抗告・適法な控訴があるときを除く

条文民事訴訟法257条

民事訴訟法257条(更正決定) 判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 前項の更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。ただし、判決に対し適法な控訴があったときは、この限りでない。

Aさんの事案で言えば、主文には「300万円」と書くべきだったのに、誤って「330万円」と記録されていた、というような場合です。これは誰が見てもわかる誤りなので、いつでも、決定という軽い形式で直せます。以前見たとおり、決定は判決よりも簡易な手続でよい裁判形式です。判決の判断の中身そのものを変えるわけではなく、表現の誤りを正すだけだからです。だから、判決を直すのに判決を使う必要がなく、決定で足りるんです。この更正決定に不服があれば、即時抗告という形で争えます。ただし、その判決自体にすでに適法な控訴がされているときは、控訴の中でまとめて争えばよいので、即時抗告はできません。もう1つの例外は、変更の判決です。

変更の判決256条の板(対象=判決の法令違反・判断内容そのもの/期間=言渡し後1週間以内・確定後や更に弁論が要る場合は不可/形式=判決・口頭弁論を経ないでする/不服申立て=控訴で争う) 図:変更の判決256条の板

  • 対象=判決の法令違反・判断内容そのもの
  • 期間=言渡し後1週間以内・確定後や更に弁論が要る場合は不可
  • 形式=判決・口頭弁論を経ないでする
  • 不服申立て=控訴で争う

条文民事訴訟法256条

民事訴訟法256条(変更の判決) 裁判所は、判決に法令の違反があることを発見したときは、その言渡し後一週間以内に限り、変更の判決をすることができる。ただし、判決が確定したとき、又は判決を変更するため事件につき更に弁論をする必要があるときは、この限りでない。 2 変更の判決は、口頭弁論を経ないでする。

更正決定と変更の判決の対比板(対象=更正決定は明白な誤り・変更の判決は判断内容の法令違反/期間=更正決定はいつでも・変更の判決は言渡し後1週間以内/形式=更正決定は決定・変更の判決は判決/不服申立て=更正決定は即時抗告・変更の判決は控訴) 図:更正決定と変更の判決の対比板

  • 対象=更正決定は明白な誤り・変更の判決は判断内容の法令違反
  • 期間=更正決定はいつでも・変更の判決は言渡し後1週間以内
  • 形式=更正決定は決定・変更の判決は判決
  • 不服申立て=更正決定は即時抗告・変更の判決は控訴

更正決定が直すのは、誰が見てもわかる誤記です。変更の判決が直すのは、判断の中身そのものにある法令違反です。例えば、裁判所が消滅時効の判断そのものを誤っていた、というような場合です。そもそも、なぜこんな例外があるのか。裁判所自身が誤りに気づいているのに、それを直すためだけに当事者に控訴させ、上の裁判所まで動かすのは、当事者にも上級審にも無駄な負担だからです。だから、すでにある記録を見直せば直せる範囲に限って、口頭弁論を開かずに、判決の形で直せるようにしています。判断の中身を書き換えるわけですから、更正決定より重い場面です。だから、形式も判決のままで、期間も言渡し後1週間以内という短い期間に限られます。しかも、判決がすでに確定していたり、直すために改めて弁論をする必要があるほど大きな誤りだったりすれば、この方法では直せません。

誰にでもわかる間違いは、いつでも軽い形式で直せる。判断そのものの誤りは、短い期間に限って、判決という重い形式のまま直す。この差の理由が分かれば、更正決定と変更の判決を逆に覚えることは無くなります。

今日の地図(保存版)

今日の地図の板(判決は言渡しによって独立に動き出す/①中身が固定される=電子判決書の必要的記載事項・252条/②関係者に知らせる=言渡し・250条と送達・255条は別の行為/③言い渡した裁判所自身も縛られる=自己拘束力・例外は更正決定・257条と変更の判決・256条だけ) 図:今日の地図の板

  • 判決は言渡しによって独立に動き出す
  • ①中身が固定される=電子判決書の必要的記載事項・252条
  • ②関係者に知らせる=言渡し・250条と送達・255条は別の行為
  • ③言い渡した裁判所自身も縛られる=自己拘束力・例外は更正決定・257条と変更の判決・256条だけ

今日の3つの軸を、もう一度つなげておきます。判決は、言い渡された瞬間に、独立に動き出す存在になります。だから、中身を電子判決書として固定する必要があり、その中身を送達によって関係者に確実に知らせる必要があり、言い渡した裁判所自身も、更正決定と変更の判決という2つの例外を除いて、勝手にそれを扱えなくなります。冒頭の問いに戻りましょう。貸金300万円の判決の効力が生まれるのは、法廷で言い渡された日です。控訴できる期間は、判決書が届いた日、つまり送達を受けた日から数えます。同じ判決の中に、起点が2つあるように見えて、実は言渡しと送達という別々の行為に、それぞれ別の役割が割り当てられているだけなんです。

言渡しによって効力が生まれ、上訴できなくなって判決が確定したとき、初めて既判力や執行力といった、判決の本番の効力が問題になります。その確定と3つの効力の中身は、次のテーマになります。

参照条文

  • 民事訴訟法252条1項
  • 民事訴訟法252条2項
  • 民事訴訟法250条
  • 民事訴訟法251条
  • 民事訴訟法253条
  • 民事訴訟法254条
  • 民事訴訟法255条
  • 民事訴訟法257条
  • 民事訴訟法256条

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