既判力の主観的範囲(115条・口頭弁論終結後の承継人)
印刷のコツ
プリンターでは次の設定がおすすめです。
- 用紙:A4 / 向き:縦
- 拡大縮小:「実際のサイズ」(フィット縮小しない)
- 両面印刷:オン、とじ方は「長辺をとじる」(左綴じ)
- モノクロ印刷OK(強調は色でなく太字なので白黒でも読めます)
第3章 訴訟の終了 #71/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
判決の翌日、建物を売られたら
図:冒頭事案の関係図
- A=土地所有者・原告
- B=無権原で建物を建てて占有・被告
- 建物収去土地明渡し請求でAが勝訴し確定
- 確定した翌日、Bが建物をCに売却
- Cに既判力は及ぶか
ところがここで一つ事件が起きます。判決が確定した翌日、Bさんはその建物をCさんに売ってしまいました。それはずるくないですか。Aさんはせっかく勝ったのに、また一からCさんを訴え直さないといけないんですか。そこが今日の主題です。前回まで、既判力とは何か、いつの時点の判断が固定されるか、判決のどの部分に生じるかを見てきました。今日は、その既判力が「誰に」及ぶのかを確定させます。答えを先に言うと、Cさんは、Bさんが負けたその判断を、もう争えません。なぜそう言えるのかを、条文に沿って見ていきます。
相対効の原則(115条1項1号)
図:相対効の原則の板
- 115条1項1号=既判力は原則として当事者だけに及ぶ
- なぜ=主張し立証する機会を保障されたのは当事者だけ・だから勝敗の結果を引き受けるのも当事者
- 隣人が「その土地は自分のものだ」と別に訴えることは妨げられない
- 2号〜4号=本人と同じだけの手続保障を受けたとみなしてよい理由がある場合の拡張
条文民事訴訟法115条
民事訴訟法第115条(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲) 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。 一 当事者 二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人 三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人 四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者 2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。
1項1号がまず原則です。既判力が及ぶのは、当事者だけです。なお2項は、確定前の判決でも執行できるようにする仮執行の宣言について、効力が及ぶ人の範囲を1項と同じにする規定です。原則として、前の訴訟の外にいた人には及びません。既判力は、対等に主張し立証する機会を保障された者だけを縛ります。手続を保障されていたからこそ、勝っても負けてもその結果を引き受けろと言えるわけです。Aさんの土地の事案でも、Aさんの隣に住む人が、実はあの土地は自分のものだと思っていたとします。この隣人は前の訴訟にまったく関与していないので、AさんとBさんの間の確定判決に縛られず、自分で別に所有権を争う訴えを起こすことができます。
ここから見ていく2号・3号・4号は、いずれも「本人と同じだけの手続保障を受けたとみなしてよい理由があるか」を確認する作業になります。
訴訟担当の被担当者(115条1項2号)
図:訴訟担当の構図の板
- 被担当者=本人・訴訟には出てこない
- 訴訟担当者=自分の名前で当事者になる
- 判決効は担当者(1号)だけでなく被担当者(2号)にも及ぶ
- 法定=破産管財人・遺言執行者
- 任意=選定当事者
判決の当事者になるのは、たしかに訴訟担当者自身です。ただ、それだけでは終わらないのです。115条1項2号が答えを補います。他人のために当事者となった者、つまり訴訟担当者が受けた判決の効力は、その他人、つまり本来の権利者にも及びます。法定訴訟担当の例で確認します。破産管財人は、破産法78条・80条により破産財団、つまり破産者の財産の管理処分権を持って訴訟を追行するので、その結果は破産者本人にも及びます。遺言執行者も、以前見たとおり、相続財産の管理処分権を持ち、判例・多数説によれば法定訴訟担当です。遺言執行者が受けた訴訟の結果は、相続人本人にも及びます。任意的訴訟担当の選定当事者も同様で、選定当事者が受けた判決の効力は、選んだ本人である選定者に及びます。
図:難問の構図の板
- 債権者代位訴訟=債権者が原告・第三債務者が被告
- 債務者本人は訴訟に出てこないのに判決効を受けてよいか
- 学説の多数=債権者が債務者に訴訟告知(53条)をして参加の機会を与えたことを要件とする
ここで一つ、難しい場面を確認します。債権者代位訴訟です。以前、これを法定訴訟担当と言い切ってよいか議論が続いている、と触れました。既判力の場面でも同じ緊張関係が表れます。法定訴訟担当なら法律上の権限付与、任意的訴訟担当なら本人の授権があるからこそ、判決効を本人に広げてよいと説明できます。ところが債権者代位訴訟では、債権者と債務者の利害はむしろ対立していて、債務者本人のために訴訟をしているという実質が薄くなります。たとえば、お金を貸した債権者が、返してもらえないので、債務者が別の人に持っている売掛金を代わりに取り立てようと訴えたとします。債権者の関心は自分の貸金の回収だけです。その訴訟で主張や証拠を十分に出さずに負けたとき、判決の効力がそのまま債務者に及ぶとすると、債務者は一度も自分で争わないまま、自分の売掛金を失うことになります。
⭐ 論文で書く規範:学説の多数:債権者代位訴訟の既判力拡張の要件 債権者が提起した代位訴訟の判決の既判力を債務者に及ぼすためには、債権者が債務者に訴訟告知(53条)をして、参加の機会を与えていたことを要する。 (学説の多数)
そこで学説の多数は、訴訟告知によって参加の機会を与えていたことを、既判力拡張の要件とします。参加しようと思えばできた、という手続保障があって初めて、判決効を本人に及ぼしてよいという理屈です。
条文民法423条の6
民法第423条の6(被代位権利の行使に係る訴えを提起した場合の訴訟告知) 債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない。
平成29年の民法改正で、この訴訟告知が債権者の義務として明文化されました。学説が既判力拡張の要件として求めていた手続保障を、条文の側があとから追いかけて手当てした形です。
口頭弁論終結後の承継人(115条1項3号)
図:承継人の構図の板
- 冒頭事案=Aの勝訴確定
- 基準時後にBが建物をCに譲渡
- Cは口頭弁論終結後の承継人として既判力を受ける
- 境目は判決の確定日ではなく事実審の口頭弁論終結時
ここで一つ思い出してください。既判力の基準時は、いつの時点でしたか?事実審の口頭弁論終結時です。基準時より前に主張できた事情は、実際に主張したかどうかを問わず、後から持ち出せなくなります。この基準時が、今日の3号でもそのまま起点になります。冒頭の事案に戻ります。Bさんが建物をCさんに売ったのは、判決が確定した翌日でした。ここで注意してほしいのは、境目は確定日ではないということです。3号が言う「口頭弁論終結後」とは、事実審の口頭弁論終結時、つまり基準時よりあと、という意味です。確定はその後にやってくる出来事なので、確定の前でも後でも、基準時さえ過ぎていれば3号の対象になります。今回のCさんは、基準時より後に建物を譲り受けているので、口頭弁論終結後の承継人にあたります。
Bさんが基準時より前に建物を売っていたら、既判力はCさんに及ぶんですか。及びません。基準時より前の承継は3号の話ではなく、訴訟承継という別の制度で処理されます。基準時前ならBさんからCさんへ当事者の地位そのものが引き継がれる手続があり、Cさんは自分で手続保障を受けたうえで判決を受けます。3号が問題にするのは、あくまで基準時より後の承継です。
図:一般承継と特定承継の比較板
- 一般承継=相続・合併など前主の地位を包括的に承継
- 例=基準時後にBが死亡し相続人が承継
- 特定承継=訴訟物やそこから派生する権利義務を個別に承継
- 例=基準時後にBが建物をCに譲渡
- どちらも既判力の扱いは同じ
承継には2種類あります。一般承継は、相続や会社合併のように、前の人の地位をまとめて引き継ぐ場合です。基準時後にBさんが亡くなって相続人が地位を引き継いだ場合がこれにあたります。特定承継は、今回のBさんからCさんへの建物の譲渡のように、訴訟物やそこから派生する権利義務を個別に引き継ぐ場合です。どちらも、既判力の扱いは同じです。
⭐ 論文で書く規範:訴訟承継の判例に倣う定式:承継人の意味 115条1項3号の承継人とは、前主から紛争の主体たる地位を基準時後に承継した者をいう。 (訴訟承継の判例に倣う定式)
そこで手がかりになるのが、承継人とは何を承継した者かという定義です。訴訟物である権利関係そのものに関わる地位、いわば紛争の主体たる地位を、基準時後に承継した者を承継人と呼びます。前訴で最も強く争う利害を持っていたのは前主です。承継人は、その前主から紛争の主体たる地位をそのまま引き継いでいるので、前主が受けた手続保障の効果も、地位ごと引き継ぐと考えるわけです。Cさんは、Bさんが土地を占有する権原を持たないという前提のもとで建物を手に入れているので、Bさんと同じ立場で明渡しの判断に従うことになります。
固有の防御方法と実質説・形式説
図:94条2項設例の関係図
- A=土地所有者
- B=Aと通謀して虚偽の売買契約を結び移転登記を得た者
- Aが虚偽表示による登記抹消を求めて勝訴確定
- 基準時後にBが土地をDに売却し移転登記
- Dは承継人として既判力を受けるが、民94条2項の善意の第三者だという固有の言い分を別に持つ
承継人には、もう一段深い論点があります。別の設例で考えます。土地の所有者Aさんが、Bさんと通じて虚偽の売買契約を結び、Bさんに移転登記をしてしまったとします。Aさんが、この虚偽表示は無効だとして登記の抹消を求め、勝訴が確定したとします。ところがAさんが登記を抹消しないでいるうちに、基準時の後、Bさんが土地をDさんに売って移転登記をしてしまいました。Dさんは、基準時の後にBさんから土地を譲り受けているので、承継人にあたります。ですから、BさんのAさんに対する登記抹消義務そのものを、Dさんが正面から否定することはできません。ただし、Dさんには、それとは別に、自分はAさんとBさんの売買が見せかけだったことを知らずに譲り受けたのだから、民法94条2項で守られるはずだ、という言い分があります。
条文民法94条
民法第94条(虚偽表示) 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。 2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
その言い分は、既判力によって封じられてしまうんですか。そこが今日の山場です。この善意の第三者だという言い分は、Dさんが承継人として引き継いだBさんの立場とは別の、Dさん固有の実体法上の言い分です。これを固有の防御方法と呼びます。答えは、封じられません。前の判決には、この固有の言い分まで締め出す力はないのです。
図:なぜDさんの言い分は封じられないかの板
- 既判力が及ぶ範囲=前訴で手続保障を受けた範囲・紛争の主体たる地位についての判断だけ
- Dさんの善意性=Bさんが前訴で争っていた事柄ではない・Dさん固有の実体関係
- この部分についてDさんはまだ手続保障を受けていない
- 結論=既判力では遮断されない・固有の防御方法は封じられない
なぜ封じられないのか。既判力が及ぶのは、前訴で手続保障を受けた範囲、つまり紛争の主体たる地位についての判断だけです。Dさんが善意だったかどうかは、Bさんが前訴で争っていた事柄ではなく、Dさん自身に固有の実体関係です。この部分について、Dさんはまだ一度も手続保障を受けていません。だから既判力で遮断されないのです。
図:実質説と形式説の対比板
- 学説=実質説=固有の防御方法を持つ者はそもそも承継人にあたらないとする
- 通説=形式説=承継人には入れたうえで固有の防御方法は別に出せるとする
- 結論は同じでも実質説では後訴で何が遮断されるか不明確になる
善意の第三者だという言い分を出せる点では、どの立場も一致しています。ただ、その理由づけには2つの立場があります。学説は、固有の防御方法を持つ者は、そもそも承継人にあたらないと説明します。これを実質説と呼びます。これに対して通説は、Dさんは形式的には承継人にあたるとしたうえで、固有の防御方法の提出だけは別に認める、と説明します。これを形式説と呼びます。この違いは、ただの言い方の差ではありません。実質説では、固有の言い分を持つDさんは、そもそも承継人ではない、つまり既判力を受けない人になります。そうすると、BさんがAさんに登記を抹消する義務を負うという、前訴で既判力が生じた判断そのものまで、Dさんとの関係では自由に争えることになりかねません。後訴で何が遮断されて何が争えるのか、輪郭がぼやけます。形式説なら、Dさんはいったん承継人として既判力に服するので、抹消義務の判断はもう争えず、争えるのは自分が善意だったかという固有の防御方法の部分だけです。既判力がどこまで作用しているかがはっきりする、この差が理由で、形式説が通説とされています。
⭐ 論文で書く規範:通説(形式説):固有の防御方法と承継人の関係 口頭弁論終結後の承継人(115条1項3号)は、前主から紛争の主体たる地位を承継した者をいい、固有の防御方法を有する者もここにいう承継人にあたる。もっとも、既判力の作用として、承継人は前訴で確定した権利関係そのものを争うことはできないが、承継人が相手方との間で有する固有の防御方法の提出は、既判力によって妨げられない。 (通説(形式説))
この規範は、そのまま論文の答案でも使う型なので、言い回しごと押さえておいてください。
図:執行力の判例の位置づけの板
- ある判例=口頭弁論終結後に善意で不動産を取得した第三者に承継執行文を付けて執行することは許されないと述べた事件
- 最判昭和48年6月21日民集27巻6号712頁・百選87
- 実質説の根拠のように引かれることがあるが、答えたのは執行力の問題
- 既判力の場面とは別
一つだけ、注意しておきたい判例があります。口頭弁論終結後に善意で不動産を取得した第三者に対して、そのまま強制執行をすることは許されない、と述べた判例があり、実質説の根拠として引かれることがあります。ですが、この判例が答えているのは、既判力の範囲ではなく、承継執行文をもとに強制執行できるかという執行力の問題です。既判力の場面とは別の話として区別しておいてください。
請求の目的物の所持者(115条1項4号)
図:所持者の対比板
- 4号=当事者・被担当者・承継人のために請求の目的物を所持する者
- 管理人・同居人=固有の利益なくもっぱらBのために所持=所持者にあたる
- 賃借人・質権者=自己の利益のために占有=所持者にあたらない
最後にもう一号あります。4号は、当事者・被担当者・承継人のために、請求の目的物を所持している者にも既判力を及ぼします。請求の目的物とは、特定の物を引き渡せ、明け渡せという請求で、その対象になっている物のことです。今回の建物の事案で言うと、Bさんの家族や管理人がこの建物に住んでいる場合です。家族や管理人も、Aさんの判決に縛られてしまうんですか。縛られます。この人たちは、自分の利益のために建物を持っているわけではなく、もっぱらBさんのために所持しているだけだからです。物差しは、固有の利益を持たず、もっぱら当事者のために所持しているかどうかです。これに対して、Bさんから建物を借りている賃借人はどうでしょうか。
賃借人は、家族や管理人とは扱いが違います。賃料を払って自分自身のために使用する利益を持って占有しています。質権者も同じで、自分の担保権のために占有しています。どちらも固有の利益のために占有しているので、4号の所持者にはあたりません。ここは試験でよく狙われる対比なので、固有の利益の有無という物差しで判断してください。なお、所持者には既判力だけでなく執行力も及びます。民事執行法23条3項にその根拠があります。
対世効(人事訴訟・会社訴訟)
図:対世効の一覧板
- 通常訴訟=相対的解決で足りる
- 人事訴訟・会社訴訟=身分関係や会社の組織関係は第三者との関係でも統一される必要がある
- そこで判決効を広く第三者に及ぼす対世効(人訴24条1項・会社838条)
- 代償=職権探知主義・当事者適格の限定・参加の機会・詐害的な判決への再審
ここまでの4つの号は、いずれも当事者かそれに準じる立場の人だけを縛る仕組みでした。しかし、これだけでは足りない場面があります。たとえば離婚を認める判決が、その夫婦の間だけで効力を持ち、ほかの人との関係では離婚していないことになる、というのでは、身分関係が人によって食い違ってしまいます。取締役の地位を争う訴えでも同じで、ある人との関係では取締役、別の人との関係では取締役でない、というのでは会社の組織関係が成り立ちません。そこで人事訴訟や会社訴訟では、判決の効力を広く第三者にまで及ぼします。これを対世効と呼びます。根拠条文は人事訴訟法24条1項、会社法838条です。
そこで、対世効を認める代わりに、手続保障を別のやり方で厚くしています。裁判所が当事者の主張に縛られず自ら証拠を調べる職権探知主義、その関係に最も密接な利害を持つ者だけに当事者適格を限定すること、訴訟が始まったことを知らせて参加できる機会を与えること、そして詐害的な判決には第三者から再審を申し立てる道を用意すること。この4つが、対世効の代償として組み込まれています。
図:会社訴訟の片面的対世効の板
- 人事訴訟=認容判決も棄却判決も対世効
- 会社訴訟=対世効が認められるのは請求認容判決だけ・会社838条
- 棄却判決は対世効を否定=第三者に不利な既判力拡張を認めない趣旨
一つだけ、罠として押さえておきたい違いがあります。人事訴訟は、認容判決でも棄却判決でも対世効が生じます。ところが会社の訴訟では、原告が勝ったときにしか対世効は生じません。会社法の838条がそう定めています。負けた判決には対世効が生じない、この一方通行の仕組みを片面的対世効と呼びます。第三者にとって不利な方向へ既判力を広げることは認めない、という趣旨です。たとえば、ある株主が株主総会の決議の取消しを求めて負けたとします。この敗訴判決が他の株主まで縛るとすると、自分では一度も争っていない株主が、他人の訴訟の出来しだいで、自分の言い分を出す機会を奪われます。だから負けた判決は当事者の間にとどめ、勝った判決だけを全員に及ぼすのです。人事訴訟とは扱いが違うので、この片面的な扱いは取り違えないようにしてください。
今日の地図(保存版)
図:今日の地図の板
- ①115条1項1号=相対効の原則
- ②2号=訴訟担当の被担当者・債権者代位訴訟は学説の多数が訴訟告知を要件とする
- ③3号=口頭弁論終結後の承継人=紛争の主体たる地位の承継
- ④固有の防御方法=通説は形式説
- ⑤4号=所持者は固有の利益の有無で判定
- ⑥対世効=人事訴訟・会社訴訟、会社訴訟は片面的
今日の6つの軸をつなげます。既判力は、原則として当事者にしか及びません。訴訟担当者が受けた判決の効力は、本人にも及びます。口頭弁論終結後に紛争の主体たる地位を承継した人にも既判力は及びますが、その人が固有に持っている実体法上の言い分までは奪われません。目的物を専ら当事者のために所持しているだけの人にも既判力は及びますが、自己の利益で占有している賃借人は、4号の所持者にはあたりません。そして人事訴訟・会社訴訟では、手続保障を別の形で厚くした上で、判決の効力が第三者にまで広がります。冒頭のAさんとBさんとCさんの話も、これで説明がつきました。Cさんは口頭弁論終結後にBさんから建物を承継しているから、既判力はCさんにも及ぶ。Cさんは、Bさんが負けた判断を、もう争えないんですね。ただ、争えないことと、そのまま強制執行できることは、別の問題です。
参照条文
- 民事訴訟法115条
- 民法423条の6
- 民法94条